(27) 告白 ・ 1─── それでも生まれ変われてうれしい気持ち
お久しぶりの更新です。なかなか産み出すまで、思いがけず上手くまとまらず、忙しくもあったので、やっとです。そういえば、もう師走なのでした。
「異議あり!!」とアルトが叫んだまま、何故か固まってしまっている。
皆、カミーユさんをみているが、動けないのはアルトだけらしい。私がパチパチッと目を瞬きすると、アルトは盛大に「おい!?お前っ!?いい加減にしろ!」とカミーユさんに突っ掛かっている。
「ちょっ、ちょっとアルト落ち着いて!何をしているのよ!」私は慌てて止めに入ろうとするが、何気にお兄様にかかえこまれているので、実際は手を振り回しているだけだった。
「もう、我慢ならない。何度も魔眼でメデューサみたく、硬化させるなよ!」
メデューサって、ギリシャ神話の目を見ると石化するあの魔物ですか?
「・・・そうでしたか?それにメデューサとは何ですか?・・・私に他意は無いのですが、すいません、制御出来なくて。」とカミーユさんは涼しい顔で対応している。『案外、熾天使殿は怒りっぽいのですね。」とボソリとカミーユさんが呟いて、それに対しアルトがピクリと反応し、一触即発って雰囲気です。
私はオロオロするばかりで、皆の顔を見つめるばかりだった。
「魔眼の"魅了"が、相手別に"硬化のスキル"も使えるようになるとはなぁ。お前使いこなせるようになったのか?」・・・これまたお兄様が呑気にカミーユさんに聞いているように見えるが、せっかくの笑顔はひきつっていた。
「・・・さぁ?」カミーユさんは超無表情になって首を傾げていた。
・・・この美貌で、無表情の首傾げって、こんなに怖いものだったのね。
「・・・カミーユ、まじ怖ぇーよその顔。もしかして、オルテンシアが影響しているのか。」
「・・・恐らく。」
「??・・・何のことですか、お兄様?」あのメデューサの石化スキルがカミーユさんにあるというのか、何やらこそこそとふたりで話している。
「いや、こっちの話だ。しかし熾天使殿が、オルテンシアの前世?では知り合いだったと言うが、そもそもオルテンシアの魂を強化するために、前世の魂と結びつけた??」
そりゃ突拍子もない話でしょうね。私もそう思います。前世の記憶を思い出したら、魔王と言われましたからね。
「オルテンシアは世界が魔王に相応しいと見つけてきた魂だからね。世界のお墨付きだ。」とお父様がにこにこと答える。
「魔王に相応しいかはさておき、私が前世持ちとお父様は知っていたのですね?」私も流石にお父様の話は驚きました。誰もわかっていないと思っていましたから。もしも前世持ちの話をしておかしいと思われるのが、怖かったのです。
「いや、誰かしらの魂とは思っていたが、生まれ変わっていたとしても、オルテンシアはオルテンシアであって、私とカリアの可愛い娘だよ?私たちは前世の君を知らない。ただ、この熾天使は、君の前世をよく知っているようだね?」
お父様の問いに、アルトはゆっくり頷いて話始めた。
「魔王の前世・・・紫陽花は歳が俺の二つ下の幼馴染みだった。親が従兄弟同士で親戚、元をたどれば血も繋がっているが、濃い血縁関係でもない。紫陽花は看護師になって働き初めて暫くした頃、よく肺炎になって原因不明の関節痛に悩まされていた。俺はそのころまだ医者じゃなく、商社に勤めていた。病気にかかった紫陽花は、入退院を繰り返していた。」
「従兄弟?恋人だったのではなくて?」
「や、いやだ、お父様。アルトはただの従兄弟で幼馴染みでして、頭が良く何でも出来て、雲の上の人ような遠い存在だったのです。・・あらだから天使に転生したのかしら?で、加えて医大に入り直して、医師になったのよね、アルト?」
「・・・・・。」あら、アルトが不機嫌そう。
「・・ただの従兄弟で幼馴染みだって。浮かばれないねぇ、アルトシオン。」クツクツとセリムさんが笑っている。だって、事実ですもの!
そう言われて、アルトはフゥーと大きな溜息を吐いて、苦笑していた。「・・俺が死ぬ頃もお前の病気は解明されていなかった。約束したのにな、ごめん。」
「仕方がないわ、私は感染症で死んだんですもの。」別に自分の死に、不満や、未練はなかった。「でも、アルトが私の死の床でごめんと言ってくれたから申し訳なかったと思ったの。医師になってひとりでも多くの人を助けてもらいたかったし、医師になって、生まれ変わってまで医聖とは、天職だったのね。」私はお兄様に離してもらい、アルトの近くにちょこんと座る。「貴方には色々慰められたし、最後の時も一緒にいてくれて嬉しかった。ありがとう、アルト。」またこうして生まれ変わって、またアルトに会えたもの。
「 紫陽花!お、俺は最後も何も出来なかった。・・だから言えなかった。・・好きだった、って。」見たこともないアルトの真剣な眼差し。
─── ええっ!?アルトが私のことが好きだった!?
一瞬私に対する告白とは思わなかった。
「知らなかっただろ?俺だって自覚したのが、お前の病気がわかってからだから。」あのアルトが照れてる。いつも、いじめっ子で、からかわれていたし、そんなそぶり一度もなかったよね?
「だからここには、魔王が紫陽花とは知らずに来た。でも、魔界で日本語で書かれたあの計画書を見て、紫陽花だって確信したんだ。」そして、アルトに私の両腕はがっしりとホールドされていた。本当に昔の日本人だった有人の面影は全くない。金髪、碧眼の熾天使様だった。
「今だって気持ちは変わらない。いや、この気持ちは本物だと確信した。お互いに姿形も種族も違うが・・いずれ、俺とけ、けっこ「いや、そればかりは許可できないねっ!」」」」とアルトの告白?にお父様、お兄様そしてカミーユさんままで強引に会話に割り込んで来て最後まで言わせなかった。
「・・・・。」またもやアルトは石化中、ビシッっと固まっている。それに他の天使さんたちも固まっている。
また、石化させたわね。会話は聞こえてるのかな?覗き込もうとすると
「オルテンシア様は今一度大人しくしていましょうね。」石化解除魔法が私の魔力なのかは、伺い知れないのですが、解除しないようにカミーユさんの制御が私にかかったようです。
「まだ、魔力のコントロールが効かないようなので、抑えます。・・私の魔眼が、個別にスキルが使えるようになったのは、多分オルテンシア様の魔力が私に流れて来るからです。」
「確かに俺たちにも流れてきている。」お兄様も言う。お父様が言うには私の魔力が垂れ流し状態になりかねないので、危険だということだそうです。
「あ、あのぅ~?」おーい、私の話を聞いとくれ!
「全く世界も面倒なことをしてくれる。オルテンシアの前世を知る男を送り込むとはな。」「でも、あの医聖でなくては、オルテンシアが回復できなかったとしたら?」「あいつは回復魔法しか使っていないと言ったぞ?」
「カミーユの薬が効いたのだろう。普通我々には薬なと不要な物だからな。」
「しかし、回復魔法の使い手が我々魔族にいないのは、今後も困ったことになるかもしれません。」
「あの~?ちょっといいですか!」ぜんぜん私の話を聴いてくれない、3人の会話に私は大声で切り込んだ。
「「「なんだい、オルテンシア?」」」3人が同時に私に振り向く。
「私の計画書、アルトに見せたんですか?」
「あっ、オルテンシア様が目覚めず、薬や、ハーブなどのことを調べていたのです。薬などについては人族の本からしか知識を得ることが出来なかったので、ニホンゴで書かれた薬物の本をようやく見つけました。熾天使殿が魔界に来たのはその頃で、ニホンゴがわかるとのことだったので、本の詳しい内容やオルテンシア様が書く文字がもしかしてニホンゴなら、熾天使様ならわかるのではないかと思ってみせたのですが・・・。」カミーユさんの声が段々、尻すぼみになっているのがわかる。
「・・・恥ずかしい。ひどいです!!カミーユさん。」
「えっ・・・?」
そう、私は怒っているのです!




