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オルテンシアの瞳  作者: 香葉
第1章 目覚めたら、魔王でした・・・
40/74

(40) 魔王としての戦い ─── 女子も戦っています

 


 魔王即位式

 私は第21代魔王として、今日即位します。


 魔王の(オーブ)の伝達式の後、体調を崩さなかったら三月後だった魔王就任式は、天使族(アンジュ)との関係を回復させたこともあり、交流を持つようになり、即位式に招待することになったのですが、他の種族も興味をもったらしく招待してほしいと言われたらしいのです。特に、竜族(ドラゴン)がですが、魔界の樟気に耐えられる種族のみですが、招待することになったのですって。


 なるべく目立ちたくないのに、だんだん事が大きくなっている気がします。


 そんな私はまだ7歳なので、余興で私の将来の姿を御披露目するらしく、そうすることで幼いことで不安がる魔族たちや他の種族を牽制するのだそうです。



 まだチビ助で平凡顔なのに、私が成長した姿になってみせても、みにくいアヒルの子は大きくなって美しくなったけど私には無理だろうと思う。




 即位式の式次第をカミーユさんに聞きながら、私は頭にティアラをつけてもらいっている。後ろにある人型のボディに掛けられているのは、即位式に身につける豪華な魔王のマント。白貂の毛皮で縁取られた赤いマントは長く、ズリズリと引き摺らねばならないほどの長さだ。


 私の着ている白貂の縁取りの真っ赤なドレスは、お子ちゃまには大人っぽいデザインだ。


 そういえば、この衣装もひと悶着あった。


 お母様がなんと初めは白貂ではなく、妖しく黒光る黒貂の毛皮のマントと襟ぐりの深い、黒と紫色のドレスを勝手に注文していて、とりあえず衣装会わせしてみたら、見事にゴスロリで、妖艶さの欠片のない私では衣装に負けてしまってとても残念な、イタイ感じでした。


「・・・・・」皆、無言だったのはどうやって誉めていいものか、慰めればいいのか、と考えていたからだと思います。


 ええ!似合いませんよねぇ、幼児にこの衣装は。


 写真で見たことのある某国のロイヤルカップルの素敵な赤い衣装にしました。でも、白貂の縁取りはクリスマスのミニスカサンタ衣装に他なりませんが、もう気にしないことにしました。



 ああ・・また、お母様をないがしろにいているって?


 でも、皆が今回はとても・・・といってお母様を説得してくださりました。

「ま、まだ。その衣装はオルテンシアの可愛さを、殺して仕舞いかねないよ?」普段お母様に甘いお父様でさえ、言ってくださいます。


「でも、魔王ですものこれくらいは・・・」◯ィズニーの悪い魔女◯レフィセント風の衣装のお母様には合うかもしれませんか、私にはまだ早いです、お母様。


 また例のごとく、お母様はおよよと泣き崩れているが、ここは譲りません。



 私のティアラは魔法の制御付きの魔石が嵌め込まれていて、ある程度魔力がコントロールされている。・・孫悟空みたいな感じかな、一定の魔力を放出したり受けたりすると、ピリッと刺激が伝わり魔力を制御できる。白いムーンストーンです。華美すぎず、でも美しい石は私にとても馴染み、魔王の(オーブ)にも親和性が高いようです。


 これは、カミーユさんが贈ってくれました。


 これをみて、お父様とお兄様は呆れていたけど、どうしてかな?



 お父様は魔王城に漂う珠ちゃんから作ったらしい私に合わせた宝笏杖(魔法のコントロールに)を、お兄様からは反射鏡(魔を撃退って、私たち魔族ですけどね)を頂きました。




「・・・緊張、しますか?」延々と続くであろうかという、式次第を読み上げているはずのカミーユさんが一拍ののちそう尋ねてくる。


「・・・ん、だってまだまだ王を名乗るほどの力があるわけでもないし、このとおり馬子にも衣装って感じで豪華な服に着られちゃっているし。・・・ねぇ、本当に私が魔王でいいのかしら。」


「皆がついてます。大丈夫ですよ、オルテンシア様。これから学んでいかなくてはならないものは沢山ありますが、貴方は生まれながらの魔王であらせられますから、それは何事にも替えられない事実なのです。オルテンシア様に今足りないのは、"自信"ですから、それはこれから積み重ねていけばいいのですよ。」


 カミーユさんはいつだって優しい。甘やかされてばかりだけど、私に足りないものが沢山有ることは、承知している。


 甘ったれ魔王と言われないようにしないといけない。

「そうね、魔王の(オーブ)を受けた時点で今さらよね。心臓バクバクでもビビりでも、うん、笑っておこう!」


 カミーユさんが超絶美貌で、ビビり?と不思議そうに微笑んでいる。その妖しき魔眼に当てられ、メイドのルチアが後ろ向いてハアハアいっている。


 最近、うっかりよね~カミーユさん。


「カミーユ、気を付けて?魔眼抑えの仮面(マスク)着けていないのだから。」といって、ルチアの背をトントンと叩いて、魔眼の邪気を払う。


 カミーユさんと私は持ちつ持たれつの関係だ。


「オルテンシア様が直々に魔力を込めてくださったので、普段もつけたいのですがね。」とやや華美に作った仮面(マスク)をつける。


 今日は式典なので、片眼を被う仮面(マスク)を作った。実験台になったお兄様には気の毒だったけど、ほぼ魔眼を封じられるレベルになりました。


「そっかー、じゃあ眼鏡がいいかな?」

「めがね?」


 魔族は眼が良すぎて、眼鏡は不要なのですが、いいかもね。カミーユさんの眼鏡・・・いけるかも!


 今日のカミーユさんの仮面(マスク)姿もまたえらく格好よく、貴色の紫をあしらった黒い軍服姿だ。


 お母様が泣いて喜ぶ配色ですが、隣に並ぶ私に嫉妬の矢も降り注ぎそうです。


 これで私の衣装が黒紫だったらと思うと恐ろしい。



 私が「お飾り魔王」と言われているのは知っている。メイドや魔族の姫がこそこそ話しているのを聞こえた。



 強さがすべて


 美しさと魔力は比例して、力があるほど美しく妖しく、弱いものは捨て置かれる。


 魔族の姫に対面した時の言葉は大体同じです。


「・・・まあ、これは、なんと・・・お可愛い魔王様でらっしゃること。」


 何ですか、そのびみょーな間は・・・


 大方の魔族は子供の頃から、何だその色気は!というくらい、妖気を纏っている。男の子さえそんな調子で、カミーユさんの幼少時は恐るべき破壊力だったと想像します。皆さん美しいかまたまたゴツイか、筋肉好きには堪らないであろう肉体美、ボン、キュッ、ボンの良い女ばかりです。


 私は皆に癒し系?小動物系?くくり、だと思っています。・・・やけに抱っこされる。




 とある日のお茶会。


「でも、いつもカミーユ様を侍らせて勿体ないですわ。」妖艶令嬢は言う。


 うわ~舌なめずりが聞こえてきそう。


 侍らせて? 勿体ない?


「あの魔力、大変な美貌を陛下の側だけではなく、世の中にご披露頂きたいですわ。」別の妖艶令嬢がいう。


 ふーん。そうですか。過去の貴方達の態度は酷かったって聞いてますよ?



「・・・だって、カミーユ。」と遠話で伝える。


「えっ!?」妖艶令嬢は驚いている。

 カミーユさんは滅多に女子の前には現れない。基本的に女嫌いなのだ。


「まあ、今度は是非カミーユ様も呼んで頂きたいですわ。」と色めき立っている。ここは独身魔族の婚活かい!五大爵の子息、しかも独身、将来有望、王の侍従で側近・・・何とか繋ぎを取りたい、とお年頃の未婚女性の必死さはどの世界でも同じであります。


 このお茶会には男子は参加してません。妖艶令嬢達は五大爵程でなくとも、有力魔族、そしてお兄様の婚約者アイリーン様もいます。もちろんリシェーナさんは護衛として後ろに控えています。


「あら、カーラ様。カミーユ様は恐ろしいって言ってらっしゃったじゃない?今さらですの?」アイリーン様も言ってくださいます。


「まあ、最近のカミーユ様は(魔眼の威力が)落ち着かれて魔力もとても安定、いえさらに伸びたと言われていますもの。昔から、恐ろしくはあっても、あの美貌の方の側に誰もが並び立ちたいと思っておりますわ。」


 ・・・侍らすには確かに見栄えがいいですからね。でも、貴方だってカミーユさんの美貌の前では、残念ながら霞んでしまいますね。


 暫くして、囁くような低い声が届く。


「・・・断じて、お断りです。」

 苛つきと嫌悪を隠さない、遠話が届く。


 肩をすくめて、「暫くは忙しくて無理、だそうです。」と、無難なお答えをしておく。

「まあ、残念ですわ。でもいつまでも待ちますわ!また、お茶会に呼んでくださいますよね、陛下!」



 あれ、やんわりすぎたかしら?


 アイリーン様とリシェーナさんが苦笑している。「後でカミーユに怒られますよ。」とリシェーナさんに言われる。


 でも、あまりにも必死すぎて、ねぇ・・・女子の戦いも、どこの世界も大変です。




 後でカミーユさんに渋い顔をされたのはいうまでもありません。










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