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オルテンシアの瞳  作者: 香葉
第2章 魔界の黎明
54/74

(54) 絶望と希望と ・5 ─── 贄の花



今回もカミーユの苦難の回です。残酷な描写や、性的な表現があります。R15でいけると思うのですが、苦痛のようでしたらとばしてください。


過去の話も佳境に入ってきました。暫くお付き合いください。


よろしくお願いいたします。


 


 何故、リシェーナがここにいる?


 私は何度も目を瞬かせて確認した。それこそ何度も。


 しかし、それは真実であった。偽りであれはどれ程よかったか。


 奴等の思惑通りに、私は魔眼を使う。


 私の魔眼で、魅了という名の奴隷調教されている獣人達の姿を見て、リシェーナは身体を強張らせていた。


 そんな悶え苦しむ様は、いくら夢魔であろうとリシェーナにとっては恐ろしいものだろう。



「・・・っくそっ・・よ、よくもっ・・!」私は感情を露に、心の底から怒りがわいた。怒りが魔眼の力を増幅させる。


「 ─── クッ、アーッハハッ!!滑稽だなぁ、カミーユ。奴隷どもが悶え苦しみ狂っているのは、お前の魔眼のせいであるということにを、そこの可愛いお嬢様にとくと魅せてやれ。ついでにお前の痴態もな。」と父がいい放つ。


「カ、カミーユ?」リシェーナ瞠目して私に怯えた瞳で私を見ていた。



  ───── クソッ、身体の自由が効かない。魔薬で侵され、蝕まれたこの身体をそして頭を使うのは本当に骨がおれた。


「・・・だ、大丈夫か?リシェーナ、・・はぁ、うっ・・」僅かに動くだけで、全身に激痛が走る。


「ああ、カミーユッ!」リシェーナは、殆ど下着に近い格好だった。後手に縛られていたが、足をやや引きずるように近づいて来た。抵抗したのか髪の毛は乱れ、涙に濡れた片方の頬は赤黒く腫れはじめていた。


「俺を見るな。と、特に、この、俺の目を見るな、リシェーナ。ううっ・・・」


 私は目を固く閉じて言った。薄暗い地下室といえど、至近距離で魔眼をリシェーナに曝さなくてすむようにするにはこれ精一杯で、しかし視界からの状況が見えなくなる。


「・・わかったわ、カミーユ。私はぶ、無事だから。」まだ、そう話せるのであれば身体は汚されてはいないようだ。良かった。・・・しかし、この先どうなるかは目に見えていた。



 絶望的な状況に、唸り声しかでない。頭を働かせろ!!



「はぁ・・これから、何が起きようとも気にするな。じっとしていろ。きっと、君の父上が助けに来るはずだ。ナバレの暗部が君を探して、うっ。」


「何をそこでこそこそ話している?」父親がイライラした声で言ってビシッと鞭で床を打った。


「なぁ、カーネリアンのお嬢さん。何をこそこそこの屋敷を嗅ぎ廻っていた?ああぁ、そうか!このカミーユを探していたのだっけか?」

 父の問に懸命にもリシェーナは無言を通した。というよりは怯えて声も出せなかったのだろう。


 父は曲がりなりとも、夢魔族(インキュバス)の長で、リシェーナは夢魔族(サキュバス)だから、無下にはしないはずだが、ナバレの血筋だから父がどうでるかは私にもわからなかった。


 この部屋につれてこられたのも、私を思うように従わせる為だろうから、あまり抵抗するのは得策ではない。


 でも、何も知らないリシェーナにとってはきっとこの状況は衝撃が強いのだろう。完全に怯えて震えている。


 私は殆ど何も着ていないのに等しい格好だし、首には調教の魔道具の首輪がはめられ、縛られていなくとも身体の自由が効かない状態だった。



 クソッ、もっと頭を働かせないと・・・



 魔力、私に魔力があればこの状況を少しは改善出来たかもしれない。クソッ、もっと私に魔力(ちから)があれば!




 そこへカチャリと音がして、この部屋の入口のドアが開けられた。



 入り口にはあのアルティオスが立っていた。気付いた時にはいなかったので、席を外していただけだったのか。


小児性愛者(ペドフィリヤ)のこの男はこの部屋の状況を見て、瞠目しそして厭らしい目付きで我らを見た。



 リシェーナに最後の砦の貞操防御の術は予め彼女の父親がかけていたのか、暴れた時の傷のみのようで、術を解除はされていないようだ。流石に複雑な術で保護されている。


「ほう?小賢しい術で保護されているようだな、カーネリアンの娘よ。」


 カツカツと足音を立てて我らに近づく父とアルティオス。周りの魔族も、獣人たちも固唾をのんでこちらに注目していた。


「っ、やめろっ!!リシェーナは関係ないだろ!」


「ほぅ?やっと喋るようになったか?」にやついて、嬉しそうに目を細める父親にへどが出る。


「 ─── ただ貴方には、頼みがあってなぁ。」とリシェーナの腕を引っ張って立ち上がらせた。


「 ─── ひぃっ!!」リシェーナが思わず声をあげ身体の小刻みな震えは、更に酷くなっていた。


 父はリシェーナの顎を自分に向け固定して、視線を合わせてニヤリと笑って言った。


「君がここに来たのならば、役に立ってもらわねばならない。何故なら全てはこの強情なカミーユの為に、役に立ってもらわねばならないからだ。 ─── "贄の花"よ。」そう言ってリシェーナの服を裂いた。「キャャ────!!」リシェーナが叫び、リシェーナの肌が晒される。ううっ、と泣いて踞ろうとしたが、さらにビリビリと服を裂かれていた。


「やめろっ!リシェーナに触るなっ!!───ぐっ、あぁぁぁぁーっっ!!」身体を動かしたとたんに雷撃が突き抜けた。身体が勝手にビクッビクッと跳ねる。口や鼻からは唾液と目から涙が絶え間なく流れ全身から汗が吹き出した。身体中が熱く疼き、開放を求めて身体が唸るように勝手に弾くついた。


 アルティオスだ。


「ほぅ?流石、カミーユだ。これほどの雷撃でまだ、意識を保っている。並の魔族は耐えきれなくなり、だらしなく許しを乞うのだが。」アルティオスは私の弾くつく身体を撫で繰り回して言った。


 (にえ)の花 ─── 奴隷に言うことを利かせるための、贄。


 奴等はリシェーナを贄の花に選んだ。


「いくら貞操防御がかかっていてもあの娘の矜持を壊すことはできる ─── いつまでも抵抗して頑固で悪い子のお前には、きついお仕置きが必要のようだな?」そう言ってリシェーナのほうに厭らしい視線を投げる。


 リシェーナもほぼ服を剥かれて、私と同じように肌を晒して震えていた。


 こいつは小児性愛者(ペドフィリヤ)だ。子供であれば男も女も関係なかったのか。男にしか興味がないと思っていた。


全身の毛が逆立ち、嫌悪感で身体が震える。「やっ、やめろっ・・・」リシェーナをこいつの餌食にだけは出来ない。


「 ─── えっ、聞こえないなぁ?なぁ、カミーユ?人にお願いする時はどうするんだっけな?」



 やめろ、ああ、やめてくれ。リシェーナを巻き込まないでくれ、いくら願っても、既に巻き込まないでしまっている。


 すまない。


 あぁ、リシェーナ、すまない。私のせいだ ─── どうカーネリアン卿に許しを請えばいいのか。大事な貴方の娘を、幼馴染みを巻き込んでしまった。



 それだけは避けたかったのに。




 もう、絶望しか私には残されていないのか?





「・・・やめて・・・下さい。わ、私が代わりに、罰を、罰を受けます。」












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