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141.手紙をちょうだいって言われた

 ぐっすり眠って、夜は白いお芋のスープを飲んだ。やっぱり美味しい。掻き回しても青くならないね。朝は何が入ってたんだろう?


「明日は買い物に街へ行こうか」


「うん! 何を買うの?」


 僕はお絵描きの道具もまだあるし、お洋服はアモンが作ってくれる。食べ物もセーレが用意するから、何も買わなくていいけど。パパは何か足りないのかな。


「カリス専用のスプーンやフォークを買おう。それからベロの首輪だ」


「首輪は可哀想だよ」


「最近は綺麗でお洒落な鎖もある。今カリスがしている首飾りと同じ感じだ。何も付けていないと、野良犬になってしまうぞ」


 野良犬? それは誰も飼ってない犬なんだって。屋台のご飯を盗んだりするから、首輪をしてない犬は追い払われちゃうみたい。可哀想だね。お腹が空いて、一人なの?


「カリスは優しいな。野良犬は減ってるから安心しろ。犬同士で一緒に暮らしてるさ」


 そっか。悪魔や人間が飼ってなくても、犬はお友達や家族がいるんだね。それなら寂しくないし、一緒にご飯も食べられる。よかった。安心してベロを抱っこする。


「ベロは僕の子だって分かるように付けるの?」


「そうだ。そこに城の犬だと書いておけば、迷子になっても誰かが連れてきてくれる」


 まあ、実際は勝手に帰ってくるだろうが……。パパはぼそっと付け加えた。小声だったけど聞こえちゃった。ベロは賢いから自分で帰って来られるよね。でも知らない人に追い払われたら悲しいから、可愛い印をつけよう。


 明日が楽しみで、お風呂に入ってすぐに寝た。お手紙が書けるようになったから、便箋やペンも買ってもらうの。選ぶのは大好きだよ。迷うけど、すごく幸せだと思う。与えられるだけじゃなくて、僕が自分で選ぶんだもん。


 色々考える僕は、夢の中でもたくさんのお手紙を書いた。それを配っていたら、白い天使が降りてくる。ミカエルだ。お手紙が届かないって泣きそうな顔で言われて、慌てちゃった。そうだね、ミカエル達に書いてなかった。起きたら書くと約束する。


 ミカエルは夢の中に入って来る方法があるの。僕には出来ないと思うけど。何か不安があったり、困ったことがあれば、夢でミカエルを呼んだらいいみたい。侍従の人がお手紙を運ぶけど、あの人は天使の国まで行くのかな? 遠いから大変だよ。


 僕の心配に気づいたミカエルが、手紙を握って眠れば受け取れると言った。夢の中で渡せばいいの? 頷くミカエルと別れて、ちょうど目が覚めた。


「パパ、天使に手紙を渡すとき……僕の頭からミカエルの手が出るの?」


 唐突な質問に、パパは驚いた顔をして話を聞いてくれる。最初から説明したけど、うまく話が繋がらなくて。パパはそれでも分かってくれた。


「夢は頭で見るが、頭の横から手が生えるわけじゃないぞ。すっと消えて、夢の中に現れる。だから安心していいが……そうか、天使に手紙を……」


「パパにもまた書くね」


 どうしてかな、そう言わないと天使とパパがケンカする気がしたの。

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