186.天使も悪魔も仲良くして
真剣にカードを見つめる。僕はパパのお膝の上、正面はウリエル。右側にミカエルがいて、左はアガレスが座ってた。皆、カードを握ってる。
僕が一番多くて3枚、ミカエルとウリエルは、パパの魔法で心が読めなくなってるの。真剣に悩んで、ミカエルの手が一枚引いた。踊ってる黒い人のカードが消える。これが悪いカードだったけど、やっといなくなった。
パパが僕の頬を突く。笑っちゃいけないんだよ。我慢して顔を動かさないようにした。じゃないと、黒い人のカードが移動したとバレちゃう。僕は真剣だけど、後で気づいたの。ミカエルがカードを捨てなかったから、僕のところから黒い人のカードが移動したのはバレてるね。
じっと見つめた後、ミカエルはカードを混ぜた。シャッフルと呼ぶんだって。かしゃかしゃと動かすの、カッコいい。僕も覚えたいな。
「後で教えてやろう」
「やった!」
こそこそと話して、ミカエルの次のウリエルが引くのを待つ。真ん中を取ったけど、カードを捨てなかった。その次はアガレス。あ、すぐにカードを引いて捨てた。残り1枚だから僕が受け取って……僕も終わり。同じマークが揃ったの。真ん中のカードの上に置いた。
「無事抜けられましたね」
「うん! 僕とパパが二番だった」
ウリエルとミカエルは何度もカードを引き合った。でも黒い人のカードが行ったり来たり、ずっと終わらない。最後は諦めてやめちゃった。だから、二人ともビリだよ。ビリはお掃除をする約束なんだ。池のお水を抜いて、綺麗に洗って戻す仕事。全部水を抜くとよくないから、半分だけね。
魔法を使って水の綺麗な部分を浮かせて。下の濁ったお水を外へ捨てた。その魔法を僕はずっと見てる。ベロをお膝に乗せて、その背中にニィが乗って。僕の上に重なっていた。
「亀の親子みたいだな」
「あ、知ってるよ。絵本で見た! お父さんの上に子がいて孫がいるの」
僕の知ってる絵本だ。嬉しくなって、話しかけたウリエルに笑った。明日になったら、ガブリエルとラファエルも来るんだよ。皆でカードで遊ぶのかな。僕は追いかけっこや隠れんぼも好きだけど、それはセーレ達と遊ぶ。前に遊んだ駒のゲームも面白かった。
「駒の……チェスじゃなくて、ああ、六角のやつか」
石の間に逃げたお魚を綺麗なお水に放り込みながら、ミカエルが頷く。うん、あのゲーム楽しかった。ぴょんぴょんと駒を飛び越して、移動するの。
「いいぞ、皆が来たら順番で遊ぼう」
「わーい!」
「午前中はプルソンと勉強だ。ご飯の後で遊んでもいいが、お昼寝もちゃんとするんだぞ」
ミカエルと約束して、パパとも約束する。朝のご飯の後はお勉強、お昼のご飯を食べたらお昼寝して駒のゲームで遊ぶ。予定を、黒い板に白い棒でがりがりと書いて飾った。
明日が楽しみだな。天使も悪魔も仲良しで、僕はすごく幸せ。パパのお膝も大好きだし、いつもご飯も美味しい。僕の幸せはいつもパパと一緒。
僕を撫でるミカエルやウリエルは、パパに「手が汚い」と追い払われちゃった。もう、皆仲良くして!