受け継ぐ者たち
「どうしてそんな所から……まさか!」
お姉様が驚いて言うと
「ピンポーン!学院祭で来た時に、父上と一緒に作っておいたんだよね。転移魔方陣」
お兄様が平然とした顔で言う。
「ロザナ、ルーナ!」
「お父様まで!?」
お姉様との二度目のハモリ。
「あぁ、私の宝たち、会いたかったよー」
両手を思いっきり広げて走り寄って来る。お姉様は一瞬、嫌そうな顔をしたけれど受け入れることにしたのか大人しく待っていた。そしてお父様は私たちをいっぺんに抱きしめる。満足そうだ。
「学院に魔物が出たって聞いてね。心配で心配で……勿論、ヴェントがいるから大丈夫だと思ってはいたんだ……何よりも信頼できるヴェントがいるからね」
レオ様とリナルド様を交互に見ながら言う。
「おいこら、我が息子を役立たず扱いするんじゃない」
オルランディ公爵様だ。その後に陛下と王妃様、お母様と公爵夫人が来た。
「もう、カルロは仕方ないなあ。レオナルドもちゃんと強いからな」
陛下が苦笑しながら言う。
「誰もおまえらの愚息達を役立たずなんて言ってないだろ。ヴェントがいるから安心って言っただけだ」
「愚息って言ってる時点で少しも説得力ないだろうが」
公爵様が食って掛かる。
「だって、私より弱いじゃん。そんな奴を息子なんて認められないかなあ」
「このヤロー……親バカ狭量男が」
「なにをー、瞬間湯沸かし男に言われたくないね」
「はあーーー!!」
バッシャーン!
そんな二人の頭上から凄い勢いで水が降ってきた。ご丁寧にちゃんと結界を張って、二人以外にはかからない。ずぶ濡れの二人はポカーンとしている。
「ふふふ、お二人だけ雨にでも降られましたの?ずぶ濡れですわよ」
お母様の黒い笑顔発動だ。
「学院に来たものだから、学生気分に戻ったのかしら?いい年した殿方が小さな子供のような喧嘩をなさるなんて、ねえ」
生徒会室が一気に氷山になった。二人ともガクブルだ。
「ごめんなさい」
それはそれは綺麗にハモった。
「ふふ、許しましょ、ダンテ」
そう言うと、お兄様が二人に風を送る。あっという間に乾いた。
「ふふ」
つい笑ってしまった。お姉様は呆れたという顔で
「はあ、仕方のないお父様」
そう呟く。
「………」
他の皆はお母様の氷点下に凍ってしまったようだ。
すると、
『アッハハハハハ、おまえ、間違いなくヴィットリオの子孫だな』
太陽の精霊王様が大笑いしていた。陛下が太陽の精霊王様に気付いて傅く。
『そういうのは堅苦しいからいいぞ。おまえはジェロディに似ているな』
陛下に言う。
『それと、おまえはオルランディだな』
言い当てる太陽の精霊王様。
「はい、私はオルランディ家の現当主コラード・オルランディと申します。」
『やはりな。宰相だったオルランディの子孫だな。アイツも宰相としての腕は確かだったが、ヴィットリオと仲が良すぎてな。顔を合わせればそうやって二人で喧嘩していたよ』
『そして、改めてお前は間違いようもないほどヴィットリオに似ている』
『そうね、ヴィットに渋みが出た感じだわ』
月の精霊王様も賛同する。
「ヴィットリオ様ってアルコンツェ家の始祖の?」
お兄様が言うと
「そう。始祖様はお父様にそっくりだったそうよ」
「へえ、あんな感じだったんだぁ」
「……他人事のようにおっしゃってますけど、お兄様もしっかり受け継いでいらっしゃいますわよ」
「ロザナ、そんなわけないでしょ。私は常に品行方正をモットーにー」
「全然、品行方正じゃありませんから。そんな人は、学院に魔方陣なんて残しません」
お兄様を遮って言うお姉様。
「やだなあ。これは、何かあってもなくてもルーナの元へ駆けつけられるようにしたんだよ」
「ほら、それがアルコンツェ家である所以ですわ」
「それを言うならロザナもそうだよね」
「あら、私はちゃんと認識してますもの。お兄様とは違いますわ」




