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4話目

 豪華な食事はすっごくおいしかった。ふんだんにつかったスパイスと技巧を凝らした料理の数々。やっぱり料理人には敵わないな。今度教えて貰えないかな?



「さて、食事も大体終わった所で今回の出来事を少し聞いてもいいかな?」


「はい、大丈夫ですよ?」


「うん。大方のところはエリアルに聞いて把握した。今回はウォード君に助けられたようだね。本当にありがとう。」


「いえ、お嬢様にも言いましたがたまたまそこを通っただけだし、こうしておいしいご飯も食べられましたから満足ですよ」


「いや、たまたまでもウォード君が通ってくれなければ今頃どうなっていたことか・・・感謝をしてもしきれない。失礼だとは思ったが、これを受け取ってはもらえないか?」



 机の上にドサッと皮袋が置かれた。


「これは??」


「中に金貨50枚が入ってる。ぜひ受け取ってくれ」


金貨50枚!?

えーとー・・・

銀貨が100枚で金貨1枚だから?

銀貨5000枚!!どんだけだよ!!


「いやいやいや!!こんなに貰えないです!!ご飯だってご馳走してもらったのに、お金までいらないです!」


「いいんだ。ぜひ受け取ってくれ。エリアルの母親は今病気でいつ死んでもおかしくない状態だ。その上エリアルまで居なくなったら私は生きていけなくなるところだった・・・」


 病気?


「お嬢様のお母さんは病気なんですか?」


「えぇ・・・体がだんだんと石に変わってしまう病気で、今も部屋で寝ています。この街の医師様も治し方がわからなくて、途方にくれていた所、港町クリハルに戦神様がいらっしゃったと噂になり、その奥方様の魔神様ならもしや治せるのではと思い馬車を走らせたのですがもう港町にはいらっしゃらなかったのです」


 お嬢様が目に涙を浮かべ悲しい顔で下を向いてしまった。


 戦神?魔神?

あれ?どっかで聞いたような?


「その戦神様と魔神様って?」


「くすん。ウォード様はご存知ないのですね。戦神様と魔神様は祖父の時代に活躍されていたすごいお方のことです。戦神様はウィリアム・エンフィールド様。魔神様はオリーブ・エンフィールド様。お二人とも生きていらっしゃれば100歳を超えるとご高齢ですがとてもお若い方たちだと聞いています。オリーブ様ならば治療方法もご存知なのではと思ったのです。」



「あぁ。じーちゃんとばーちゃんの事か」


「!!!」


「ウォード様!?今なんておっしゃいました!?おじいさまとおばあさまと??」


「うん。俺の名前はウォード・エンフィールド。その二人は俺のじーちゃんとばーちゃんだね」


「なんと!!これも神の思し召しなのか!!してお二人は今どちらに!?」


「えっと・・・一週間くらい前に亡くなったんだ・・・期待させてごめんなさい」


「そ・・・そんな・・・もうお二人しか希望はなかったというのに・・・あぁぁぁああお母さまぁぁあああ」


お嬢様はその場で泣き崩れてしまった。


悪いことしたなぁ・・・


「そうか・・・すでにお二人は亡くなっておられたか・・・くっ・・・これで助かる見込み潰えたか・・・」


 う〜ん。でも、たしかばーちゃんの本の中にそういう病気の対処法とか書いてあったはず?だめもとで試してみるか?


「あのぉ・・・確信があるわけじゃないんだけど、俺でも治せるかも?」


「本当か!!?」


 旦那様に肩を抱かれてぶんぶんと前後にゆすられている。


うぇやめて〜めがまわる〜。


「ウォード様!?」


「うん。俺はじーちゃんとばーちゃんに鍛えられたからそういう知識も覚えさせられたんだ。治療の本も持ってるし、駄目もとで診て見たいと思うんだけど・・・だめですか?」


「ウォード様!!ぜひ!お願いします!お母様のお部屋へご案内します!こちらです!さぁ早く!!」


エリアルがウォードの腕を抱えるように掴みグイグイと引っ張りだした。


「お嬢様。そんなに引っ張らなくても逃げないからや〜め〜て〜〜。」




 屋敷の一室。


そこにはとてもきれいな女性がベッドの上で寝ていた。見たところもう腕も足も動かせないようだ。


「あらエリアル、あなた、お友達かしら?こんばんわ。こんな格好でごめんなさいね」


「お母様!こちらはウォード様です。お母様の病気を見てくださるとおっしゃってくれた方ですわ!」


「あら?病気を?ふふふ、ありがとう。でも大丈夫よ。今日はとても気分がいいの?」


「はじめまして、ウォードといいます。失礼だとは思ったんですけど、治せるかもしれないので診せてもらえませんか?」


「ウォード君を信じて一回だけでも診てもらおう。なっ?」


 旦那様も藁にもすがる思いなんだろうな。半信半疑でも俺に診せようとしてくれている。



 ベットに横たわる奥方様の頭に手を置いて診療を始めてみる。手からは水色の暖かい光が出ておりそのまま奥方様の体全体を包み込む。


やがてゆっくりと光は収まりウォードはふぅっと息を吐いて深呼吸をした。


「うん。やっぱり石表状奇病だね。」


体に毒素が溜まり四肢から石化してしまう奇病だ。空気感染はなく遺伝的要素が強い。


 鞄から一冊の本を取り出し、中を確認し症状と治療法を確認する。


「治るんでしょうか?!」


「うん。大丈夫だと思うよ?そんなに難しい病気じゃないからね。今から薬を作るからちょっとまっ?!?!」


「ウォード様ぁあああ!!!」


お嬢様がいきなり抱きついて泣き出した。女の子に抱きつかれた経験なんてない。しかも、泣かれながらなんて初めてだ。


「ちょ、ちょっと落ち着いてよお嬢様!じゃないと薬が作れないよ!」


「ウォード君!!本当に?本当に治るのかね!?」


旦那様も肩を揺らすのやめて〜。


うぇおぇ・・・


「だっい・・じょうっぶですから離してくださいぃ〜〜〜!」


「す、、、すまん!!つい興奮してしまってな!!」


「ぐすん。はい。申し訳ありません。わたし、うれしくて・・・くすん」



 ふぅ。やっと薬が作れるよ。


えっと〜材料はっと・・・


綺麗な水

マンドラゴラの茎

ジャイアントバットの羽

アカイモリの爪

竜の肝

...etc


「竜の肝だと!!そんなものこの街でも手に入るかどうかわからんぞ!?」


「あぁ大丈夫、全部持ってるから。竜ならなんでもいいからね持ってるのは地竜の肝だけど」


「まさかそんな・・・そんな物まで持っているなんて、君は一体何者なんだ?」


「俺?ただの10歳の普通の男の子ですけど何か?」



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