過去3
「ジェロディ!!」
ヴィットリオが叫ぶ。二人は幼馴染で無二の親友だった。あまりの魔力の膨大さに周りから敬遠されていた二人。必然的に二人で過ごす事が多くなるにつれてお互いを高め合い、魔物が出れば二人で討伐に向かい街を外敵から守り続けた。周りの者たちも次第に二人を恐れることを止め、受け入れ、尊敬するようにまでなった。
その自分の片割れとも言える男が黒い槍で貫かれている。その光景を目の当たりにしたヴィットリオの何かがプッツリと切れた。
放っていた光が更に力を増す。激しい光に、ヴィットリオの姿が光に吸い込まれたように見えない。力の暴走だ。その光量に答えるように虹色の球体が更に膨らんだ。先程より二回りほど大きくなったそれは、耐えきれず、弾かれたように黒の精霊へ跳んだ。
『ウガアアアアアアアア』
正に絶叫。それと共にもがき苦しむ黒の精霊。
ヴィットリオは力尽きたように倒れた。
一方のジェロディは黒い大きな槍に突き刺さっていたのに生きていた。貫かれた傷はある。でも生きている。相当な痛みもある。でも生きている、というか元気だ。
「どうして?」
実は死んでる?などと考えていたら、ヴィットリオが急に先程の数倍の光に包まれ大きくなった虹色の球体を離したと同時に倒れた。
「ヴィットリオ!!」
慌てて彼の元へ走り寄る。辛うじて息はしているが、身体がどんどん冷たくなっていく。
「ヴィットリオ?駄目だ、目を覚まして!」
呼び掛けるがピクリともしない。
「ヴィットリオ、僕を置いて行くな!僕とおまえの自警団がなくなったら誰が街を救うんだよ!ふざけないでよ!僕に全部押し付けるつもりなの!!勝手に逝くなよ!」
少しでも体温が下がらないようにヴィットリオをかき抱く
すると、太陽の精霊王からもらった炎の力がヴィットリオを包み込む。しばらくすると、ヴィットリオが目を覚ました。
「ヴィットリオ」
破顔したジェロディの顔が見えた。
「ジェロディ?」
「ああ、良かった。君、死ぬ寸前だったんだからね」
「え?」
「え?じゃないよ。本当に心配させて」
苦笑するジェロディを見つめる。ふと疑問が湧く。
「あれ?俺が死にそうだったんだっけ」
ヴィットリオは先程の光景を思い出す。
「……て、いやいやいや。お前が死んだでしょ。黒い大きな槍にやられちゃったでしょ」
「うーん……それがね、なんでかわからないけど、生きてたんだあ」
てへ、とした顔で言うジェロディ。
「一体どういうことなんだ?」
二人の頭に『?』がたくさん湧きだした時、やっと太陽の精霊王と月の精霊王が二人の傍に降りてきた。
『二人とも無事のようだな』
『うええん。ごめんねえ、ヴィット。暴走を止めてあげられなくて』
月の精霊王はヴィットリオの首に抱き着きながら言った。
「それはいいんだけど…俺らってなんで死んでないの?」
『ああ、それは二人とも我らの愛し子だからだろうな』
「なに?愛し子って最強?」
『そういう訳ではない。だが、どうやら我が太陽の力は、あやつの攻撃が致命傷にはならないようだ。それとこれは元々我の力の一つで、月の力の暴走を止める。月の力は、あやつを倒す事が出来るようだ。どちらも愛し子の存在ありきのようだが』
「なるほどね。それで、黒い精霊は無事に倒せたの?」
ジェロディが尤もな質問をした。




