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オルテンシアの瞳  作者: 香葉
第1章 目覚めたら、魔王でした・・・
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(7)五大爵

続けて投稿しています。前話と分けています。

 


「…… いやぁ、あまりにも小さくて可愛くてだな、驚いたのだ。すまんな、オルテンシア様。私はクレモント当主ナユラユール・クレモントです。こちらは妻のジェシカです。どうそお見知り置きを。」


 一番大きな雄叫びをあげていた方がまず名乗りをあげた。


「こちらこそどうぞ宜しくおね……。」がいします、と続けて言おうとすると、途中でコホンと宰相さんの咳払いが聞こえる。


 あぁ、そうでした…魔王は家臣にへりくだらないのでしたね。とりあえず、ニコッっていうか、笑って誤魔化しておいた。


 お兄様にニコッて笑って首を傾げておけば、魔族のおじさんおばさんはイチコロだからって先程こそっと教えて貰いました。


 見るとクレモント伯爵はホニャって顔つきになりニコニコされていた。


 おっ、これぞ人心掌握術ってやつですね。若いときしか役に立たないあれです。


 30歳台になると途端に効かなくなるやつです。


 若いうちだけよ?お馬鹿発言も許されるのは、失敗しても若いねと笑って許されるのは、と先輩が言ってましたっけ。たしかに医師(せんせい)達の年齢差別は激しくて、まぁ巷でも同じでおじさま達の若い子好きがあからさまだもの。でもベテランになると対等にガンガン意見を言って、あれやれこれやれ医師(せんせい)に言える先輩に憧れてました。


「オルテンシア様?」考えに耽っていると宰相さんに声をかけられた。


 はっ、すいません。ちょっと前世トリップしてました。とりあえずタリスのおじさまにもニコッて笑っておこう。


 クレモント伯爵家当主は狼族(ライカン)でクレモントは貴色が赤なので、髪は見事な赤毛の大男でした。妻のジェシカさんは、蛇族(スネイル)らしく髪は白に近い金髪に目が爬虫類!で赤目で、「妻は白蛇なのでね、でも婚姻すると我が家の貴色の赤目に変わるのですよ。」元は五大爵以外からの出身だそうです。色素が薄いのに、目を赤い血の色、ザクロの実のようでちょっと意地の悪い笑顔を浮かべていて、何やら剣呑な雰囲気です。


 ……おねー様にはどうやらニコッが効かないようです。


 私が次の一族に目を向けると、スッと前に出てくる。色──五大爵は貴色が特徴的な魔族なので見分けやすいといえるかもしれません。


「お初にお目にかかります。私はサヴィン伯爵家当主キアラン・サヴィンと申します。そしてこれが弟のシセロ・サヴィンです。」こちらの兄弟は双子でサヴィン家は青が貴色なので、ふたりとも濃紺の髪に青い瞳だけど、弟のシセロさんの左眼は銀の瞳のオッドアイだ。違いはそれくらいで殆ど姿かたちが同じだ。そして見るからに吸血鬼(バンパイア)だとわかる切れ長の瞳は冷たさが宿っていて、値踏みするような視線が怖い。


 しかし、フッとキアランさんから笑みが漏れる。「そうか……。」と呟く。「?……何でしょうか?」と聞くと、「いえ、ただ将来が楽しみですね、魔王様。我が家からはこのシセロがあなた様の手となり足となり目となりましょう。」この人が私の騎士のひとりとなるらしい。


 そして不満を隠さないシセロさんが兄にせかされてやっと「…オルテンシア様、どうぞ…よろしくお願いします。」と小さな声でボソボソ囁くように挨拶してくれる。


 そんなに私の側に仕えるのが不満なのですかね?きっとこの人達に私のニコッは効かないでしょうね。ふぅ。


 ……私の側には無愛想な人ばかりで固められるらしい。


 タリス侯爵家からは、奥様のリリアさんは夢魔(サキュバス)、私より少し大きなくらいのパリス君がいた。少しと言っても見た目10歳、御歳50才の男の子です。でも見た目は外国の超人気アイドルのような金髪キラキラッの狼族(ライカン)の男の子です。おふたりには面識があります。


 次期宰相候補は彼なのでこちらも私付きの侍従さんだそうですが、幼いので幼馴染み的な?お友達候補です。


 娘さんもいて、うちのお兄様と幼馴染みのアイリーンさんはよくナバレ家に遊びに来てくれて、3人お茶会でお話しする仲なのですよ。

 お姉様はとても優しい方で、鳥族(バルドー)のカナリア色の美しい髪、金の瞳のお姿に、それは美しい声でまるで奏でるって言葉が一番似合う歌声に誰もが魅了されてしまうでしょう。

 因みにお兄様の婚約者ですのよ。


 でも、吸血鬼(バンパイア)とカナリアって無いよねぇ。確か吸血鬼(バンパイア)を見分けるためにカナリアを連れていくって映画とかでありましたよね?あれ?違った毒ガス感知でしたっけ?


 やはり魔族は前世の記憶や噂に違わず、美しい容姿をしています。元純日本人の平面顔族出身者なので、この美形度の高さには驚くばかりです。


 最後に、カミーユさんの一族が前に出てくる。


 当主はカミーユさんの父ナサニエル・アイヴァン伯爵とその妻ナキアさんは夢魔(インキュバス)の夫婦で、なんと言うか、妖艶で快楽好き、軽薄そうでいて腹黒い所がありそうな感じで、無表情鉄面皮のカミーユさんと違って享楽的な両親でした。……もしかするとあの両親だから、あんな無表情鉄面皮のお堅そうな人になったのかしら?魔術のアイヴァン家にして暗部も担ってそう。息子のカミーユさんはコルサコフ伯爵を名乗っていますが、貴族は本家筋とは別にたくさんの爵位をお持ちです。


 この美形揃いの魔族の中でもカミーユさんの美形度は突出し、女性も霞む程の完璧さで、無表情でなければもっと卒倒する人の山が増えそう。


 先程からクレモント伯爵の奥様ジュリアさんがあからさまな秋風が送られてますよー?。カミーユさん本人は堅くなに鉄面皮を保っています。……大変ですね。


 でも恐らく我がナバレ家が一番危険な一族であることは周知の事実で、なかなか風当たりが強いのだよ?とお父様は笑っていましたが、怒るととても恐いことは知っています。


 私は見た目も年齢も6歳で、知らないことばかり。成人と見なされるには100歳にならないとなれないし、でも中身はアラサーで、この魔界で生きていかねばならないらしい。


 魔族ウォッチは面白いけど、曲者揃いで(うちの家族が一番怪しいって宰相さんが言ってましたが)それぞれの思惑に惑わされることなく、魔王を務めなければなりません。



 まずはこの五大爵さん達の性格や思惑を見抜かないといけませんね。



 私はこれからを思い、ふぅと息を小さく吐き出した。










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