北部の宿
その夜、マリーンが 宿で 言った
「お母さんが 解放される 3日間の間で
例のシバに 似た人を 確認しに行かない」
「マリーン どうして お城みたい危ない所に 飛び込むんだい」
「だって、この男装スタイル、結構気に入ってるんだ、
とっても動きやすい もう少し これで居たい」
「カイトだって なかなか似合ってるでしょ クロス」
「知ってるか、クロス
マリーンはね、僕の手を 1本 体に縛って手をなくすか
足を くくって 1本足に するか 迷ったんだよ
背中にワタだけにするの、大変だったんだ」
クロスは いつもの兄と、姉の 仲の良い
じゃれ合いを 目の前で
久しぶりに、見た
「もし ガサンに見つかって 捕まっても
3日後には 釈放されそうだし
命は取ろうとしないわよ、痛めつけられても
隣の国の スパイを知りたいだけだもん」
「逃げるにも、あの川が あるし」
「マリーンの牢屋の姿 2度と 見たくないよ 反対
お母さんが 慎重にって 言っただろ」
「そうだよ、僕だって お母さんに じーっと していて っていうの
一人で 寂しくても 守ったんだよ」
いつも 私に賛成した クロスまで 反対した
「じゃ 私一人で 動く」
「マリーン!!」
「いつまで たっても 動かないと
お父さんと シバ 絶対見つけられ ないわよ」
「なにしに、何ヶ月も かかって 球馬大会に出て
都まで 苦労して 来たのか 分からないわ
扇子の件だけは 誤算だったけれど」
「お父さんと シバは お城に入ったんだもの」
「お城で王様の後ろに 無駄なく出てきて立ったのシバよ
私達の 球馬大会に出たの見て 顔を見たかったのよ 」
「 マリーン 彼が シバなら 元気で 居るから
王様のそばに 居るから 大丈夫じゃないか
僕達より ずーっと安全な 場所にいるよ」
「 探してる 僕達の方が どれだけ危うくて 弱い立場か」
カイトが、ふと続けて 頭に浮かんだ事を言った
「お父さんも 僕達より ずーっと 良い場所にいるから
帰ってこないんじゃ ないだろうか、、」
そこから 悪い想像が、膨らんで つい 言ってしまった
「僕達は父に 捨てられて
もう捨てられたのに 捨てた人を まだ、追いかけて 探し回ってるだけかも」
「お父さんと 名前が似てる ホクリュウさん には 息子がいるって 聞いているし」
「お母さんは 私達は お父さんに 捨てられたの?」
カイトとクロスが 顔を見合わせる
マリーンには 男の心が わからないけれど
カイトとクロスには、理解できるんだ
男は 家族を こんな風に 捨てさる事も あると
嫌だ、
マリーンが席をたって、部屋を飛び出す
「クロス 僕に任せて 先に寝ていて 」
マリーンを 追いかけるカイト
「マリーン」の手を掴むカイト
「 、、、」泣いてる顔を カイトに見せたくないマリーン 顔を背ける
後ろからマリーンを抱きしめて
自分の顔を
背けるマリーンの 顔を 見ないカイト
マリーンが落ち着くまで
ただ 後ろから しっかり抱きしめてるカイト
落ち着いてきて 自分を抱くカイトの手に
マリーンは 自分の手を つい重ねてしまった
マリーンの耳と首に カイトの頬が近ずいて そっと触れる
優しく マリーンを 愛しむように 頬をすり寄せる
マリーンの手が カイトの頬に 触れて
カイトの唇が マリーンの耳に甘噛して
マリーンの手がカイトの 引き締まった首を なぞったら
もうマリーンの体は カイトに 向いていて
抱きしめられる
カイトの目が わたしを心配そうに見て
私もカイトの 優しい目を 見る
目線が 絡み合うと
カイトの唇が
ゆっくり 私の唇に 近づいてきて
柔らかくて 外に居たから
ちょっと ひんやりした カイトの唇
頭の中が カイトの唇の動き だけ夢中で
もう何も 考えられなくなる
抑えられない
「マリーン、君が 大好きだ」
「私も カイト 、、大好き」
「僕は 君を離さないよ」
「私もカイトと 離れない」
若武者の男と せむしの男同士の
誰かが見たら 変に思う カップル
「 僕達 今 男 同士だね、、」
苦笑いのふたり
「マリーンは 1人で お城に行く とか無茶を言うから 言っとくよ」
カイトが 真剣に
「一番 優先するのは お母さんだと思う。」
「お母さんが ホクショウの 所から 出れなかった場合、助ける方法
二番目に お父さん だけど、ホクリュウの事を
ユリヤさんに 聞いた方が いいと思うんだ
三番目にシバの事だと思う。」
言われると 家族が 大切にしたい順番だ、、
マリーンは母の言葉を 信用して、、母は、大丈夫だと思ってしまった
「だからシバに似た人に 会いに お城に行くとかは
お母さんのこと 考えてからの方が いいと思うんだ。」
悔しいけれど
私とキスしてる間に このことを、、
「明日 3人で 考えようよ」
「わかったわ、、」
とんがった私の唇に ちょこっと もう一度 嬉しそうに触れた
もう、カイト、ったら、、
朝
「ホクショウの、家に大鷲を持っていく事を いつか聞いて、
持っていく時に 大鷲を運ぶのを、手伝う時に 家を探ろうよ」
「いいわ」
「クロスは ホクショウの家の前でマリーンと同い年ぐらいの女の人、
ユリヤさんって名前聞いて
北茶の、お店に、いつ行くか 聞いてくれる
カイトが、ホクリュウ様のこと聞きたいって言ってくれる」
「僕に 任せておいて!」
北部の文芸堂に行くと、
大鷲の搬送が ホクショウ様の都合で 明日に なったこと、
今日が空いた
「店主殿、」
「マリーンの絵を 推薦したのは 南部の城主と聞くが
他の物を 推薦する時は どういう手を使っているんだ」
マリーンが男声で聞く
「それは だいたい フクシ殿に 窓口になってもらってる」
「フクシ殿に」王様のそばに居た人だ、、
「では、フクシ殿に、頼んで
昨日 ホクショウ様と 取引が成立したし
その勢いに乗って 王様の王子様に 文芸堂から 挨拶に行こう」
マリーンの感のいい 切り替えの速さ、、
「南部の ミツキ様のように 後押しして もらえるように
成功すれば、店主殿の株も上がるぞ」
「同い年ぐらいの 、、君だと、王子は どんなものに興味あると思う」
せむし男に聞く
「そうですねー、この 易経 かな
古い書物で これは 読んで おいた方が いいと思います」
せむし男が 北茶を見つけ
「文芸堂さんは お茶まで あるんですか」
「それは 一番いい お茶と 南洋の真珠の粉を混ぜた この店の特選品の お茶だよ」
「よし、それとマリーンの兄上が 両替していった球馬大会で優勝の
金銀細工も 綺麗な箱に 入れて持っていこう」
「フクシ殿にはどんな お礼を するんだ」
「彼は 碁が好きで、碁石が いいと思います
彼は 色々買ってくれるんだが、支払いが 遅くて 困るんですよ」
「昨日の 勢いで 今日も 上手く いくと、良いな
店主と 私の運を 信じよう」
「さすが ブンさんの紹介だけある お若いが
私に得が 回って来そうな、気がする」
ガサンは 相変わらず しかめっ面な顔して 奥で偉そうに書類を見てる
文芸堂は 賄賂を渡してるのか、通過は とてもスムーズである
フクシ殿に 店主が聞く
「国境の方は どうですか」
「一進一退で お互い探り合ってる 状況だと聞く
ホクリュウ様が 頑張っておられるので 何とかなって欲しいものだ」
「易経 という魅力的な本 なのだが 王子様に いかがだろうか」
「まだ訪ねてくる人が 少なく
色々 沈んでおられるから シンバ様の気晴らしに なるかもしれない
少しお待ち頂けるかな 尋ねてみよう」
目の前に、ホクリュウ様が 連れて戻ってきたという シンバ王子がいる
マリーンが
「易経 という本で ございますが、なんせ古いので 私が
取り扱った方が 良いと思います、
私が そちらに お持ちしても いいですか」
フクシ殿が、シンバ王子に許可をもらった
マリーンが 王子に近づく
易経の本を 手に取らせ
王子が
表紙を めくった
マリーンが 表紙の裏に 忍ばせた お茶と真珠の粉を
本を下から叩いて お茶と真珠の 粉が 王子の顔にまで 舞い上がった
「とんだミスを して」 と言いながら
粉を 払いのける 素振りで
王子の顔を 隠してある 鳥の羽をずらした
そばにいる、マリーンには 王子の顔が 見えた
王子の目 とマリーンの 目が
引きつけられるように お互いを 見た。




