(3)魔王の珠(オーブ)
少しずつ登場人物がふえます。そして世界観もパラレルワールドになっていくのを制御?しつつ話が進みます。
我が家の猫がオウオウ、アウアウ言って私を探してます。可愛いな~って思ったら、お腹にドンと登り、お布団の中に入れろとな…。
王城の中は、パラレルワールドだった。天界、時空の歪み、上下逆さま、宇宙空間、火山口(キラウェア火山みたいなドロドロ)はとりわけ地獄なのかな?、異世界への扉なんてものまである。
しかし、今日の目的は珠が集まる世界球の間だ。世界球は世界の均衡を司る。
魔王の珠はこの世界の均衡を司る珠のひとつで、世界球が親分なら、子分といったところかな。世界球の廻りを珠達が浮遊している。
とりわけここは宇宙空間のようなものと理解しました!って前世はさほど宇宙について詳しくなかったのでだいたいこんなものとお考えください。色のイメージも全く同じでした。
魔族に、天使、妖精族、小人族、竜族、怪鳥族、獣人、そして人族、巨人族、人魚族…って沢山の種族はなかなか共存できなくて、世界球が均衡を図り、争いがないようにしている。
ここ魔王城の世界球の間は、世界の均衡を司る球達を模した亜空間としては最大級を誇る。その管理を魔王が任されているらしい。魔力の均衡をとらないと争いが起こる。特に力を持つ天使、魔族、そして竜族の3種族の均衡を図るよう世界が定めた。
珠を世界に見立てた亜空間はそれは見事で、圧倒されます。
世界球っていつ誰が作ったの?─── そして気付いた。そう言えばこの世界に神はいない。世界そのものが神?
珠をそれぞれの種族の長に与えて、均衡を謀るように世界が調整えているわけで、魔王である私は、魔王の珠を受け入れ、魔王を正式に引き継ぐ為に魔王城へ来ているのだ。
「最も魔力に優れた種族のひとつである我々が、この世界球の間の管理を世界から託されているのです。」
城の城代と名乗り、宰相に代わって世界球の間に案内してくれたのは、カミーユ・クリストフ・アイヴァン、コルサコフ伯爵、─── 彼がこれから魔王城での私の専属侍従になるそうな。
彼はお父様と同じく吸血鬼で、とても見目麗しいが、整いすぎて冷たそうな表情をしている。挨拶しても無表情に挨拶を返される。
歳はほぼお兄様と同じだそうだが、殆ど表情筋が動いてないように見えるよぉ。
これから魔王の珠を受け入れ、魔力を使いこなせるようになるため魔法のお師匠さんにもなってくれるそうですが……。
身体が弱かった私は魔法を使ったことが殆どない。いきなり珠を受け入れて力が暴走しないようにしなくてはならないらしく、制御できる力が魔族でカミーユさんが一番らしいのです。
でもカミーユさん……、………無表情、こ、怖い。
今、私を抱いていてくれているのは、オーブリーお兄様だ。そのお兄様の首を思わずギュッとしがみつく。
「おいおい、カミーユ!しかめっ面を止めろよ。睨むからオルテンシアが怖がってるだろ?」オーブリーお兄様がカミーユさんに苦笑混じりで言う。
「…いや、別に睨んではいない。……まだ幼い姫が魔王の珠を受け入れることが出来るのかと案じていただけだ。」無表情に僅かに眉間に皺が寄るだけ表情が動いた。
「妹は生まれながらの暁の瞳、種族は間違う事なき"魔王"だぞ。それをお前が疑うのか?」
「…… いや。」
「まあまあ、オーブリー落ち着け。カミーユ殿はオルテンシアに会うのは初めてだろう?あまりにも幼いので驚かれたのだよ。…… 確かにオルテンシアが生まれてたった6年。これから魔王教育を受けるよりも先に魔王の珠を受け入れなければならない。受け入れる身体がこんなに小さくて耐えられるのかと思うのは当然だよ。」
「私もそう思います……。」と私が言うと、お父様の顔が綻ぶ。
「ふふ、魔族にしては謙虚な子だろう?」お父様はカミーユさんに向かって言う。
「でも魔族は他者にへりくだったりしないのだよ、オルテンシア。」
私はお父様の言葉に首を傾げる。よくわからないよ、お父様…… 。
私の前世は日本人!ノーといわない種族と言われたのよ?