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密着!仕分け人
「よいか、良い官吏になるにはホウレンソウが大事じゃ。」
閻魔が閻魔庁に配属された新人の入庁式で訓辞を垂れる。閻魔は地獄の裁判官と呼ばれ、他の十王と共に死者の刑を決めて振り分けていく。
「ホウレンゲキョウではないのですか?」
新人から野次が飛ぶ。最近の若い奴等は恐れを知らないらしい。
「それは、極楽の話。生前の悪行の報告する倶生神、死者を連行する死神、刑に応じた地獄への送付する獄卒。これらを称して、地獄のホウレンソウと呼ぶ。」
新人はまず、獄卒として地獄のマップを覚える。その後、死神となり、あの世とこの世を往来する。最後に倶生神に仕えて、人が生まれるとその人に張り付いて記録を取っていく。そうやって地獄に仕事を覚えていく。
「最後に、地獄で最も重い罪は何か知っていおるか。それは、死者の記録の改ざんや紛失じゃ。」