表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

恋唄

俺がずっと片想いしている律子は、先生のことが好きらしい

作者: 間咲正樹

須藤(すどう)先生、さよならー!」

「はい、さようなら」

「先生、じゃーねー!」

「はい、さよなら」


 絵に描いたようなイケメンである須藤は、女子達からの黄色い声をサラッと受け流している。

 クソッ、相変わらずいけ好かないやつだ。


「あ、あの……須藤先生」

「ん? 何だい」


 っ!

 そんな須藤のところに、俺がずっと片想いしている律子(りつこ)が、緊張した面持ちで近付いていった。


「あの、これ……、読んでください!」

「え?」


 なっ!?

 律子が須藤に差し出したのは、ハートのシールが貼られた可愛らしい封筒だった。

 あ、あれはまさか……、ラブレター!?


「……」


 須藤はラブレターを見つめながら、少しだけ困惑した表情を浮かべている。

 ――が、


「ありがとう。後でちゃんと読ませてもらうね」


 すぐにいつもの余裕ぶった顔に戻ると、そのラブレターを受け取った。

 はあああああああ!?!?

 お前の立場で、そんなもの受け取っていいと思ってんのかッ!?


「っ! は、はい……。返事はいつでもいいので……」


 律子は目を潤ませながら、口元を両手で覆った。

 ――その律子の顔を見た瞬間、俺の中で何かが弾けた。


「律子ッ!!」

「え?」


 気付けば俺は律子の腕を掴んでいた。


「帰るぞッ!!」


 俺は強引に律子の手を引いた。


「ちょ、ちょっと待ってよ慶介(けいすけ)! 私、須藤先生と大事な話があるのよ!」

「うるせぇ!! 帰るったら帰るんだよ!!」

「何でよ!? 理由を言いなさいよ!」

「くっ……!」


 こうなったらもう自棄だ。


「それは…………、お前が好きだからだよッ!」

「なっ!?」


 途端、律子は頬を赤らめた。


「な、ななななな、そんな……、悪い冗談はやめてよ……」

「冗談なんかじゃねえよ! 俺は……、ずっと前からお前が好きだったんだ」

「……慶介」


 律子はポーッとした顔で俺を見つめてきた。

 須藤はそんな俺達の遣り取りを、口元に笑みを浮かべながら見ている。

 チッ! とことんムカつく野郎だ。


「……行くぞ」

「う、うん……」


 俺は再度律子の手を引いた。

 今度は抵抗されなかった。


 見てろよ須藤。

 律子は絶対にお前には渡さねえからな。




「あらあら、どうかしたんですか須藤先生?」

「あ、園長先生。……いえ、どうやら僕は、慶介君に嫌われちゃってるみたいでして」

「え?……ああ、ふふふ、なるほど。慶介君は律子ちゃんが好きですもんね。三角関係ってやつですね」

「ハハハ、どうしたもんか困ってます」

「ふふ、それも保育士としての仕事の内ですよ。上手く対処してごらんなさい」

「はい。まあ、何とか頑張ります」


 おわり



最近の若い子は、早熟なんやなぁ(すっとぼけ)。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
応援バナー
(バナー作:「シンG」様)

バナー
(バナー作:「石河 翠」様)
(女の子はPicrewの「ゆる女子メーカー」でつくられております)
https://picrew.me/image_maker/41113
― 新着の感想 ―
[良い点] 女の子はませてるからね~。 (//∇//)
[一言] こういう恋愛モノも、いいですねぇ。 思わずニヤけてしまいましたよ(苦笑
[良い点] 恋唄シリーズ、ハズレなしですね。 レベル高すぎ。 オチがぁぁぁ! 黒鯛さまのレビューからきました。 楽しかったです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ