魔法学
今日はいよいよ魔法学の授業。
「さあ、待ちに待った魔法学の授業だ。今日は皆にあの水晶に触ってもらって、属性の確認をするよ。既にわかっている子達もいるだろうけど、より精密に調べたいからもう一度確認してもらうからね」
と、最後は明らかに私を見て言った。
「じゃあ、席順でそのままいこうか」
一人一人確認していく。中には初めて知った人もいるし、属性が増えたりしている人もいるみたい。
サンドロの番になった。
「おお、サンドロ君は加護持ちだね。流石、土属性の魔力がハンパないね。あとは、火の属性も少し出ているようだね。いいねえ。」
さすが魔法マニア。先生凄く楽しそうですね。
「次は……ルーナ嬢か。申し訳ないけどルーナ嬢は最後だ。だからアニエラ嬢、おいで」
私を待機させアニエラを呼ぶ先生。私を最後のデザートにするつもりらしい。
「アニエラ嬢は加護持ちではないにも関わらず、なかなか魔力が多いね。水属性と少しだが光属性もあるようだよ。光とはなかなか珍しい。軽い擦り傷程度なら治せるようになりそうだ」
アニエラは光属性の事は知らなかったらしく、驚きながらも嬉しそうだ。
「これならルーナやサンドロがケガしても治して差し上げられるわ」
もう、人のことを先に考えるなんていい子過ぎる。
それからも次々と調べていき、とうとう私の番だ。
「さ、次は……お、いよいよルーナ嬢の番だね。さあ、おいでおいで。私は今日を凄く楽しみにしていたんだ。さあ、早速どうぞ」
先生の所まで行って水晶を触る。途端に眩しい銀色の光で溢れる。目を開けていられない!教室全体が銀の光で覆われて、次いで白く輝き緑色に輝いて落ち着く。
「はあ、予想を上回る魔力だ。しかも氷と光がとてつもない量だね。風も氷や光程ではなくても人並み以上だし…それとこれはなんだろう、不思議な光があるのだけれど、なんなのかちょっとわからないなあ。これは詳しく調べてみたいねえ」
んん?怖いから嫌です。心の中で拒否しておく。
「思った通り、おもしろい結果が出て満足だよ、ありがとう。これで全員自分の属性を把握したね。これからはその属性を念頭に入れて勉強していくように。じゃあ今日はこれでおしまいだよ」
先生はそう言って、教室を出て行った。
傍にいた令嬢が私に向かって感嘆の溜息をつきながら「ルーナ様、ルーナ様の魔力、とっても綺麗でしたわ」と言ってくる。
「ありがとう。あなたの赤い光もガーネットのような深紅でとても綺麗でしたわ」
そう返すと、ぽっと顔を赤くして嬉しそうに笑った。
「確かにルーナの銀色の光は凄かったわね。サンドロの黄色の光も眩しかったし」
アニエラが自分の事のように嬉しそうに言う。
周りもそれぞれに称えあっている。このクラスは庶民の方もいるのだけれど、見下すような貴族の方もいないし逆に、卑屈になる庶民の方もいない。
いいクラスだわ。私はなんだかとっても心の中が温かくなった。
カフェでアニエラとサンドロを含め、クラスの友人たちで昼食を摂る。
先程の魔法学の話で盛り上がっていると
「あなたがルーナ嬢かしら?」
なにかしら、これ。デジャブ?
そう思いながら声の方を向くと、エジディオ様そっくりの女性が立っていた。
違う所はくるんくるんの縦ロールの髪と性別くらい?
「はい。ルーナは私ですが?」
「ふーん。見てくれはまあまあってところね。あなたに一応言っておくけれど、レオナルド様に馴れ馴れしくしないでちょうだい」
「はあ」
「あなたは侯爵家でしたわよね。私は公爵家なの。家格でもあなたは私に劣っているのだから出しゃばらない事ね」
それだけ言うと、彼女はさっさと去って行った。
「なんだったのかしら?」
「さあ?」
あまりの突然の出来事に皆でポカンとしていると、サンドロがぼそりと
「凄い攻撃力の高そうな髪型だったな」
「ちょっ、それ言う?」
一気に楽しい雰囲気が戻ったのだった。




