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銀の天使と金の獅子  作者: BlueBlue
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挙動不審

「ルーナ嬢!さっきの光は一体?何があったんだ?」

殿下だ。走ってきたのか、軽く息切れしている。


エジディオ様の事を話そうと殿下の目を見る。途端にボンっと頭が沸騰し、顔が真っ赤になってしまった。どうしよう、殿下の顔をまともに見ることが出来ない。殿下の周りが運命の人だと主張しているようにキラキラしている。


「あ、あの。エジディオ様が牢を破って私を連れ去ろうとしたのです。でも精霊さんたちに守ってもらったので大丈夫でした。エジディオ様はとても強い力を手に入れたと。確かに黒い嫌なオーラを纏っていました」

目を合わせることなく一気に言う。目線を外していてもキラキラが視界に入るんですけど。できればこの場から逃げ出したい。


なんて思っていると

「ルーナ嬢?何故目を合わせない?……まさか、アイツに何かされたのか?」

殿下が私の肩を掴んで目を合わさせようとする。それでも視線を逸らせると、私の両頬を押さえて無理矢理目を合わせられる。

「ルーナ嬢、一体アイツに何をされたんだ?」


殿下とバッチリ目が合ってしまった私は、急激に顔が熱くなるのを感じた。きっとまた真っ赤になっているだろう。キラキラが眩しい。殿下が離してくれないから目が逸らせない。熱がどんどん上昇する。ついに耐えられなくなり私は意識を飛ばしてしまった。


「ルーナ嬢!」

倒れ込んだルーナを抱きとめる。気を失うほどショックな事をアイツにされたのか?怒りと焦りで唇をかむ。


するとヴェントが

『貴様のせいだ、ばかもんが』と呆れた様子で言う。

「一体どういうことだ?何故俺のせいなんだ?」

先程まで闘っていたこともあって、気持ちの荒々しさが抜けない。

『落ち着け』


『あやつには何もされていない。精霊たちが守ったからな。だから気絶したのはあやつが絡んでいるわけではない』

「じゃあ何故?」


『それはまあ……ルーナが起きたら聞いてみろ。多分答えないとは思うが』

と、馬鹿にしたように言われた。それから真剣な様子で

『貴様はルーナを守り抜くと誓えるか?闘いを見て、少なくとも我は貴様を多少は認めている。だからこそ問いたい。これから先、我と同じ心積もりでいられるか?』

と問われた。そんなもの、ルーナと出会った時から決まっている。


「勿論だ」

俺も真剣に答える。

するとヴェントは

『ふっ。ならば貴様を、ルーナを任せられる男と認めよう。この誓い、違えるなよ』


そう言い、仔犬姿になる。

『さ、ルーナを連れて帰るぞ。我も腹が減ったしな』

と、さっさと先を歩き出す。


俺は密かに身を引き締めるのであった。


 夕食時。同じテーブルでいつもの面子で食事を取る。

しかし、ロザナ嬢とルーナ嬢の様子がおかしい。一口食べては溜息をする。


ルーナ嬢はあの後すぐに目を覚ましたのだが、やはり俺と目を合わそうとしない。どういう訳か、ロザナ嬢も似たような状態だ。アニエラ嬢が明らかにおかしいその様子に、何かを感じたらしくまだ食べている男性陣を残し、二人を部屋に連れて帰った。


一方、残った男性陣はというと、皆大きな討伐のせいで腹の虫が泣き止まず、ひたすら食べていた。

「騎士たちの話では、あんな所にトロールがしかも数体でいるなんて今までなかったって。もう一方でもオーガが出たらしいしね」

食べながら、リナルドが言う。


「それにしても殿下とヴェントは凄かったですね。あっという間にトロールを倒してしまってびっくりしました」

と感激した様子でサンドロが言うと

「ヴェントはだいぶ、加減していたようだがな。本気を出したら三体とも瞬殺できたらしい」


「それとエジディオの牢破りの件。ルーナ嬢に対する執着ぶりが危険だ。多分また彼女を狙って来るだろう。ルーナ嬢が言うには、黒いオーラを纏っていて、強い力を手に入れたと言っていたらしい。しかもその黒いオーラはどういう仕組みなのか、ルーナ嬢を無力にしてしまう」


「いよいよ大きなヤバい事が起きるのか?」

リナルドの問いにレオナルドは

「すぐではないが、確実に近づいてきているのは間違いないだろう」

そう言ってリナルドを見る。


「で、ロザナ嬢のあの様子は一体どうしたんだ?」

いきなり話が変わってびっくりしたリナルドが少し考えて言う。


「正直、よくわからないんだよね。あの時、腰の抜けた令嬢を他の生徒に預けた後、魔法を使えば彼女を簡単に運べたのに気付かないくらい慌ててたのか?って突っ込んだら怒ってね。その顔がまた可愛くて、まあ時間もなかったから許可なく抱きかかえちゃったんだ。それに対しても延々怒ってるからつい、冷静に対処できなかった君にとやかく言われる筋合いはない。守られるべき時は大人しく守られてろって言っちゃったんだよ。そしたらあんな風になって今に至るって感じ。怒ってるって感じではないみたいなんだけど……どうやってフォロー入れよう」

と悩みだした。


サンドロが

「兄上が女性にそんな言い回しをするなんて初めてなんじゃない」と驚きながら

「それで、ルーナの方は?」と、俺に聞いてきた。


「俺もよくわからないんだ。エジディオの事を話す時に目を合わせようとしないから、何かされたのかと聞いたがそうではないと言う。なのに目を合わせようとしない。彼女らしくないそれに、口に出来ないような事をされたのかと焦って無理矢理目を合わさせたんだ。そしたら気を失ってしまって。ヴェントが言うにはエジディオに何かされたというのはないらしい。俺のせいだと言われた」


「なるほど」

サンドロは何か納得したようだ。

「お二人とも、とっととご自分の気持ちを真剣に告げた方がいいですよ」


そう言うサンドロにリナルドが

「わあ、何その上からな感じ。じゃあサンドロはアニエラ嬢に気持ち伝えたの?」

と聞くと

「はい、今朝伝えました。夏休みにお互いの家に挨拶に行こうとも話しましたよ」

と、何でもない事のように言うのだった。


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