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オルテンシアの瞳  作者: 香葉
第1章 目覚めたら、魔王でした・・・
43/74

(43) 魔王としての戦い ─── 魔王国舞踏会 (1)

お久しぶりです。なかなか更新せずすいません。よろしくお願いします。誤字脱字いつもすいません。

 


 魔王就任式が終わり、夜は魔王国舞踏会


 今回の魔王就任式に長年敵対していた天使族(アンジュ)竜族(ドラゴン)の代表者が訪れており、何時とは違う緊張感を孕んだ異様な熱気と雰囲気に、王宮全体が包まれていた。


 ついこの間まで、三つ巴の戦いを繰り広げていた相手だ。特に魔族達の警戒感は強い。


 しかし五大爵のひとつ、そして魔王オルテンシアを輩出したナバレ家当主アレキサンダー・ナバレとその息子オーブリー・ナバレが他種族の間を取り仕切り、コーディネーターよろしく、間を取り持って積極的に動いた結果、祝杯を酌み交わす者も現れていた。


 特に、見たことも味わったこともない菓子や料理が振る舞われ、皆、魅了されたようだった。


 しかもそれを考案したのは、魔王オルテンシアと公表されると皆驚きをもって褒め称えた。





「こ、これは!とても美味ですな。今までにこのような美味しいものは食したことがない。」ある魔族が食べていたのは噂のナバレ家特製マカロンでありました。


「これが噂の、マカロンですね。」

「まだ幼く在らせられるのに、舌が肥えてると言うか、このような料理を考案できる発想力があるとは素晴らしい。」

「あら、ご実家の料理人が考案されたのではないか?」

「でも、これは門外不出と言われたナバレ家秘中のマカロンです。あまりの美味しさに、本当にオルテンシア様が作ったとは信じられませんでした。しかし私はオルテンシア様は自ら作られるのをこの目でみましたからね。」食べたことのある魔族は自慢げに話した。まさか、と声があがる。「それまで、・・ここで言うのは少し憚れますが、ナバレ家でもかつてはどこの家で出されるのと全く同じ菓子でした。しかし、オルテンシア様が生まれ、話せるようになると、まず、見違えるような美味しいお菓子を考案されたとか。」


 そこへ「こちらも今までに見たこともない、味も今まで味わったこともないものでございます。おひとつ如何ですか?」麗しき獣人メイドが天使族(アンジュ)竜族(ドラゴン)の者に、キャラメリゼされたプリンや色とりどりのゼリーを薦め歩いていた。そして歓声があがる。



 ─── 私はその光景を見て、ホッと胸をなでおろした。


 今夜ここまで色々な種族が一同に会した舞踏会が開けるとは思っていませんでした。


 私は、数多くの魔族や竜族(ドラゴン)天使族(アンジュ)、獣人族の王族などから挨拶を受けながら、周りをよく観察しようと、努めていました。



 獣人はどの国にもいます。特に従者やメイドの担い手としての素養が高く、多くの国で貴族に仕えていました。多くは、従順で器用であるので重用されていますが、肉体的な使役で、奴隷として扱う種族もいます。もちろん、魔族でも獣人族に対しそういう扱いをする者もいました。


 ここペルラでも人身売買が横行し、虐げられ、ある魔族から逃げてきた犬の獣人さんをこの王宮で始めて保護したのはちょうど半年前。


 身も心もボロボロで、それでも私のお菓子をそれは美味しそうに食べていた。


 でも、まだ私と同じくらいで、小さいのに儚く亡くなってしまった。看病しても、前世のように薬はなく、科学的な治療法もないこの世界で、魔法があるのに助けられない。自分の力不足を痛感した。


 この世界も貴賤はある。王族、貴族、平民とランクがあるのもわかる。


 それでも私は侮蔑的な態度を取るような者を見極めたいと思っていた。


 生まれで差別される ── 私はそういう考えは嫌だった。出身であるナバレ家ではもちろんそういう扱いはせず、むしろ積極的に虐げられる獣人を保護していた。


 私は生まれてから、病気がちで守られて育ってきました。


 魔王城に来る前は特に感じていなかったことが魔王になって、今までとは違う魔族達と触れ合うようになるとそういう考えを持つものが多くて驚きました。


 魔王になって、私はまずその獣人の隷属を廃止したかったのですが、魔族の抵抗は強いだろうと、周りに今すぐは無理だろうと言われていまいました。


 もちろん、カミーユさんにもお父様にも言われました。



「ふぅ・・今のところは、順調ね。」


 懸念していた異種族交流を喜んでくれているようで、よかった・・でも直ぐにでも打ち解けるのは無理があるのはわかっているけど、私が考えられる対策なんて、本当にたかが知れてるのもわかっています。


 とにかく「掴め!胃袋大作戦!」は成功のようです。菓子や料理のアイデアはすべて私が考え、対応もスムーズなコミュニケーションが取れるように、一年前から取り組んで来ました。


 うんうんと頷いていると耳許にフッと僅かだが息がかかった。


「────!!」ゾワワッ~!!

 耳は弱いのだっっ~‼

 思わず力を使いそうになりましたよ。風の魔力で相手を吹っ飛ばしそうになるところをもカミーユさんは眼を細めて私を見ていた。まじ魔法を放っていたら、魔王城はぶっ飛ぶでしょう。カミーユさんも私の魔力は今のところは制御していないようです。


「まずまず、今のところはトラブルはないようですね?」カミーユさんは麗しい瞳を見せていた。弱い耳許を狙って、しかも確信犯のごとくフッと笑って、それから直ぐに無表情の保護者よろしく私の側を離れない。


 その様子に私達の周りが、いっそうざわつく。魔眼封じが施されているためか、カミーユさんにも声を掛けてくる者もいた。以前よりずっと多い。


 あーあ、女性からの羨望と嫉妬の矢が私に降り注いでいるのよね・・・



 最近、前髪は長く後ろはスッキリと短く切ったブラチナブロンドを、今日は後ろに撫で付け、今夜も魔眼封じの仮面(マスク)からは紫色の瞳が妖しく輝き、無駄に赤い唇は美しい曲線(カーブ)を描いて、キラッキラッしている。


 魔眼が封じられているのにも係わらず、それでもカミーユさんは頑固に無表情を貫いていましたけど。


 令嬢やご婦人、病んだ(コワッ)瞳の男色家まで、まとわり付くような視線に晒され、魔眼はなくともそこにいるだけで、周りをざわめかせている・・・


 そんな私はというと、お子ちゃまロリータ全開で、物好きなロリコンおじちゃん達に狙われていました。


 怖いよ~


「カミーユ様もいつまでも魔王(おこさま)のお守りなどされず、私達とお話ししてくださいまし。」

「・・・・・特にお話しすることはございませんが。」カミーユさんは私を抱えて無表情にバッサリと切っている。


 何度も拒絶されてもご令嬢、ご婦人方は何度も繰り返しカミーユチャレンジをしていた。根性あるよ!


 しかし、その隙にもう一方から「お嬢ちゃん、美味しいのあげるよ~」・・・私の作ったお菓子を差し出す者もいました。


「そんな無愛想な侍従じゃなく、我らと話そう。」


 ロリコンだけでなく、ドラゴン王子やアルト達まで集まってきた。



 1年前、天使族(アンジュ)を迎えたとき、余りにもお粗末だった"おもてなし"に私は改善策をたて、提案した。


 皆、始めは他種族に対して、戸惑いと反発も混じった魔王城内の反応は、徐々にじわじわと浸透してきたと思います。


「就任式にお越し頂きありがとうございます。」過去に例にない就任式の他種族出席。アルト達は快諾してくれて、私としては昔馴染みに会えるのはとても嬉しい。「アルトもまた来てくれてありがとう。」

「・・・紫陽花(はるか)、元気そうでよかった。」と私に手を伸ばして、頭をクシャリと撫でる。前世と姿形が全く違う私達だけど、ぶっきりぼうな言い方のなかに優しさを滲ませいつも気遣ってくれていた頃の優しい瞳と、変わらない。

「しかし、お前の侍従は相変わらずだ。紫陽花(はるか)を抱え込んで、離れない。」アルトは眉間に皺を寄せて、カミーユさんを睨む。

「ん~、でも私、背が小さくて皆を見上げて話さないといけなくって、首が疲れるのよねぇ。」そう、なのでいつも誰かに何かしら抱きかかえられている。子供っぽくて嫌なのだけど、もう慣れたわ(笑)


 睨まれても、疎まれてもカミーユさんは通常運転中であります。


 アルト達が私たちの側にいるので、先程までカミーユさんを取り囲んでいた令嬢達や他の魔族は、私達を遠巻きに見ていた。


 天使族は後光を背負い、純白の羽、美しく優しげで儚げな外観を、呆気なく裏切るほど狡猾なうえ、傲慢で天使族至上主義的なところがある。きらびやかで細身ではあるが、好戦的でかなりの戦闘種族であります。力も能力もとても高い。


 流石に私とカミーユさんの側に、アルト達天使族がいたり、竜族(ドラゴン)がいればなかなか近寄れないのでしょ。


 アルトは、前世は私の幼馴染、今は天使族最高位に位置する医聖、熾天使してんし様である。流石に後光の威力も半端ない。


「あの、アルト?後で正式にお願いすると思うのだけど、私に治癒魔法を教えてほしいの。」


「治癒魔法?」


 アルトが私を診察してくれたように私も治癒能力があるのなら、是非使いこなせるようになりたいと私は思っていました。


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