表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

170/214

168.僕の意見を聞いてくれた!

 僕は大人の会議に出るのは初めて。ベロは寝る部屋で待っててね、とお願いした。不満そうにうろうろしてたけど、最後は分かってくれたみたい。顔をベッドの枕に突っ込んで、こっちにお尻を向けてた。


 パパが言うには、分かったんじゃなくて拗ねたんだって。違いがよく分からないけど、いっぱい撫でてから部屋を移動する。


 今日の僕は大人の会議に出るから、大人なの。パパに抱っこされて登場するのはダメだよ。ちゃんと歩くんだ。パパと手を繋いで、お部屋に入る。


「陛下、カリス様は?」


「僕、ここにいるよ」


 アガレスが首を傾げたけど、僕は手を振って知らせた。驚いた顔をした後、目を合わせるためにしゃがんだ。


「失礼しました。ご自分で歩いていらしたのですね」


「うん。今日は僕も参加する大人だから」


「ええ、立派な大人です。今日はよろしくお願いしますね」


 アガレスがちゃんと僕を認めてくれた。嬉しいな。パパを見上げると、パパも嬉しそう。一緒にお席に向かって、先にパパが座る。伸ばされた手を掴んで、思わずお膝に座りそうになった。


「パパ、違う」


「ああ、いつもの癖で。ここに座れ」


 隣に座らせてもらう。登るときにお尻を押してもらった。両手を掛けてよじ登り、足を揃えて座る。くるっと向き直ったら、アガレスもマルバスも両手を僕の方へ伸ばしていた。その手は何をするの? 首を傾げると、咳払いして慌てて座る。


 向かいのアモンは何か絵を描いてた。すごい速さで手が動いて「このデザインはいい」と呟く。ちょっと怖いけど、僕の服を作るアイディアみたい。可愛い服を作ってくれるから、僕はアモンが変わってても、苦い大人の味の料理を作っても好きだよ。


 今日も僕はアモンが作った服を着てる。大人の会議だから、ちゃんと大人に見える服を選んでもらった。きちっとした騎士のお洋服に似てるけど、色が紺色なの。金色の飾りが揺れるのがお気に入りだった。


「では始める」


 パパの宣言で、情報がいっぱい出てくる。こないだミカエル達が来てたのは、このためだね。もう天使と悪魔が戦わないようにするんだって。


「カリスはどう思う?」


 身を乗り出して話を聞いていたら、パパに尋ねられた。僕が話をしてもいいの? 頷くパパの動きを見て、口を開いた。


「あのね、戦わないのはいいことだと思う。ケガしないし、痛くないよね。僕は誰も嫌な思いをしないのがいい」


「わかった。カリスの意見を参考にしよう」


 嬉しいな。僕の話を皆が聞いてくれた。アガレスもマルバスも、ダンダリオンやアモン……もちろんパパだって。いい形で会議が終わって、皆で幸せになれるといいな。


「意見が出尽くしたので、一度休憩にします」


 アガレスの一言で、休憩になる。お茶が運ばれてきて、お菓子も並んだ。僕のお茶の時間みたい。大人の会議でもお菓子やお茶が出るだなんて、初めて知ったよ。あれ? でもそうしたら……会議でお茶を飲んだのに、その後のパパは僕ともお茶を飲んでたの?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ