表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

188/214

186.天使も悪魔も仲良くして

 真剣にカードを見つめる。僕はパパのお膝の上、正面はウリエル。右側にミカエルがいて、左はアガレスが座ってた。皆、カードを握ってる。


 僕が一番多くて3枚、ミカエルとウリエルは、パパの魔法で心が読めなくなってるの。真剣に悩んで、ミカエルの手が一枚引いた。踊ってる黒い人のカードが消える。これが悪いカードだったけど、やっといなくなった。


 パパが僕の頬を突く。笑っちゃいけないんだよ。我慢して顔を動かさないようにした。じゃないと、黒い人のカードが移動したとバレちゃう。僕は真剣だけど、後で気づいたの。ミカエルがカードを捨てなかったから、僕のところから黒い人のカードが移動したのはバレてるね。


 じっと見つめた後、ミカエルはカードを混ぜた。シャッフルと呼ぶんだって。かしゃかしゃと動かすの、カッコいい。僕も覚えたいな。


「後で教えてやろう」


「やった!」


 こそこそと話して、ミカエルの次のウリエルが引くのを待つ。真ん中を取ったけど、カードを捨てなかった。その次はアガレス。あ、すぐにカードを引いて捨てた。残り1枚だから僕が受け取って……僕も終わり。同じマークが揃ったの。真ん中のカードの上に置いた。


「無事抜けられましたね」


「うん! 僕とパパが二番だった」


 ウリエルとミカエルは何度もカードを引き合った。でも黒い人のカードが行ったり来たり、ずっと終わらない。最後は諦めてやめちゃった。だから、二人ともビリだよ。ビリはお掃除をする約束なんだ。池のお水を抜いて、綺麗に洗って戻す仕事。全部水を抜くとよくないから、半分だけね。


 魔法を使って水の綺麗な部分を浮かせて。下の濁ったお水を外へ捨てた。その魔法を僕はずっと見てる。ベロをお膝に乗せて、その背中にニィが乗って。僕の上に重なっていた。


「亀の親子みたいだな」


「あ、知ってるよ。絵本で見た! お父さんの上に子がいて孫がいるの」


 僕の知ってる絵本だ。嬉しくなって、話しかけたウリエルに笑った。明日になったら、ガブリエルとラファエルも来るんだよ。皆でカードで遊ぶのかな。僕は追いかけっこや隠れんぼも好きだけど、それはセーレ達と遊ぶ。前に遊んだ駒のゲームも面白かった。


「駒の……チェスじゃなくて、ああ、六角のやつか」


 石の間に逃げたお魚を綺麗なお水に放り込みながら、ミカエルが頷く。うん、あのゲーム楽しかった。ぴょんぴょんと駒を飛び越して、移動するの。


「いいぞ、皆が来たら順番で遊ぼう」


「わーい!」


「午前中はプルソンと勉強だ。ご飯の後で遊んでもいいが、お昼寝もちゃんとするんだぞ」


 ミカエルと約束して、パパとも約束する。朝のご飯の後はお勉強、お昼のご飯を食べたらお昼寝して駒のゲームで遊ぶ。予定を、黒い板に白い棒でがりがりと書いて飾った。


 明日が楽しみだな。天使も悪魔も仲良しで、僕はすごく幸せ。パパのお膝も大好きだし、いつもご飯も美味しい。僕の幸せはいつもパパと一緒。


 僕を撫でるミカエルやウリエルは、パパに「手が汚い」と追い払われちゃった。もう、皆仲良くして!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ