過去2
禍々しいエネルギーが辺り一面を覆いつくす。
「これはまずくないか?」
太陽の精霊王を庇っていたジェロディが言うと
『仕方ない。我の力を授けてやろう』
そう言ってジェロディの額に指で印をする。
「これはちょっとシャレにならないんだけど」
こちらはこちらで月の精霊王を庇いながらヴィットリオが言う。
『一体この黒いのはどうしたら消せるのかしら?』
庇われながら月の精霊王が呑気に言う。
「ちょっとちょっと、マジで勘弁して。俺の綺麗な心が黒くなっちゃうよ。心どころか俺のイケメンな姿も黒くなっちゃったら、女の子たちが泣いちゃうよ」
『じゃあ、そうならないように加護あげちゃう』
と月の精霊王がヴィットリオの頬にキスを落とす。
『あら?あげ過ぎて愛し子になっちゃった』
その時だ。ヴィットリオと月の精霊王が白く光りだす。光はどんどん強くなり、ヴィットリオの胸の前に虹色の球体が浮かび上がる。
「何これ!?」
ヴィットリオが焦ってその球体を払おうと手を触れた途端、虹色の球体は物凄い速さで黒の精霊へ向かう。
黒の精霊の喉元に見事にヒットする。
すると耳をつんざくような声を上げ苦しそうにする黒の精霊。辺り一面に立ち込めてた黒いエネルギーが消えた。
『どうやらモーネの白い魔法と、愛し子になったそいつの魔力で作り出されたあの球体が効くらしい』
太陽の精霊王が言う。
「それだ!!」
月の精霊王とヴィットリオの声が揃う。
「でもそれってヴィットリオの身体にダメージはないの?相当な光だったけれど……」
「うーん。確かにめっちゃ魔力吸われた感じはしたけど、もう一発くらいならなんとかなるだろう。ダメそうならジェロディ治して」
「はは、君はいつもそうなんだから。わかったよ、言っても無駄だろうけど一応言っておく。無理はしないでね」
「おう」
大分、力が弱まった黒の精霊だが、これで落ち着く感じではない。やはりもう一度打ち込むしかない。
「月の精霊王、もういっちょ行くぞ」
『大丈夫?私でもちょっとあの魔力は辛かったわよ』
「なんの。ここでやらないでいつやるのさ?」
『ふふ、わかった。頑張ろう』
そう言って魔力を高める。
二人が白く光りだしたところで、黒の精霊が二人を見つける。
『銀の……こちらへ来い』
とまたもや捕まえようとしてくる。
「そうはさせない」
ジェロディと太陽の精霊王が立ちはだかる。時間を稼がなければ。より強力な光を作れるように。
他の精霊たちも月の精霊王とヴィットリオを囲むように守る。
皆のお陰で集中して光を作り出せる。先ほどのは偶然の産物。今回は意識をして作り出すのだ。明らかに強いものを作り出せるはず。
そうして出来た虹の球体は先程の倍以上の大きさだった。
その時だった。
「うわあああああああ」
ジェロディの絶叫が響いた。
黒い精霊がジェロディだけを標的に攻撃をしたのだ。真っ黒で大きな槍がジェロディに突き刺さっていた。




