(28) 告白 ・2 ── 恋はトライアングル!?
「酷いです、カミーユさん。あれをアルトに見せちゃうなんて!カミーユさんだって内容聞いたのですよね?!」
「オルテンシア様・・・」カミーユさんは私が何に怒っているのか判らなくて、困惑している顔だ。私はますます、何で理解しないのかと、イラッとしてしまった。
怒りを纏わすとはこういうことなのかな。
身体から、火が噴き出すような感覚。
私は、そういえば魔王だった。
この、初めての感覚、力を放出させている感覚。
怒りに任せて、力を放つわけにもいかない。
抑えないと、抑えないと ─── 私はなんとか、内から沸き上がる今まで感じたことのない力を感じていた。ブルブルと手が震えている。
うっすらと感覚の片隅には、カミーユさんが呆然と私を見ていながらも、私の魔力を制御してくれていると感じていた。
「あれをアルトに読解してもらうなんて、酷いじゃないですか!カミーユさんは折角綺麗なお顔なのに、無表情で感情を殺して生きていて、周りによそよそしい態度しかとれてなくて、人見知りで、でも私に見せてくれた本当の笑顔はやっぱりとても綺麗で。あなたをどうしたら笑顔に出来るのかと考えた計画なのに。側にいてもらえるように私のことを好きになって貰わなくちゃならないのに、知られたら意味がないんです!なのに、ニホンゴが解るアルトに見せるなんて酷いっ!」
私だって混乱していた。
だって、私だっていきなり思いのたけをばらされて、公開されたんですよ、本人に・・・?
ん?本人・・・に・・・あれ、カミーユさんに?
皆、ぼかーんと私を見ていた。因みに天使様たちは石化魔法は解除されていました。
私が怒りを爆発させた?のでなぜか解除されてしまっていました。
「紫陽花・・・」何?アルト。
「オルテンシア・・・」お兄様があちゃーって顔をして手で目を覆っている。
えっ、何か?─── んん?
「 ───── !!」げっっーーー!!
やってしまった。
やらかしてしまった。
・・・・私、やらかしてしまったようです。支離滅裂なことを言ってしまったよね?
汗がブワッって吹き出した。恥ずかしい。
猛烈に恥ずかしい。もう、知らないっと言ってどこかに隠れたい。
・・・皆、目を瞠って私を見ている。お父様は憮然としていましたが。
ああ、これが恥ずかしくて、死んじゃいたいって思う瞬間だよね、多分。
いちど死んじゃってるけど、・・・恥ずかしい思いはしなかったもの。
お兄様を見るとにやにやしている。
カミーユさんの無表情が消え、・・泣きそうで、・・・でもあの(・・)笑顔を浮かべていた。
「ふーん、因みにオルテンシアのその計画は何てかいてあったんだ?見たのか、カミーユ?」うっ、もう勘弁してください、お兄様ぁ。
「・・・カミーユ、まだあげないと言ったと思ったが?」お父様は苦虫を潰したように、ムスっとしていた。
「・・・私は内容を知りませんでしたが、今、オルテンシア様が教えてくれました。」カミーユさんはコホンと咳払いをする。「因みに、 熾天使殿は内容は教えてくれませんでした。以前、オルテンシア様を追求したときに、私を笑顔にする計画書であることは聞いていましたけど、人見知りでよそよそしいとまで、書いてあったのですか?」ん?追及の矛先が違ってきてはないですか?
「・・・まだ、そこまでは書いていませんでしたけど。」
私はもう顔をあげることは出来なかった。全身真っ赤だよ、きっと。
だって、やっぱり私、カミーユさんに告白しているみたいだったから。
やっぱりそう受け取られているよね?
「あーあ、オルテンシア。お前はどうしてこんなにお馬鹿で、可愛いのだ!」お兄様に抱きつかれて、ギュウギュウ締め付けられた。
・・・ええ、お馬鹿は激しく同意します。でも苦しいです、お兄様~。私たちの横にスッとカミーユさんが屈むのが判りました。そうしたらお兄様の抱擁も優しく包まれているかのように変わりました。
「オルテンシア様にお気遣い頂き、とても嬉しいです。」とにっこり微笑みました。
「げっっ。」そうしたら、お兄様が何やら落ち着かなげに、モゾモゾしだした。「・・・う、うっっ、カミーユ、勘弁して、くれよ?」魔眼に当てられかなり血が騒ぐ、とのことです。
「・・・私は生まれた時から、この魔眼のせいで、周りを混乱に陥れ、魔界を滅ぼす元凶と忌み嫌われ、避けられていました。幼い頃の私に友は誰ひとり居なかったのです。でも、こんな私にもオーブリーと乳母のサラがいて、私をあの地獄から救いだしてくれたのです。そしてオルテンシア様が魔王として生まれ、戦いが終結しました。・・・元凶となった私が魔王オルテンシア様の側にいてはいけないと思ったので、専属侍従の役目を辞そうと思っていましたのに、故かナバレ侯爵に選ばれ、まして小さい女の子の相手など出来ないと思っていました。初めは本当に困惑しまして、失礼な態度しかとれませんでしたが、オルテンシア様のお優しい気持ちに触れ考えを改めたのです。─── もしオルテンシア様がよろしければ、ずっとお側に仕えることをお許し頂けますか?」
泣きそうで、でも極上の笑みを私に向けてくれるカミーユさんがいた。
「・・・・カミーユさん。」この紫色の瞳が魔眼、皆を狂わせていたという狂喜の瞳と極上と言われる魔性の笑み。
でも、私には効かないと皆がいう。確かに、この魔眼は蠱惑的ではあるが、"狂う"気は起こらない。
私がまだまだ子供だからでしょうか?
お兄様はとうとう耐えきれなくなったのか、この腕に抱えていた私を手放した。それでもなんとか理性を保てるのお兄様も最早、奇跡に近いらしく、皆さんバリアのなかにいます。因みに、お父様がバリアを保持しています。お兄様は果敢にも私の保護の為(万が一私が狂うことのないよう))に私を抱えていたらしいのです。
私はカミーユさんの前にちんまりと座っていた。
「でも、私の気持ちやそして・・・存在は貴方には負担ではないのですか?」私はカミーユさんの生きてきた道程、どんな事を思って生きてきたのかも知らない。
前世でも、思えばろくな恋愛はしていなかったと思う。付き合ってみても、深い思い、愛情を相手に対して感じられなかったように思う。有斗は側にいてくれたけど、私は有斗にそういう感情は持っていなかった。
カミーユさんに対してもこれが恋とは、お互いにまだまだ程遠い感情だった。
ただ、側にいてほしい、側にいたいという思いは確かに有るのですが。
「寧ろ、とても嬉しいですよ?・・・まだまだ、お父様である侯爵のお許しが頂けないのは、私の方ですし・・・。」
お父様は無言だ。無言は、肯定。この魔眼に抵抗できる、もしくは影響されない者などいなかったらしいです。カミーユさんにとって唯一無二の存在なのだそうです。
「ああ、アルト。今はとても分が悪いみたいだよ?」セリムさんが面白おかしそうに言う。
「このアレキサンダーの時のように、異種間で結ばれるのことは簡単ではないよ。それでもいいの?」
「・・・・・。」そう言われたアルトの顔は酷く傷ついた顔をしていた。
「私だって、それなりに苦労した。」お父様が言う。天使様だったのに堕天までしていたなんて、お父様とお母様の大恋愛、羨ましいな。
「オルテンシア・・・期待しているところ悪いが、この父と母に素敵な物語は期待するなよ。」オーブリーお兄様は私を見てそう言う。
「・・・そうですよ。この人たちはもっとこの魔界と天界を混乱に陥れたのですからね。・・・思い出したくもない。いつまでも借りが出来た気分を引きずらなくてはならない私の身になってみなさい。最悪ですよ、この人たち。もと最高位の天使だったとは程遠いほど昔から、腹黒かったのですよ。寧ろなぜ天使に生まれたのですかね?」
「・・・お前にだけは言われたくない。」
お父様とセリムさんの仲は、コメディの様だけど、ね。
「・・・俺は諦めない。でも、魔王はこの世界ではまだ幼いし、これからは俺の想いを少しずつでも伝えていこうと思う。」アルトが私の手をギューと握った。
「アルト・・・。」と言うか言い終わらないうちに、脇から身体が引かれて中に浮いた。
「あっ・・。」
「カミーユ、お前っ!!」アルトは、いつの間にかカミーユさんを呼び捨てです。私はカミーユさんに抱っこされていた。
カミーユさん独占欲丸出しです。でも、お兄様もお父様も苦笑混じりで、決して怒ってはいなかった。寧ろカミーユさんを微笑ましく?見守っている感じでした。
まさか、この後何百年もこの攻防が続くのですから、この世界の時間の流れってとても贅沢だと思うのは私が前世の人生短かったためですかね。
私は心のなかで計画をまた立案した。
『今度こそ大人の恋愛をする!!』次は、もっと念密に立てないといけない。もっとこっそり書いて、わからないところに閉まっておこう!
私の時間はまだまだ続く事が出来そうで、まだまだ色々なことが起こりそうな予感がします。
また計画をこっそり立てて、懲りない子です。いつの日かまた、こってりとカミーユさんに追及のされるでしょう。




