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銀の天使と金の獅子  作者: BlueBlue
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魔物襲来

 三年生になった。

力が覚醒したという事も忘れる程平和な時間が過ぎていた。

あの後、レオ様は大騒ぎしていたけど、今は一刻も早く俺もと息巻いている。大声で太陽の精霊王様を呼ぶという奇行もしたらしい。リナルド様が大笑いしながら教えてくれた。


 若葉が青々と成長を遂げた頃、事件が起きた。

「大変だよ!修練場に大きな魔物が現れたって!」

教室に駆け込んできた男子生徒が大声で言った。

「え?どういうこと?結界張ってあるのに入ってきたってこと?」

他の生徒がその男子生徒に聞く。

「詳しいことはわからないけど、どうやらそうらしい。先生たちが慌てて向かって行ったけど、結界破ってくるような強力な魔物だとしたら、先生たちだけでなんとかなるのかわからない」


そう聞いて、私の身体は自然と動き出す。アニエラが

「サンドロ達にも知らせてくるわ」

と教室を走り去った。サンドロは生徒会に入っているため、今は生徒会室で仕事をしているはずだ。


「ヴェント!」

『我は先に行く!敵は七匹、デカいぞ。』

「ヴェント?やけに嬉しそうなんだけど」

『最近、ちょっとダレてたからな。いい運動になる』

そう言って走り去った。

「もう、ヴェントったら」

私も走るスピードを上げたのだった。


一体どうやって入ったのだろう。どれもこれも皆大きい。キングオーガが二体、ワイバーンが三体、あとはバジリスクとキメラだ。

「修練場が小さく感じるなんて凄いわ」


ボスクラスが二体、あんなの迷宮の下層にでも行かないと会えなさそうだ。

先に来ていたヴェントが

『鶏もどきがルーナを迎えに来たって言ってる。殺っていいか?』

元の大きさでバジリスクと対峙している。二メートル以上あるはずのヴェントが小さく見える。

「ええ、丁重にお断りしておいて」

『心得た』


そう言って尻尾をゆらゆらさせているヴェントを横目に私はワイバーンを見る。基本、上空から攻撃してくるので手が届かない。先生たちが魔法で攻撃するが、大きな身体の割に動きは早い。

「とりあえず、地面に落ちてもらいましょうか」

私は氷の魔法を唱えると、ワイバーンへ向けた。簡単に避けたワイバーンだが、氷は急旋回して背後からワイバーンの両翼を凍らせた。追尾型の魔法だ。


「流石ルーナ嬢、動きが早くて困っていたんだよ。そっちは任せてしまってよさそうだね」

修練場の結界を修復しながら、ファラーチ先生が言った。

「はい、あとからサンドロたちも来るはずですので」

「そっか。ありがとう。助かるよ」

そう言った先生は、結界修復に集中し出した。この修練場全体を修復するのは相当大変だろう。少しでも早く終わらせなければ。


両翼を凍らせたワイバーンは、地面へと落ちてきた。

そこへすかさず剣で貫こうと刺す。

「かった」

さすがドラゴンの端くれ。皮膚が硬い。私の力では奥に届かない。すると

「遅くなったな」

そう言って私の剣の真横に深々と剣を突き刺してレオ様が言った。


「さっすがルーナちゃん、翼を凍らせるとは。だけど俺の見せ場も残しておいてよ」

リナルド様だ。サンドロもいる。

「兄上、一体ずつですよ」

サンドロが言うと、

「よし、じゃあどっちが先に倒すか競争だな」

そう言って二人はそれぞれ目指すワイバーンへと跳ぶ。

リナルド様は水を乗り物のように操り、サンドロは土の足場をいくつも作ってワイバーンへと近づく。とても楽しそうだ。


キングオーガは先生たちが闘っているし、残っている魔物いたかしら?と考えていたら何かが凄い勢いで振り下ろされた。キメラの前足だ。

けれど、それは私に当たる前にレオ様が剣で食い止める。

「ルーナ、暢気すぎるぞ」

溜息をつきながらレオ様が言う。

「レオ様がいるので気が緩んでしまいました」

「はは、そうか。ならそこでワイバーンの核でも取っといてくれ。これは俺が殺る」

そう言って、キメラと対峙する。


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