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183.湖までお散歩して天使に会った

 パパはいつも僕を大事にしてくれる。今日も一緒にお外へ出かけた。お庭の池を覗いて、お魚に餌をあげる。僕とパパが戦いに行ってる間は、セーレが餌をあげてくれたの。だから皆元気だよ。虹色のお魚を見て、ニィが尻尾とお尻をゆらゆら振った。


 襲う気なのかな? でもベロが首輪を噛んでるから無理だと思う。そのまま引き離されて、ベロが咥えたまま移動を始めた。僕は紐を持つ役だから、左手はベロやニィのために使うの。でも右手はパパと繋ぐ。


 パパは収納のお部屋に籠を入れてきた。セーレの作ったお菓子や、アガレスが用意したお茶が入ってるの。今日の僕は黒猫の着ぐるみで、お外へ出るから帽子も付いてる。猫の着ぐるみの上に赤い帽子があるから、ずっと被っていた。


「暑くないか」


「うん、平気だよ。これ可愛い?」


「とても似合ってる」


「ありがと」


 アモンが作ってくれた新作なんだ。戦いが終わって、すぐに作ったんだって。疲れているのに、ちゃんと寝たのかな。心配で尋ねたら、ちゃんと眠らせたとアガレスが言ってた。僕はアモンに聞いたのに、アガレスが答えるの。僕とパパみたいに一緒に寝たのかな? 仲良しだね。


 お城の奥にある森を抜けると湖がある。そこへ向かって、てくてくと歩き続けた。距離があるから魔法でいこうと考えたパパだけど、僕はベロのお散歩もあるから歩いていくつもり。戦いにも行ったし、大人の会議にも出た。もう自分で歩けるよ。


 途中でベロの紐を離してあげる。走っていく猫を追いかけて、ベロが駆け回った。元気すぎて、僕達から離れて戻ってくる。でもまた走っていくくらい元気だった。ニィは途中で疲れて、ベロの背中で休んでる。


「あれは伸びてるというんだ」


「違うの?」


 倒れたのと同じと説明され、びっくりした。ニィ、倒れちゃった? ベロが優しく背中に乗せて歩いてるから、大丈夫かな。そう思ってたら、急旋回して戻って来るベロがニィを落とした。また戻って拾う。ニィ動かないけど、ケガしてない?


「問題ないぞ」


 パパは「ぐっすり寝てる」と笑って、ベロの背中にニィを乗せ直した。後少しで湖が見える。そう言われて頑張った。


 森の木が消えて、目の前が開ける。見えたのは、大きな大きな水溜まり。池よりずっと広かった。反対側の木が小さく見えるくらい。


「大きいね」


「ああ、カリスより大きな魚が泳いでるぞ」


「ほんと? 見たい!」


 繋いだパパの手を引っ張った時、後ろで声がした。


「じゃあ、獲ってやろうか」


「僕も手伝うよ」


 振り返ったら、池の上に天使がいた。ミカエルとウリエルだ。


「こんにちは」


 挨拶して手を振ったら、挨拶を返してくれた。そのまま湖の中を覗き込み、羽を広げて水を巻き上げる。竜巻みたいに縦に水を浮かせて、魚を引っ張り出した。


「パパ、お魚はああやって捕まえるの?」


「普通は釣るんだが……まあ、あいつらは派手好きだからな」


 笑ったパパが指差す先に、初めて見る大きさのお魚がいた。僕はぱくんと飲み込まれそう。見たら怖くなっちゃった。

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