変わる世界で変わらないもの
初投稿です。
あらすじも文も荒削りですが、世界をお見せできるよう少しずつ頑張ります。
初夏。日差しがまぶしく、木々の日光浴に最適。
そんな良き日にも関わらず外に出ずに大学の一室に男女が一組いる。
「昨日も今日も毎日変わらず部屋に篭って研究研究、このままではもやしになってしまうよ」
「先輩は前からもやしみたいなもんじゃないですか、ひょろいし」
「そういうお前こそ刈りたての牧草みたいな頭して、日差し浴びて伸ばしてきたらどうだ」
「これ全部任せて外出ていいなら行ってきますよ」
「ごめん、早く終わらせよ…」
二人ともPCに向かいデータの整理をしている。言葉のコミュニケーションとは裏腹に親しい間柄であると伺える。
眼鏡をかけてまさに研究者といった風貌の女性の先輩とは対照的に、後輩の男性はいわゆるスポーツ刈りで日頃運動をしているかのような筋肉が袖から覗いている。いい筋肉だ。
「よし!半分終わったし疲れたからきゅーけーい」
「先輩が話しかけてくるからまだ半分も終わってないですよ…休憩しますけど…」
いざ休憩に入る、というタイミングで機械的な声が響く。
『昇格試験プロジェクト2発生のお知らせ』
『昇格及び試験内容の詳細は開示されておりません』
『試験参加数は二万、拒否権は認められません』
『参加者へ紙面、液晶面、その他記録媒体をもって通達いたします』
『通達後三十分以内に準備を行ってください』
『これより通達を開始します』
音の出所は不明だった。二人も戸惑いを隠せてはいない。
「今の何…」
「わからないですけど通達、とかいうのは俺には無さそうですね…」
「私も何も来てない…と思う」
「……ぉぉぉぉぉ…!?」
不可解な状況であったが、隣接する研究室より驚きを伴った叫び声が聞こえた。
「…ひとまず俺たちには関係ないものみたいですね」
「みたいね、気になるけれど今は休憩を取りましょ。後で考えればいいわ」
「そうですね」
二人は研究室を離れコーヒーを飲み、体と心を休ませるのだった。
短いですがお読みいただきありがとうございました。