(72) 魔王様の婿探し (1)
ヒカリに変えて、半月以上Wi-Fiが使えませんで、更新が滞りました。すいません。
やっと、ネット環境が戻りました。
よろしくお願いします!
「オルテンシア様にもそろそろ王配が必要ではないか?」
「まだ、ご成体ではないがとりあえず婚約を結び、将来の相手をじっくり決めれば良い。」
「でしたら!ぜひ我が息子とは如何かな?年もいい頃合いですし。」
「はぁ?お前のバカ息子と?頃合いがいいのは年だけだろうが、王配は無理だ。」
最近、特に外野が煩い。
私は一応50才を過ぎた。人間なら中年、老年に差し掛かろうとしている歳だ。
2度目の人生、いや魔生?は、なんと魔族だった。しかも魔族の長、魔王。色々の魔族がいるなかで唯一の属性『魔王』として生まれたので、魔族としての属性を語る特徴的なものはない。
ただ、黒い瞳と黒い髪はこの世界では唯一無二の特徴で、やたら魔力が有るくらいで、コントロールにも制御が得意な従者に頼らざるを得ないし、なんとも情けないと自分でも思う。見た目がなかなか成長せず、この年で、成体でないなんてあり得ない!!と、思う毎日です。
今日の朝議を初め、私の父であるナバレ公爵はここひと月ばかり不在なため、チャンスとばかりこの話題ばかりだった。お兄様もいないし、抑止力がなくなると途端にこの調子だ。
「シア様はいいの?あんなに勝手なことを言われて。」自分はやっと晴れて成体になった宰相補佐パリス・アルセルム・タリスが言う。
初めて会った頃はパリス君だったのに、いつの間にか100才になってる!。見た目は人でいう17才位かもうすぐ成体になる頃です。あの頃よりグンと背が伸びて大人っぽくなっている。しかも、人狼族のため、背も高く、いつの間にかがっしりとした体型になっている。
ただ、人懐っこい瞳はそのままであるが、人当たりがいいのは表の顔、腹の底が真っ黒なのを私は知っている。・・・流石、未来の宰相様である。
それでも魔界は実力主義であっても、年功序列ではある。
朝議で、面会で、会議で、最近同じことばかり言われている。
「・・・子供、子供といわれ続けて何年たつと思うの?私はまだ成体でないの!婿?王配?次代の魔王は珠が決めるのに私に婿が必要とは思わないのだけど。」
「まあ、魔王の子が魔王になるわけではないから、そうなるのだけどね。実際、生まれながら属性『魔王』しかも女王は居なかったから、どんな子が生まれるのか皆、興味津々だよ。世界球に愛されし魔王オルテンシアの夫に是が非でもなりたい、とね。」
前にいる魔族達が、ずっと話続けているがたいした話ではないので、私達は聞き流している。
最早、私の未来の夫についての奏上はBGMのようなものになりつつある。ここ最近の毎朝の風物詩である。
「魔王陛下!?真面目にお聴きに鳴ってらっしゃるのか!?」勝手にしゃべっておいて、逆ギレするし。
「・・・いい加減聴きあきました。毎日毎日、私の婿探しより大事な議題があるのではないのですか。」
「しかし!貴方は昔からの同じ身内の忠臣を脇に侍らし、新たに使えるべき者を排除している。だから女王は政治に疎くて困る。もともと、そのもの達が政治を動かしていており、貴方が動かしていたわけではない。大人しく、政治を動かすことができる王配をつけ、その王配に政治をしてもらい貴方は子供を産めばいい。」
「これは聴きずてならない発言だぞ!!」
「ふん、女に政治は無理だと言っているのだ。」
まあ、それが本音なのでしょうね。
喚き散らすもの達を上の壇上から見る。
大人しく聞いていれば調子に乗るのはいつものことだけど、そろそろのはずなのにまだ来ないつもりなのかしら。
そこへ朝議が行われている部屋へ誰かが入って来る気配がした。
──── やっと、来た。
私は密かに息を吐き出した。
皆、ある魔力に吸い寄せられ入り口の方を見る。
「「「「ひいいっ!!!?」」」」と皆一斉に叫び声をあげ、恐怖に固まった。
魔界一の美貌、その美しさは全てを魅了し、時に毒のように妖しく侵食する。
仮面を着けていないカミーユは歩く魔眼テロである。
無表情なのに魔眼は発動されていて、カミーユを見てしまい、硬直している。硬化スキルが発動されている。
カミーユの持つ美貌と魔眼がどう足掻いても、吸い寄せられてしまう。
カミーユは魔眼のコントロールをあれから身に付けて、自由自在に操れるようになっていた。しかし、膨大な魔力を消費するので、私が近くに居ないとコントロールは出来ない、という但し書きがつく。普段は私の魔力を込めた仮面や眼鏡を使っている。
「カミーユ、わざと魔眼解放しているでしょう?」
「・・・朝議の無駄を省くためです。」と見事な曲線を描く、片方の眉だけを器用に挙げて、何か?と私を見る。
「シア様だって悪いよ。カミーユ様に遅れて来るように言ってあったのでしょう?」パリスはきちんと防御を張っていた。
「・・・・・。」無言で首を降るが、「バレバレですよ。」とパリスは一瞬腹黒い笑みを浮かべて直ぐにそれを消した。それを見て、私は苦笑を返した。
「・・・・遅れて来るように言ったけど、仮面を外して、魔眼を解放していたのはカミーユの判断よ。」ねえ?と私の前まで来たカミーユに確かめる。
「我が王、主人にこともあろうか女が政治をするなと、暴言を吐きましたので。またしつこくオルテンシア様の婚約者などと言い続け朝議の妨げになっていたので、先に話を進めるためですよ。この後、予定が詰まっているのです。」
「・・・まあ、いつも助かるわ。」
「各国歴訪の旅に行っていらっしゃるナバレ公爵閣下がどのような返事をお持ちになるかは未知数ですが、オルテンシア様の婚約は最早、国内ばかりではなく、周辺諸国の注目を集めていることは事実です。」
「まだまだやることが山積しているのにこれにかまけている時間など無いわ。でも、いっそ婚約者を決めてしまった方が五月蝿く無くなって良いのかしら?」とため息を吐く。
「・・・・とりあえず婚約者候補を挙げてくれる?」
「・・・・畏まりました。」とパリスとカミーユは王に頭を下げた。




