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163.大変よく書けました、花の丸

 天使が攻めてきたから、しばらくお外で遊ぶのは禁止になった。ラファエルが謝りにきたら、戦いは終わりなの。だから僕はベロのお散歩以外はお外に出なかった。パパが一緒のお散歩だけは、安全だから出てもいいんだ。


 今日もお散歩が終わって、お部屋で言葉を書くお勉強をする。文字は全部の種類覚えたの。でも言葉は全部書けない。僕はまだ出来ないことがいっぱいで、覚えることもたくさんあった。


 パパやアガレスと同じ部屋で、プルソンが教えてくれる言葉を書く。黒い板にがりがりと書いて、正しいか確かめてから消すの。それから絵本を開いて、そのお話を読んで僕が感じたことを書くお勉強に入った。


 可愛い子猫が出てくるお話。大きな鳥に襲われて、家族と離れ離れになった子猫が最後に兄弟と出会うまで。大きな犬が怖いのに道を聞いて、兎に案内してもらった。同じ模様の兄弟に出会うまで、子猫は一人で頑張ったの。


 僕は黒い板じゃなくて、白い紙をもらった。黒い色の鉛筆で書いていく。子猫は頑張って、偉かったと思う。僕なら泣いちゃう。大きな犬は優しかったし、兎も連れて行ってくれた。いい人ばかりで、子猫は嬉しかったんじゃないかな。


 想像しながら書いた文章に、プルソンが大きな赤い丸をくれた。よく書けましたと褒められ、マルの外に模様が足される。そうしたらお花みたいな絵になった! 嬉しかったから絵本と一緒に、赤い花をもらった文章をパパに見せる。


「カリスは天才だな。子猫と助けた動物の関係が、見事に表現されている」


「ああ、本当ですね。大変よく書けています」


 アガレスも褒めてくれた。パパは花の横にお星様を、アガレスはその反対側に違う花を描いた。どっちも嬉しい。にこにこしながら、今日使った道具を片付けた。お勉強は終わり。絵を描くつもりなんだ。


 お勉強の道具を棚にしまって、隣から絵を描く道具を取り出す。今日は絵の具を使うの。戦いでベロが白い羽をたくさん捕まえた絵にしよう。


 白い羽は色がないから、迷ったけど水色で描いた。灰色はパパの目の色に塗るからダメなの。白い羽をいっぱい描いて、羽根がふわふわしてるところも描いた。その上にベロを描く。仔犬だったけど、頭がいっぱいだから……あ!


 顔を上げると、もうプルソンは帰ったみたい。お部屋にいなかった。ベロの数え方を聞こうと思ったのに。


「絵を描いて見せたら、答えてくれるんじゃないか?」


 パパに言われて「うん」と頷いた。そうだね。絵を見たらわかりやすいと思う。さすが僕のパパだね。


 ベロの体を大きく描いて、頭を足していく。3つあって、尻尾は1つ。足は……普通に4つでいいのかな。


「パパ、ベロの足はいくつ?」


「胴体は普通だから、4本足だ」


「ありがとう」


 お礼を言って、足を4本描いた。羽を踏んでるんだ。周りを赤い色で塗り始めた。なんでかな、この色が似合うと思ったんだけど……パパが慌てて止める。それからベロも絵を見て、首を傾げた。


 あの日に見た赤は少しだけど、なんでかな。赤い色を塗らないといけない気がしたの。パパは赤じゃない方が好きみたい。迷ったけど、オレンジ色にした。ベロはごろごろと僕の横で転がって、背中を絨毯に擦ってる。


 早くお外でいっぱい遊べるようになるといいね。

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