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【完結】虐待された幼子は魔皇帝の契約者となり溺愛される  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!
外伝

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外伝1−1.アモンの結婚式を思い出した

 明日はセーレと天使の人の結婚式。僕とパパも参加するの。今回で二度目だよ。前に参加したのは、アガレスとアモンの結婚式だった。


 あの時はアモンがすごく綺麗で、長くて赤いドレスとその上に薄くて透き通る布を被っていた。僕はその透き通る布ヴェールを持って歩く係をしたの。可愛いピンクのひらひらしたドレスで、お花をいっぱい飾った。アモンは自分の服も僕やアガレスの服も、全部作っちゃったんだよ。


 パパは式場にしたお城の広間にいて、僕は隣の部屋でアモンと一緒。用意されたお菓子やパンを食べた。式が長いからお腹空くと言われて、しっかり食べる。でも溢さなかったよ。オレンジのジュースも飲んで、付き添いのセーレが涙ぐんでた。悲しくないのに涙出ちゃうんだね。


 嬉しくても泣くのは知ってる。僕はパパと出会ったのが嬉しく、息子になれたのも幸せで涙出るから。呼ばれて、廊下に出た僕の手を取ったセーレが、裾を握らせた。ルールをもう一回教えてもらう。引っ張らない、スカートを踏まない、転ばない。危なくなったら手を離す。


 簡単だけど、大事なことだった。僕が転んだらアモンも転んじゃうかも。扉が開いてセーレはそっと離れた。通路の真ん中を歩くんだけど、皆が見てる。つい手を振りたくなるけど我慢して、きりっとした顔で歩くの。でも自然とにこにこしちゃった。


 大好きなアモンが歩いて行く先には、やっぱり大好きなアガレスが待ってる。アガレスとアモンが腕を組んだら、僕は左側にいるパパのところへ戻ればいい。アガレスは黒い服だった。白いシャツがちらっと見えてて、胸元に赤い色を飾ってる。あれはお花かな。


 よそ見したら裾を踏みそうになって、慌てて一歩下がった。危なかった。アガレスが手を差し出し、その手をアモンが掴んだ。僕のお仕事はここで終わり。急ぐと転ぶから、ゆっくり歩いて離れた。長いスカートを踏まずに帰った僕を、パパが抱き上げてくれる。


 高い位置から見たら、ちょうどアガレスとアモンがキスをしていた。初めて見る他の人のキス。僕とパパが頬や額にするのと違って、唇同士だ。それに長い。すごく長くて、苦しくならないか心配になっちゃう。


 唇が離れたらアモンは真っ赤な顔だった。やっぱり苦しかったのかな。パパはこっそり笑ってから、僕に教えてくれた。あれは苦しいんじゃなくて、照れてるんだって。口と口を塞いでも、鼻から息をするから平気なの。僕も口を手で押さえて鼻で呼吸してみたら、簡単にできた。覚えておこう。


 パパが変な顔で「まだ早い」とか「その時はパパを呼びなさい」と言った。その時がよく分からないけど、パパが僕に悪いことをしないし嘘つかないから、頷く。口と口をつけるキスの時は、パパを呼ぶんだよね。


「ちょ……神聖な結婚式で子どもに変なこと教えてないで」


 ウリエルがパパを突く。隣でラファエルは笑ってるし、ガブリエルは「やばい」を繰り返してた。ミカエルは結婚式の見届け人をしてるの。正面で難しい言葉を読んでるけど、長いと話を切られちゃった。


 結婚式が終わったら、お外に出て花びらが降ってくるお庭でご飯だよ。皆一緒に、自由な場所で自由に食べる。もちろん、僕とパパは最初に二人へ挨拶に行く約束なんだ。


「おめでとう、アガレス、アモン」


「幸せになれ」


 パパと声を掛けたら、アモンがうわっと泣き出した。綺麗にお化粧塗ったのに、全部流れちゃう。心配したら、これは流れないお化粧だから平気だって。顔を上げたアモンをみたら、いつも以上に綺麗なアモンのままで。僕は安心して笑っちゃった。アモンは僕をぎゅっと抱き締める。


「カリス様みたいな子を産みたいわ」


 出産予定発言に、騎士の人が数人崩れ落ちた。アモンのことが好きだったみたい。でもお祝いはしてるの、偉いと思う。盛り上がるお庭で、僕は初めての料理を食べた。野外焼き肉! 大きなお肉の塊をそのまま焼いて、目の前で食べる分を削ってもらうの。とっても美味しかったよ。

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