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美味

作者: 白

とあるところにおじいさんがいましたとさ。

そのおじいさんは孫に誘われてとあるレストランに行きます。

『世界一美味しい料理がそこにはありました』とさ

 少し未来のお話。周りを見渡せば機械の建物、機械の音、機械の体、そしてその時代で珍しくアナログな物をこよなく愛す一人の老人と、その孫の話。


:「じいちゃん!聞いてくれよ。最新の機械が出来たんだよ。おじいちゃんだって気に入ってくれるはずだぜ」

@「機械機械と、うるさいの。そんなに機械が好きか?」

:「あぁ、これから何もかも機械の時代だ」

@「機械になにが出来る、思いやりが出来るか。言葉がちゃんと通じるか?阿呆め」

:「そんなことをいうなよ」

@「儂は機械なんか大ッ嫌いじゃ。あんなものを信じれば最後に裏切られる」

:「ばあちゃんの話かい?」

@「そうじゃ」

:「その話なら耳にタコが出来るほど聞いたよ」

@「お前の祖母は機械に殺されたんだ」

:「あれは不慮の事故だったんだ」

@「機械なんぞ、殺人鬼だ」

:「じいちゃん。ごめんよ、気を直してくれよ」

@「ふん!直せるか!」

:「久しぶりに会ったのに」

@「お前が機械の話を早々とするからだろ」

:「そうだ、じいちゃん。気分を変えてこれからご飯でも食べに行こうよ」

@「うるさいわ」

:「そんな事いわずに」

『孫は無理やり祖母を連れ出す』

@「初の仕事祝いでお金が入ったんだ。世界一美味い飯をたべさせてやるよ」

:「そんなものはない」

@「いいからいいから」

『到着』

@「ほら到着」

:「おうおう、見栄えだけはさぞ立派なレストランじゃ」

@「だろう?奮発したのさ」

『料理は一つのシチューだった』

『フラッシュバック』

@「今日はなんだい?」

&「今日はシチューですよ」

@「またかい?もう食べ飽きたよ」

&「大丈夫ですよ。あなたの舌は熟知しいますから」

@「お前がそういうなら…」

『シチューを一口食べる』

&「どうですか?」

@「美味しいよ」

『フラッシュバックを終える』

:「さぁ、おじいちゃん食べてよ」

@「いらん」

:「なんでだい?おじいちゃんシチューをよく食べていたろ?」

@「ばあさんがいなくなってから、世界中のあらゆるシチューを食べてきたさ。きたけれど…、…けれどもばあさんに勝るシチューなどこの世にはなかった。それがこんなちんけな店にあってたまるか!」

:「じいちゃん…」

@「…」

:「ごめんよ、でもせっかく用意してくれたんだから一口だけでも…」

@「…いや、儂も悪かった、いいだろう。一口、一口だけ食べて終わりだ」

:「ありがとう、じいちゃん」

『一口よそう』

@「…」

:「ど、どうだい」

『祖父は泣いていた』

@「……」

『スプーンを何度も、何度もよそう』

@「…美味しい」

『祖父は泣きながら言った』

@「まるで、ばあさんが作った様だ」

:「じ、じいちゃん」

@「ありがとう、……ありがとう孫よ。こんなに美味しいものを儂にくれて…シェフに挨拶がしたい、呼んでもらっても良いか」

:「あぁ、勿論だとも」

『一台のロボットがやってきた。まるで祖母の様な装いだった』

@「こ、これは?」

:「俺が作ったんだよ」

:「なぁばあちゃんにそっくりだろう。おじいちゃんの味覚を科学的に分析し、一番好む味を配合させる機械なんだ。それだけじゃないぜ…」

@「これは、なんだ?」

:「ロボットさ。これで、もうおばあちゃんの事を忘れても」

@「も、もう良い

『祖父は薄気味悪い笑い声を少しだけ漏らし』

また儂は…機械に、騙されたんだな」

『そう言って祖父はレストランを出た』

『次の日祖父は自殺をしたという』


後味最悪。

話はバーゲンセールしてもいいほど持ってます。

800話近くの短編を作ってしまって、その所持に困ってましたら、こういうサイトがあって嬉しいです。

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