力の覚醒
ゆっくりとルーナは目を覚ました。
「あれは夢?だったの?」
『ルーナには夢だけど、過去に本当にあった事よ』
驚いて声のした方を見ると
「月の精霊王様」
目の前に、銀色の美しい人が笑顔で立っていた。
「では、黒の精霊というのが……」
『そう、あの彼の身体を乗っ取ったものよ。純粋な悪。ルーナを好きな気持ちと、そもそもの性格の悪さが気に入られたんでしょうね』
月の精霊王様は悪びれずにそう言う。
「ふふ、月の精霊王様ったら」
『ふふふ、私ったら正直者だからつい。それでね、ルーナにこれを見せたという事はどういうことかわかる?』
「……私の力が覚醒したという事でしょうか?」
『そう、当たり。誕生日には少し早いのだけど。やっぱり私のルーナは優秀だったわ』
そう嬉しそうに言う月の精霊王様。
『黒の精霊も、あの人間の子を完全に乗っ取ったみたいだから、いよいよ力が完全に戻るはず。この子も誕生日を待たずして力が覚醒するようだし』
隣で首を垂れた状態で眠っているレオ様を見ながら言う。その優し気な表情がとても美しかった。
「ではもうすぐで、太陽の精霊王様と再会出来るのですね」
私はきっと太陽の精霊王様の事を考えているのだろうと思いそう言うと
『うふふ、そうなの』
そう言った精霊王様の頬にうっすら色が差したような気がした。
『彼、相当ルーナの事好きよ。太陽の力はね、月の暴走を止める事が出来る唯一の力なの。多分、一度暴走したあの時からあなたを守りたい想いが強くなったんでしょうね。その甲斐あって覚醒が早まっている。愛されてるわね』
ふふふと笑いながら月の精霊王様が言う。
「あら?月の精霊王様も太陽の精霊王様からとても愛されていらっしゃいましたわよ」
負けじとそう言うと、月の精霊王様が、あははと笑いながら
『ルーナ、あなたヴィットに似てるわ。人として群を抜いて美しい容姿も似ているのだけど、なんていうか言い回しがそっくり』
「そうなのですか?」
そう聞くと
『ええ。闘いの合間にね、ジェロディがヴィットのモテっぷりが凄いって話をした時があって……それを聞いた私が凄く愛されてたのねって言ったら、おや?月の精霊王も太陽の精霊王に凄く愛されてるよねって返されたんだけど……その時の言い方にそっくりだったわ』
ひとしきり笑った後
『良かった。ヴィットはちゃんと生きて、血を残していったのね。それが脈々と受け継がれ、再び私の愛し子として巡り合えるなんて……私の愛し子達はホントに優秀ね』そう言って私の頭を撫でたのだった。
『そろそろ彼が起きそうね』
そう言うと月の精霊王様は私の頬を手の甲で撫でながら
『覚醒したからと言って、ルーナ自身が何か変わるという事はないから大丈夫よ。そもそも月の力は不浄なものを排除する力なの。だからこそ、黒の精霊に効いたわけ。だから変に気負わなくていいわよ。まあルーナがそんな事で気負うなんて、あのヴィットの子孫だからないか。それと、私の事はモーネって呼んで』
「モーネ様?」
「ふふ、そうよ」
そう言って笑いながらまたねと消えて行った。
「う……ん」
月の精霊王様が消えた直後、レオ様が目を覚ました。
「あれ?ルーナ、今誰かいなかったか?」
「はい、月の精霊王様がいらして、私の力が覚醒したと教えてくださいましたわ」
「へえ、そうか…………は?」




