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オルテンシアの瞳  作者: 香葉
第1章 目覚めたら、魔王でした・・・
38/74

(38) クロスロード ~時の交差点・1~

 


 俺は魔王オルテンシアの瞳を見た瞬間、前世を思い出した。


 俺はエリュシオン・カレル・ドラクスラー、竜族(ドラゴン)として生まれ変わっていた。そして、竜族(ドラゴン)の王の息子、王太子だった。


 竜族(ドラゴン)の王は世襲制で、世界球(ユニベール)から与えられた竜珠(リュージュ)は我がドラクスラー一族の血筋のみにしか継承されない。


 それは我がドラクスラーが特殊な一族であるからである。


 ドラクスラーの始祖は遠い彼の地からやっていたという。竜族(ドラゴン)は背中に竜の羽を持つ。

 しかしドラクスラーは竜の羽を持たない一族である。代わりに竜珠(リュージュ)を持つからである。竜珠(リュージュ)は全ての竜族(ドラゴン)を従える。

 竜族(ドラゴン)の王は竜王(ドラクルナ)と呼ばれ、持つ竜珠(リュージュ)は最強、最上級の緋竜球(リヒエリュージュ)となる。


 今は親父が緋竜珠(リヒエリュージュ)を持つことにはなるのだが、何分既に高齢ではあるが、死にそうにないので、俺に竜王位(ドラクルナ)が転がり込んで来る日は、まだまだ遠い先の話だ。



 俺もかれこれこの世界で70年は生きていることになるか。竜族の寿命は大体200~300歳位。幅があるが、竜族(ドラゴン)特有の(つがい)がいて、その相手は竜族(ドラゴン)とは限らないわけで、相手が人や獣人族だったりすると添い遂げようとするので、後追いで死ぬ竜族(ドラゴン)も多い。しかも(つがい)もなかなか見つかるものではなく、何百年も(つがい)が見つからず、狂い死んでしまうものもいる。


 ただでさえ、繁殖力が弱いため、(つがい)となっても子を成すこともできない(カップル)もいる。




 ****************




 昔から敵対してきた魔族を叩たき潰す好機が来た。


 我ら竜族(ドラゴン)天使族(アンジュ)、魔族は魔力の能力が総じて高く、長命である。この世界は我らに均衡を求め、他種族への不可侵を強く要望する。



 しかしその時、魔族は自ら滅びようとしていた。



 魔王は魔眼持ちの魔族に狂い、魔王の責務を放棄していた。もともとあの魔王は前の魔王を殺して、王に就いた簒奪者だ。その事から、魔族の強固な結束は少しずつ綻び、5大爵の中でも特に軍事力があると言われるナバレ家とサヴィン家は、何時でも魔王や他の魔族に対し、さっさと反旗を翻すのではないか、と言われていた。



 魔族を滅ぼす好機・・だった、はずだった。


 もう少し、あともう少しだった。



 ジリジリと魔族は後退していた。


 戦況は我らの勝利が濃厚。均衡を尊ぶ世界の枷もある程度折り込み済みでの、勝算があるからこその魔族攻撃だった。


 相手の総大将ナバレ侯爵の陣営まであと一歩だった。


 しかしそのナバレ侯爵は涼しい顔。近くで見るほど、敗戦の色濃い戦況にも、余裕があり、そして何かの知らせを待っていたのだろう。


 そしてゆっくりと目を閉じ、頷くと口許を崩して、ニヤッと笑った。



  ────「皆、目覚めよ!新たな魔王が誕生した‼」



 戦場にひとりの魔族の声が鳴り響いた。目を閉じて一拍ののち、あの妖しく輝る紫色の瞳をカッと見開いて、ナバレ侯爵の声は広い戦場の隅々にまで放たれた。



 それからのことは思い出したくもない。


 魔族達の戦いぶりは、今までの戦いは遊びだったのか?という位、苛烈で鮮烈な戦いぶりだった。



 これが魔族の実力なのか・・・・



「新しい魔王の誕生」ただそれたけで、まるで水を得た魚のごとく、死に瀕していた魔族の士気は蘇り、嬉々として反撃に出ていた。悔しいが侮っていたわけでもない。しかし、我らは文字通り軽くあしらわれた程度で、総崩れした。



 目の前の魔族は、この知らせを待っていたのか。

・・・そしてこの一言で魔族が目覚めることを知っていた。



 戦後処理が進められていく間に、新しい魔王があのナバレ侯爵の()だと、伝え聞いた。



 そして今、目の前にいるのがあの時の敗戦(・・)の原因となった魔王だった。



 このチビ助が?


 黒髪は魔族では最高の貴色らしい。顎下で切り揃えられたおかっぱ。



 お、おかっぱ・・・!?



 どこか・・で聞いたその単語。でも、明らかに、ここの言葉ではない。唐突に思い浮かんだ言葉ばかりではない。この魔王特有の瞳は、見たことのない色を宿しており、何故か懐かしさを感じた。


 これが、魔王の瞳 ─── 暁の瞳と言われる独特の色。近くでまともに見たことがなかったが、移り色と言われ、目まぐるしく色が変わっている。


 正に夜明けの移り行く空の色だ。


 そう認識した途端、ブワッーと記憶が俺に襲いかかるように溢れた。



『ちょっと、この人事故で頭部外傷で運ばれてきて、怖っ!この髪型、柄悪そう。でもこの髪も剃られちゃうわね~』


 そうそう、前世の俺はまあ、いわゆる、暴走族だった。警察に追われ、飛び出してきた何か(見間違えていなければあれは、この飛竜だったと思う)を避けて、ぶっ飛んだまではなんとなく思い出した。


 しかし、おい!何で寝てんだよ!あーあ、ひでー顔。腫れあがって俺のイケメンぶりをここのナースに見せてやれねーじゃん。髪型だって最高に決めてるのによ。


 笑うなっ!っておいっ!剃るのかよマジかよ・・・って半分だけしか剃らねーのかよ・・マジひでーあり得ねー・・・って俺、死んじまうのか?


『ちょっと、患者さんの意識がないからって、私語は止めなさい。』

『えー、でも冠城さん。この髪型ひどいですよ、片方だけって。本人目覚めたら怒り狂いそう。見てくださいよ、見事なこのタトゥーの竜。こんな綺麗なもの根性あるなぁ。相当痛い筈ですよ。』『・・・そうね。でも勝手に丸坊主にしてもいけないでしょ、さあ早くオペ出ししないと。チェックリストは出来たの?あと10分しかないわよ。家族の面会だって出来てないじゃない。今、家族来るから無駄話はせず、準備準備。』

『えーっ家族の面会なんて無理ですよ。』

『するの!貴方が家族だったら一目でも会いたいでしょ?』


『グリセオール繋ぎながらオペ行くよー?』『ハイ、準備できてます。』『血圧は?』『110から120台です。』『家族に面会させてよ~。したらすぐにオペ出しして。』


 両親が入ってくる。流石に青ざめている。やはり、俺死ぬのか?

『さあ、竜崎さん。手術に行かれる前にご両親が見えましたよ。分かりますか?』と言ってギュッと手が握られる。


 このナース、もしかして・・・・?

 覗き込まれたが俺は上から見ているから認識出来てない。親父と母親が面会して俺の身体に少し触れて離れていく。


『おい、俺は死んじまうのか?』というとフッとこのナースは上にいる俺の方を仰ぎ見た。『・・・大丈夫ですよ?』と白衣の天使様の微笑みだ ───ッ!!って俺が解るのか?というとニコってまた笑った。もうひとりのナースが『ちょっと、また冠城さん見えてるんですか~~っ!』って言っている。

『・・・そこに、幽体離脱してあそこにいるから、今のゆうちゃんの発言聞こえているみたいだよ?』

『げっっー、ヤだぁ~。』と騒いでいる。やっぱり俺、死ぬのか・・・とうなだれる。身体に戻りたくても、戻れない。

『・・・ゆっくりと寄り添うように近づいて下さい。戻れますよ?でも、麻酔かけるまえに戻った方がいいですからね。』


 よ、良かったぁ~


『また、後で会いましょう、竜崎さん。手術頑張って下さいね。』ニコって笑う明るい笑顔、緩くまとめられた髪。瞳の色は違うが、形は同じだった。


 ・・・俺にはわかる。あの時の冠城さんだ。



 そして、何で魔王に生まれ変わっているんだ?







 









ドラゴン王子も転生者でした。紫陽花さんは霊感強かったようです。

私の同僚も霊感強くて、よくそこのベッドの間にいるよ?と言われましたけど、霊感のないわたしは見えませんし、感じませんでした。


ホントに居たのかな・・・?幽体離脱してる人と話せるって・・・

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