王子
王子の顔は
間違いなくシバであった
マリーンは 唾を 飲み込む
シバは 何事も 無かったように、鳥の羽の仮面を 顔に戻した
シバなら 私のわざとらしい行動を 軽く 避けれたはずなのに
避ける気がなかった、、?
マリーンは続けた
「これが 易経の本と 文芸堂 特選の真珠の粉が入ったお茶でございます
少し私のミスで こぼしてしまいましたが お許しください」
「ぜひ 王子様 お納めください」
「わかった、そうしよう」
膝の上に こぼれた粉を マリーンが拭くと
本に隠れて マリーンのその手の上から 王子の手が重なった
シバ、、?
いつも無表情だった シバを思い出す
牛の乳を マリーンのために いっぱい 絞ってくれたシバ
そう この手で
私の手を握り シバの目は、閉じてる
懐かしくて?
私の この茶番劇に、 なにもないように 合わせてる、
シバの手から マリーンは手を そっと 動かして 引き抜いた
「この金銀細工は いかがいたしましょう」
シバが半眼で 声を出した
「優勝したものに 返しは、どうだ
何か都合があって、文芸堂に 入ったものだろう」
「かしこまりました」
「何か 私たちに 王子さまの お役に たてることは ありませんか」
「私は大丈夫だ
私をつれ戻った ホクリュウも大丈夫だろ」
「 南部の文芸堂から来たらしいな
南部に戻られたら商いが うまくいくと いいな
南部で活躍されるが良い」
シバ、、、声に出さないで 息で喋った
大丈夫なのね あたし達が いなくても
王子になった あなたに
あたしたちが 心配する必要は 何もないのね
分かったわ
ホクリュウが お父さんで あることも 伝えてくれたのかしら
今の言葉で
シバも お父さんも 心配ないって
私たちに南部に もどれと 言ったのね
それを言いたくて 私が、 易経の本で 近づくことを、許したの
自分から シバたちが行方を くらまして 去った事を
残された者は 追いかける 事は しなくて良いと
私達が 去るまで シバは 半眼のまま 王子の席から 身動きしなかった
店主と別れた後
放心したように マリーンがカイトに、伝えた
シバの 顔を見たわ
あの人は やっぱり シバだったわ
シバと一緒に戻った ホクリュウは お父さん という風に言ってた
「、、本当?」カイトも信じられない様子だ
「この国の王子とヒーローだったら 家族なんて、、置き去りに、するなんて、
あーっ あーっ あーっ 、、あぁー 」
マリーンが 大きな 木の根っこに しゃがみこんで 頭をうずめた
昨夜 マリーンを抱きしめた 同じ場所で
何も言わずに 私達を 置き去りにして 行ったなんて
信じたくなかった
「行方不明 って そういう事なのね、、」
カイトも何も 言えなかった
どんな理由が あるのさえ わからなかった
お父さんが、、この国のヒーローと言われるホク リュウか、、、
他人事のような話、、で、考えが止まってしまう
シバが この国の王子?どうして あの浜辺で、、育ったのか
考えても、仕方ない、、と思う
王子の席に、シバが 座っていたのなら、、、
それが現実なら、
「シバが言うように お母さんが 開放されたら
僕達は 南部に戻ろうマリーン
お父さんも、、シバも 違う人生を あるき出したようだし」
「私達は その間 立ち止まっていたのに、、」
なんだか とても辛い 惨めささえ覚える
何も言わないで お父さんもシバも 立ち去り
残された者の 喪失感
素直に受け止めれない
何もかも止まったままの、、
お父さんの あの優しかった思い出を どう処理したら良いのか わからない
お母さんには、もっとも 残酷すぎるような、、
放心状態、、の、2人 真実が ひどすぎて 知らないほうが 良かったような
クロスが 飛んできて、「北家のユリアさんが これから北茶に行くって 言ってた」
あぁ このクロスにも、、いつか 、、教えなくては いけないのか、、
「なんだか、、あまり首を 津突っ込まない方が 良いみたいな、雰囲気だから
僕 一人で行くよ 」
「この前の お礼を言うだけに するよ
マリーンを助けてもらった時に お世話になったんだ
北茶の 眠り薬が すごく役に立ったから」
マリーンとクロスは 宿に、戻ってて」
「私も ついて行っていい?」
「大丈夫なのマリーン?」
カイトと、マリーンの足取りは重い
まだ放心状態のまま
足だけ 北茶の お店に向かう
前と同じ部屋に通された
「カイトさん?」
「すみません こんな カッコで
色々な事情がありまして、、
妹のマリーンです」
「ユリヤです
ご無事で何よりですわ
心配していましたのよ」
「ありがとうございます」
「ユリヤさんが協力してくださった、おかげで
助かったのに お礼も言わずに すみません。」
「お役に、たてて 良かったわ
末の弟さんが、来られて
何か お聞きになりたいことでも?」
、、聞きたかったこと、、お礼だけだと思っていたが
カイトとマリーンが、顔を見合わせて
父のことを聞いてみた
「ホクリュウさんは どうして王子様を 守ることになったのですか
あんなに長く」
「私も あまり 詳しくは 知らないんですけれども
隣の国が この国の 王族の血筋を何人も 殺されて
そこから守るために 生まれたばかりの 王子様をホクリュウ様が お育てしたって聞いています」
ホクリュウが お父さんなら、、ホクリュウが育てていたのは カイトで
シバは、タグさんが育てていた、、、
なにか変な気がする
「ホクリュウ様が、育てていたんですか?」
「もうひとり ホクリュウ様と一緒に タグさんという人
ご存知ですか?」
2人が一緒に質問してしまった
「タグさん、、忠家の 方ですか?
忠家からは、、確か 次男の、タグさんでなく、、」
「やっぱりな」
という低い声が聞こえた、
北家 球馬大会のリーダー ユリヤの、兄
ホク ジュウが、カイトに 刀の刃を向けた
ガサンが、マリーンの首にも 刃を突きつけた
首に冷たい刀の感触が 当たった
刀を 突きつけられる 恐怖にマリーンは 体が固まった
少しでも 動いたら 切られる
油断していて 後ろから 来られて 何も できなかったカイト
マリーンを守れなかった、、
「もう戻ってこないかと思っていたが
せむし男か、
この場所と ユリヤと 親しく話していて
分かったぞ カイトと、マリーンだな」
「あんな曲芸で 北家の私に よくも 恥を かかせたな」 と
ホク ジュウが
カイトの首に、当てた 刀の刃に 力を入れた




