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74.強い人も怖くていいんだね

 お城の外へ出る時は願掛けでスカート。今日は可愛い花模様が入った白っぽい服だった。花模様が青色なの。あと上の服は薄い黄色だった。ボタンとひらひらがいっぱい付いてて、ブラウスと呼ぶんだよ。


 アモンが用意した服を着て、パパと手を繋ぐ。僕の銀髪は伸びて、肩にかかる長さになった。アガレスが後ろで結んでくれる。リボンの色は青で、お洋服と揃えたんだって。


「可愛いですよ」


「ありがとう」


 可愛いは褒め言葉だよ。僕は可愛くない奴だって言われてたけど、ご飯食べてふっくらしてた。それで可愛いんだと思う。パパと手を繋いで歩き始める。手をずっと上げてるから疲れるけど、パパは時々抱っこする。今日はアガレスも来てくれたから、両手でブランコも出来た。


「楽しいか?」


「すごく楽しい! パパは?」


「カリスがいるだけで楽しいぞ」


「アガレスは?」


「私もですよ。カリス様が元気で笑ってることが幸せです」


 嬉しくなって笑うと、パパもアガレスも笑ってくれる。一緒だね。幸せを感じてるのも、一緒だといいな。お城の中を歩いて、外へ出たところでパパが僕を抱っこする。アガレスがそっと僕と手を繋いだ。


「移動するから、しっかり掴まってろ」


 頷いた僕が目を閉じて開くと、もう違う場所だった。大きな建物の真ん中みたい。ぐるっと丸い建物で、天井がなかった。直接空が見える建物はすごく広い。


「ここは騎士や兵士の鍛練用施設だ。今日はこの建物で視察をする」


 パパの説明に頷く。ぐるっと見回してると首が疲れるね。よく見たら、少し先で人が並んで立っていた。剣を手にしていて、顔の前で縦に持ってる。一番先頭にいるのは、アモンだ!


「パパ、アモンがいる」


「彼女は強いですよ。見せてもらいましょうか」


「うん!」


 難しい挨拶をしたアモンが号令を掛ける。わっと人が左右に散った。動物の顔をしてる人や、ツノが生えた人もいる。鱗がある人、きらきらしてるね。背中に羽がある人もいた。


 アモンが人の輪に入っていくと、号令もなく剣や爪を武器にアモンへ攻撃する人が出た。


「危ないよ!」


「大丈夫だ。アモンを応援してやれ」


「頑張って、アモン!」


 叫んだ僕を振り返ったアモンはふわっと笑い、あっという間に皆を倒しちゃった。びっくりする。手にした剣を振ると、皆倒れちゃうの。アモンが動くたびに、ふわりと服や髪が揺れて綺麗だった。


「うわぁ! アモンは強いね」


「我らゲーティアの軍で一番強い将軍ですからね」


 アガレスに聞いた言葉に目を見開く。一番強いの? 前にアモンは「アガレスが怖い」って言ってたけど。そのアガレスより強いのかな。それでも怖いの?


 分からなくて首を傾げた僕に、パパが声を上げて笑った。


「怖いのと強いのは別の話だ。俺もカリスがいなくなったら怖いぞ」


 パパでも怖いの? 難しいんだね。強くても怖いんだ。じゃあ、僕が夜起きちゃうと怖いのも、夢の中に奥様が出たら怖いのも、僕が弱いからじゃないかも。


「カリスは強くて可愛くていい子だ」


 褒めてくれるパパにほわりと笑い、頬を擦り寄せ合った。僕、パパみたいに強い悪魔になりたい。それで皆を守れたらいいな。

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