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8話目

「まさか戦神様と魔神様の名前が出てくるとはね。規格外なのも頷けるわね」


ギルドマスターは背もたれに寄りかかりながら正直納得してしまっていた。


「ミミル、ここで聞いた事は他言無用です。いいわね?」


ミミルは驚き戸惑いつつもコクリと小さく頷いた。


「続けてもいい?あの薬草は魔の森でじーちゃんと一緒に育ててたんだ。それをたまにじーちゃんが街に行って色んな物と交換していた物の一部を持っていたんだよ」


「薬草を育てた?薬草は育てる事ができない魔草よ?それは色んな識者も試して失敗しているのにどうやって?」


「薬草は育てられないなんて言うのは間違いだよ」


「なんですって?!」


「魔物が魔素を放ってるのは知っているよね?魔の森は魔素が濃い場所なんだ。魔草を育てるにはその魔素が必要なんだよ」


「魔素が薬草を育てるのに重要なんて......それじゃあ安全に採取できるように魔物を狩っている西の平原では魔力量が少ない薬草しか育たない......それなら魔物を増やすしか方法が......」


項垂れるように両手を組み頭を抱えてしまったギルドマスターとミミルを横目にウォードは方法はあると告げる。


「え?!どうすれば?」


「スライムって知ってる?」


「そのくらい知っているわ。それがどうしたの?」


「じゃあスライムの習性については?」


「スライムの習性?魔物なんだもの人を襲うことではないの?」


「違うよ、スライムは決して自ら他者を襲う事はしないんだ。むしろ人の事が好きなくらいだよ」


「それは本当なの?!」


「うん、人がスライムを見つけた時は魔物だと思って攻撃したり逃げたりするでしょ?スライムは自己防衛以外は決して攻撃したりしない臆病な魔物なんだ」


「それが薬草とどう関係しているの?」


「魔草を育てるのにスライムに協力して貰えばいいんだよ。魔草を少し植えてスライムを放しておけばいいんだ。スライムは綺麗な水と雑草や腐敗した肉とかが主食だから魔草は食べないし、スライムから魔草を育てる必要最低限の魔素が出るから魔草も育つ。ほっといても薬草が育つんじゃないかな?」


「そんな方法があるなんて?!でも西の平原にスライムが居たりしたら直ぐに討伐されてしまうわ」


「街中で薬草を育てればいいじゃん?」


「ダメよ!そんな事をしたら街中パニックになってしまうわ!」


「えー?スライムだよ?結構かわいいよ?」


「それでも魔物は魔物よ。お触れを出してもらえるよう許可を取って住民にもしっかりと説明してからでないと無理な話ね」


「許可って誰に取ればいいの?」


「それはこの街を治める公爵様ね」


ん?公爵様ってカイゼルおじさんの事だよな?帰ったら相談してみようかな?


ギルドマスターはこの件をどう進めるか頭を悩ませていた。


「もう日も暮れている事ですし、今日はこの辺にしませんか?」


ミミルがギルドマスターとウォードへ言うとギルドマスターはふぅと息をはき紅茶を飲み干した。


「ええそうね、この件はまた後日話し合いましょう」


その言葉を聞きウォードとミミルはギルドマスターの部屋を後にした。




「あの子がウィリアム様とオリーブ様の孫なんてね。これも運命なのかしらね」


ギルドマスターは夕日が落ちた空を窓から見上げながらそう呟いた。




「そうだミミルさん!これ貰って!」


ウォードはギルドから出ると魔法鞄マジックバックから昼間に買った花束をミミルに差し出した。


「こ、これを私に?!」


「うん!これからお世話になる事も多いだろうしね!貰ってくれたらうれしいな」


「そ、そうよね///変な意味じゃないのよね///」


「どうしたの?顔が赤いけど?大丈夫?」


「だだだ大丈夫よ?///ちょっと暑いかなーって///あ、あはははは///」


「大丈夫ならいいけど?じゃあまたね!」


......あの子は危険よ!天然の女性キラーの素質があるわ。私がしっかりとしなくちゃ!


ミミルの決意は決して報われない方向へ向かっているウォードであった。






、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、


「今日は色々大変だったなぁ」


「がぅ」


「お前は食っちゃ寝してただけじゃん」


「がぅがう」


1人と1匹はたわいも無い事を話しながら貴族街に入る門へと来ていた。


「そこのお前!止まれ!この先は貴族街だ、許可が無い人間を通す訳にはいかないぞ!」


門番がウォードとクロを不審者だと思い制止するように言ってきた。


「こんばんは、俺はウォードです。エッジワース家に泊まってるんだけど通ってもいいかな?」


「エッジワース公爵家にだと?ふざけなるんじゃない!お前のような見すぼらしい格好の子供が公爵家の人間な訳がないだろう!さっさと去らぬと衛兵を呼ぶぞ!」


「そんなに見すぼらしい格好してるかな?そんな事を言われてもな〜困ったな」


「ん?ウォードくんじゃないか。こんな所でどうしたんだ?」


後ろから声をかけてくれたのは黒騎士団団長のグランツだった。


「グランツさん!助かった〜門番の人が通してくれなくてどうしようか迷ってたんだよね」


「グ、グランツ様!!この者とお知り合いなのですか?!」


「あぁ、この子はエッジワース家の客人だ。何か問題があれば公爵家が黙ってないぞ?」


「し、しつれいしました!!」


門番は直ぐに貴族街へ通る門を開け敬礼の姿勢で直立不動になった。


「グランツさん脅しすぎだよ。門番の人が涙目になっちゃったじゃん」


「はっはっは、このくらい言っておけば忘れる事も無いだろうしな!ところでウォードくん?剣証はどうしたんだ?カイゼル様から頂いたのだろう?剣証を見せれば直ぐに通れただろうに」


「え?あっ!そっか!そうやって使うものだったんだね」


これって貰ったけどいつ使えばいいのかよくわからなかったんだよね


「次からは普通に通れるだろうが止められたら見せるといい。しかし無闇矢鱈に出すものでもないがな」


「ありがとうグランツさん!次からは気をつけるよ」


ウォードはグランツと共に屋敷に戻ってくるとクロは自分の住処のようにグランツと厩舎へと帰っていった。


クロのやつ順応早いなぁ。


「ただいま〜」


「ウォード様お帰りなさいませ」


屋敷で迎えてくれたのは家令のセバスだった。


「ただいまセバスさん。それと俺には様は要らないよ?」


「そういう訳にはいきません。ウォード様はエッジワース家の大恩人様なのですから。私の事もセバスと呼び捨てでお呼びください」


「えー年上にはちゃんとしなさいってばーちゃんからも言われたし呼び捨てなんてできないよ」


敬語が苦手なのに呼び捨てはできないウォードである


「ほっほっほ、では私も呼び捨てなどできませんね。お食事のご用意が整い次第お呼び致しますのでお部屋でお寛ぎください」


「そうだ!カイゼルおじさんは帰ってるかな?ちょっと相談したい事があるんだよ」


「カイゼル様ならばお帰りになっておりますよ。恐らく談話室にてエリアル様とお寛ぎ中かと」


「談話室か、ありがとう行ってみるよ!......談話室ってどこ?」


「ご案内致します。どうぞこちらへ」


この屋敷って無駄に広くてよくわかんないんだよね。


「こちらのお部屋です。どうぞ」


「ありがとうセバスさん」


ウォードがノックすると中からカイゼルの声で入れと聞こえてからドアを開ける。


このくらいのマナー?は俺でもできるもんね



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