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外伝1−2.セーレを幸せにしてね

 あれから僕も大きくなって、今度はセーレの結婚式を手伝うんだ。相手は天使の人で、僕は直接知らない人だった。でもミカエルが「あいつはいい奴だ」と言ったし、セーレが好きになった人だから優しいと思う。


 セーレはもういい歳だから、派手な結婚式は恥ずかしいって言った。好きな人と一緒にいる約束だから、アモンみたいに綺麗にしたセーレがいい。僕はそう伝えたんだ。好きな人と幸せになるんだから、何歳でも関係ないよって。


 なぜかセーレが泣いちゃって、僕はすごく焦った。パパは僕を撫でて、セーレにいくつか話をしたの。そうしたら「ありがとう」って笑ってくれた。やっぱりパパは凄い。セーレが幸せになるのが嬉しい。僕にいつも美味しいご飯を作ってくれたから。


 パパが僕を連れてきてセーレのご飯をくれるまで、こんな美味しいの食べたことなかった。美味しい物を作って僕を幸せにしたセーレは、いっぱい幸せになって欲しい。アモンは自分の赤いドレスを素敵に作ったから、頼んでみたの。すぐにセーレのサイズで作るって約束してくれた。色はセーレの好きな水色だよ。


 天使の人の服はぶつぶつ文句言ったけど、「セーレのためだから」とアモンは作り始めた。僕も手伝ったんだ。リボンを作る係だよ。それをいっぱい作って、アモンが作ったドレスに付けてもらった。それから残りは、参加する人に付けるの。


 僕やパパも付けて並ぶんだよ。二度目の結婚式とても楽しみ!


 夜が明けて、天使の人が集まってきた。お土産に綺麗な飴や花をもらう。アザゼルの子って聞いたら、天使が優しくなった。僕を産んだ人をママと呼ぶんだね。だからパパはパパのまま。アモンの時と同じで、ミカエルが前に立った。誓いを書き記す係をするの。僕は前の席で待つ。


 セーレは長いヴェールを被らないから、後ろで持つ役はない。最初から見てるのは初めて。振り返って、入ってくるセーレを待った。天使の人もそわそわしてる。この人がセーレを幸せにしてくれる天使なの? 金色の髪と青い目、位の高い天使でミカエルと同じ熾天使の一人。まだセーレが来ないから、話しかけてみた。


「セーレを幸せにしてね」


「はい、必ず!」


 すぐに答えた。パパがほっとした顔で、僕の頭を撫でる。今日の僕は青いドレスなんだよ。セーレのための水色のリボンを大きくして、腰でドレスに結んだの。鐘の音が響いて、セーレが見えた。いつものエプロンも素敵だけど、すごく綺麗! 歩いて天使の人と並んで微笑む姿に、いっぱい手を叩いてお祝いした。


 セーレが用意してくれたスープや、アモンの時と同じ塊肉を焼く準備がされてる。お庭に出て、天使が花と羽根をいっぱい飛ばした。綺麗! 夜にはお空に花を咲かせてくれると聞いた。パパとお肉を食べながら、スープをもらいに並ぶ。木の下でプルソンが泣いてた。


「パパ、プルソンはどうしたの?」


「……失恋だな」


 首を傾げたら、こっそり耳元で囁かれた。プルソンはセーレが好きだったみたい。僕のスープを分けてあげよう。貰ったスープを飲みながら、プルソンはずっと泣いてた。心配だけど、パパは平気だと言う。明日になれば元気になる、と。


 パパは僕を撫でて、スープを一緒に分けて飲んだ。ガブリエルがスープを運んできて、反対からラファエルがパンに挟んだ肉を持って来る。だから、皆で大きな木の下で食べた。向こうの席に座るセーレと天使の人、幸せそう。ホントは皆、幸せになれたらいいのにね。


「カリスらしいなぁ」


「そんなに優しいと疲れるぞ」


 ガブリエルとラファエルが頭を撫でる。僕はにっこりして答えた。


「僕じゃなくて、優しいのはパパだよ」


 二人とも黙って頷いた。やっぱりパパの優しさは、天使にも有名なんだね。自慢したい気分で、あちこちで触れ回ったら止められちゃった。

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