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175.パパの黒い羽が一番綺麗

 さらに上へ行った僕達の前に、天使がいっぱい。今度は羽が一人でいくつもあるの。ミカエル達と同じだね。でもミカエルやガブリエルは6枚あるけど、この天使は4枚しかない。指で数えた枚数を確認していると、今度はラファエルが来た。


「ここは僕が押さえるから早く!」


「任せる」


 パパは一言だけ。僕は頑張れってラファエルに叫んだ。嬉しそうに手を振る。攻撃してきた天使が叫んだ。


「裏切るのですか!」


「お前達こそ、神の意志をねじ曲げるな」


 難しいお話だった。僕には分からないや。でもラファエルに頑張って欲しくて、いっぱい応援する。キラキラした光が、ラファエルの方へ降りていった。あれは僕の声かな? 声にも色やキラキラがあるんだね。


 驚いた顔をするパパ達にも「頑張ってね」と笑う。僕が応援したら、皆幸せそうに笑ってくれるから。僕も笑顔を返したいの。


 黄色い空はどんどん金色になって、周りが白い雲で埋め尽くされる。この上歩けるのかな? もしかしたら綿飴で食べたら甘い?


「ぷっ、面白いこと考えるんだね」


 ウリエルがひらりと飛んできた。羽が6枚あって、ラッパみたいな楽器を持ってる。それに口を当てて、音を鳴らした。プーっと鳴ると思ったのに、全然違う。綺麗で透き通った音が高くなったり低くなったり、僕はこの音が好き。


「この上は僕らも入れない。おそらく君とバエル様くらいかな? ご武運を」


 ウリエルが鳴らした音が、道を作る。ハシゴみたいに光が降ってきて、その道を照らした。アモンとアガレスは膝を突く。顔色が悪いね。


「お気をつけて」


「最後までお付き合いできず、申し訳ございません」


 二人とも少し悲しそうだった。僕も悲しくなっちゃう。それを吹き飛ばすみたいに、元気よく手を振った。


「いってきます、待っててね。僕もパパも帰ってくるから」


「お待ちしております」


 パパは何も言わなかった。光が降ってくる空を睨んで、ぐっと僕を抱き寄せる。パパは何か怖いのかも。大丈夫、僕もパパを応援して守るよ。ずっと一緒の約束をしたんだもん。僕はパパと一緒、何が来ても誰が居ても、パパが一番だからね。


 ぎゅっと腕を首に回して、頬を擦り寄せた。ふわりと浮かぶ感覚に驚いた僕は、パパの背中に広がる翼を見た。秘密にしてたのに、今はいいの? 黒くて艶のある美しい羽、髪の色よりもっと青っぽくて……。


「パパの背中の羽、すごく綺麗。僕は大好きだよ」


 普段も見せたらいいのに。そうしたら天使だって、羨ましがると思う。ばさっと音が重なって、パパの背中の羽が増える。全部で6枚……さらに追加で小さいのが2枚も出た。小さいのだけ白い。


「カリス、俺以外の誰かが名を呼んでも返事をするな。いいか、もし応えたら一緒に居られなくなる」


「そんなのやだ! 絶対に返事はしない」


「じゃあ約束だ」


 パパと指を絡めて約束する。僕はパパ以外の人にお返事しない。ずっと一緒にいたいから。誰も僕を呼ばないで。

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