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銀の天使と金の獅子  作者: BlueBlue
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私の家族

「まあ!それではそのご令嬢とお友達に?」

お姉様に問われる。

「そうなの。偶然にも私と一緒で今年から学院に入学するって。学院のお友達第一号よ!」


「サルマンティー家か。確か伯爵家だったね。あちらの領地では絹織物が特産品であったな…繊細な布地で貴族の間でも評判だったから、うちの鉱山で出る鉱石と合わせてドレスを作るなんていうのもいい商売になりそうだね」

跡取りとして少しずつ領地の仕事をしているお兄様は、早速商売魂が燃え出しているようだ。


「商魂逞し過ぎですわよ、お兄様。そんなだから未だに婚約者が見つからないのですわ」

呆れた顔をしたお姉様に突っ込まれる。

「それとこれとは話が違うよ。私の前に運命の人がなかなか現れないだけ」


 アルコンツェ家は代々魔力が強い。

そもそも初代が恐ろしく魔力の強い人だったらしく、以来ずっと魔力において、国の頂点に立ち続けている。


他にも初代の頃から受け継がれているものの中に、運命の相手を見つける能力というものがある。わかるタイミングは人それぞれらしく、相手に出会って直ぐにわかることもあれば、しばらくしてからわかることもあるらしい。


お父様曰く、相手の周りが光り輝いて見えるのが証なのだそうだ。

今の所、まだ私たち三人とも見つかってはいない。


それ故に、政略結婚というものはありえない。たとえ王族からの命であろうとも、どんなに結婚の打診をされても受けることはない。


それでも、秋波を送る者がたくさんいるらしい。

なにせアルコンツェ家はお父様もお母様もお兄様達も、もれなく美男美女。

お父様はサラサラの銀の髪にアメジストの瞳、すらっとした長身で全体的にクールな美形だ。


家族以外は基本どうでもいいと思っている態度がクールに見えるらしい。

舞踏会では、あの手この手でお父様を落とそうとするご婦人方が後を絶たないって、お母様はいつも黒い笑顔で笑っている。


私はクールなお父様、見たことないのだけれど。


 その容姿を受け継いでいるのがお兄様。

髪の色はお母様譲りのハニーブロンドだが、あとはお父様にそっくりである。

剣術も得意としているので実は結構な筋肉質の細マッチョだ。


ずっと領地にいたせいで学院に入学するや否や、見たことのないイケメンが現れたと令嬢たちが大騒ぎになったそうで、お兄様と目が合うだけで失神する令嬢が続出するという異常事態にまでなったらしい。

でも中身は、病的なほどのシスコンの上、性格はお母様に似たようでなかなかに腹黒い。


 お母様はというと、社交界にデビューしてからずっと社交界の華とよばれている程の美女だ。緩いウェーブのかかったハニーブロンドの髪にアクアマリンのような瞳、本当に三人も産んだのかというくらい華奢であるのに出るとこは出ているというなんとも羨ましい限りのプロポーション。

見た目に反して、アルコンツェ家の猛者共の手綱をキッチリ握れる程の強者である。


 お姉様はこれまたお母様にそっくりな華奢な美女。瞳の色はお母様よりも少し濃い、パライバトルマリンのような瞳。

こちらもお兄様同様、学院に突如として絶世の美女が現れたと大騒ぎに。

お姉様が微笑めば、周囲の男子生徒が傅くとまで言われている。

そんな様子に悪びれることもなく、平然としていられる彼女もまた立派な腹黒、そしてお兄様に負けないほどのシスコンである。


 因みに私は、お父様と一緒の銀髪にアメジストの瞳。

ただ私のアメジストには銀色の筋が幾筋か入っている。光に当たるとその銀色がキラキラ輝くのが自慢だ。


「何はともあれ、いよいよ我が家の天使がとうとう学院に入学ね。流石に大人たちのように、ルーナを手に入れてどうこうしようなんて思うおバカさんはいないでしょうけど……」

「大丈夫よ、お母様。ヴェントが居てくれるし、私に勝てる人なんてそんなに居ないでしょ」


「そうだよねえ。ルーナの剣を振るう姿はもう戦女神のようで……」

せっかく収まった捕物の話をまたぶり返すお父様。

「カルロ」

妙に優し気な声でお母様が呼ぶと嬉しそうに答えるお父様。

「ん?なんだい」

「役立たず」

「ぐほっ」

お父様、死亡です。


『あれだな、いつ見てもカルロは残念だな』

一心不乱にお菓子を食べていたヴェントが、お父様を見ながら言う。

「ふふ、それがお父様の可愛い所なの」

『おまえも大概だな』

「あら、そんな事言って。ヴェントだってとっても可愛いわよ」

仔犬姿のヴェントのモフモフを堪能しながら言う。


「待って!私は?私のことも可愛いと思うかい?それともカッコイイって思ってくれる?父上の方が可愛いなんて言わないよね」

「勿論、お兄様も可愛くてカッコイイわ」

「ああ、私の天使」

「はああ、この緩み切った顔を世の中のご令嬢方にお見せしたいですわ。」

お姉様が呆れた顔で言う。


こうして、アルコンツェ家の夜は楽しく更けていくのであった。


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