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137.初めてベロのお散歩をしたよ

 空は明るくなったばかりで、青紫色をしていた。いつもより早いから眠くて、欠伸をひとつ。隣でパパも欠伸をする。そしたらベロも欠伸した。皆でお揃いだね。


 ご飯の前にお散歩に行くから、暖かい服を着る。お外用の上着があるんだって。中が毛皮でふかふかした上着に、帽子が付いてる。被ると首の後ろが暖かいんだよ。パパもコートという黒い服を着た。僕の上着より長くて、膝のところまで届く。


 ベロは外に出る時、首輪や紐を付けるのがルールなの。犬を飼う方法の本に書いてあったよ。嫌がっても外してはいけませんと書いてたけど、ベロはいい子だから嫌がらない。たくさん褒めて、ぎゅっとした。後ろからパパもぎゅっとする。仲良しだよね。


 紐は僕が持って歩く。本に書いてある飼い主は僕なの。僕がベロに教えて、皆が可愛いねと撫でてくれる犬に育てるんだ。育てるからママと飼い主は一緒?


「ちょっと違うが、まあいい」


 パパは少し考えたけど、いい説明の言葉が見つからないんだって。また今度教えてもらう約束をした。外へ出ると寒くて、慌てて帽子を掴んで首を竦める。ぶるりと震えちゃった。


「ベロ、寒いね」


 でもベロはきょとんとしてて、全然平気そう。ベロは寒くないの?


「獣は毛皮があるから寒さに強い」


「でも毛皮しか着てないよ?」


 僕は下着でお洋服で、毛皮の上着だもん。毛皮しか着てなかったらもっと寒いと思う。そう話すと、パパは笑いながら僕の頭を撫でた。大きな手が温かい。


「さすがカリスだ。賢いな。だがベロは寒さが平気なようだぞ」


 パパが指差した先で、ベロは冷たい水に足を入れてた。びっくりして引っ張る。びっちょり濡れた足も、冷たくないのかな。


 わん! 早く行こうと引っ張るから、僕はパパと一緒に歩き出した。並んで手を繋いで、反対の手に紐を持つ。その先で引っ張りながらベロが歩いた。時々立ち止まって、おしっこもする。お外でおしっこしてもいいの?


「犬は外で用を足してもいいんだ」


「うん」


 犬はいいけど、僕はダメなんだね。お部屋にトイレがあるから、お外でしないよ。寒いからお尻が凍っちゃう。


 ぐるっと庭を歩いて、お城の外を半分くらい回った。歩いていたら暖かくなって、僕は帽子を後ろに外す。ほかほかする。パパに頬が赤くなってると言われて、触ったらびっくりするくらい冷たかった。でも手が温かいから、包んでみる。


「ご飯を食べて、今日の予定は何だったか」


「僕ね、お手紙書く練習! プルソンと字をいっぱい書くんだよ」


「それはいい。俺にも手紙を出してくれるか?」


「うん! パパは一番最初に書く」


「楽しみにしている」


 パパと並んで階段の前に来たら、ベロが短い足でよじよじと登ろうとした。降りるときは平気だったけど、登れないの? 抱っこした僕に、くーんと鼻を鳴らす。可愛いな。頬をすりすりしたら、パパが僕をベロごと抱き上げた。階段を登った先で、猫耳の侍女さんとすれ違う。お部屋にご飯を運んでくれたの。お礼を言って手を振った。

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