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オルテンシアの瞳  作者: 香葉
第1章 目覚めたら、魔王でした・・・
22/74

(22) 目覚めたら

 


 あれ・・・ここはどこ?




 ・・ってここは魔王城の私の部屋でしたね。


 ちゅんちゅん雀さんの(さえず)り、平和だなぁ。


 ・・・いや違う。ここは魔界。

『ギャアアァァー!』と聞こえる怪鳥さんの叫び声は、・・・夜が開けたのね。



 私は魔王に転生しました。昨日、魔王の(オーブ)伝達式で魔王の(オーブ)を受け取りました。



 ん?身体が軽い?


 起き上がって周りを見ると、あれれ?と部屋のなかにあちらこちらに倒れている人達がいますが?


 カミーユさんはベッドサイドにある椅子に掛けていて私の布団の足元辺りで突っ伏しているし、お兄様は窓際の椅子にいて、部屋の出窓に寄り掛かって寝ています。ルチアは部屋の入口近くで椅子に掛けて寝ています。



 ピクッ!カミーユさんが動きました。起きて、目をパチパチっと瞬かせて、私を見てハッとして瞠目していた。


 カミーユさん、寝起きでも、超絶美形・・。流石です!


「オルテンシア・・様、起きられて大丈夫ですか?」

「はい、何かスッキリして身体が軽いです。」


 カミーユさんはハアァァァー、と盛大に息を吐いて、「それはようございました。」と安堵の笑みを浮かべていた。・・・安堵?と首を傾げていると、「もう半月も目を覚ますことがなく、ずっと昏睡状態だったのですよ。」


「えっ~!?寝たまま?半月もっ?」


 カミーユさんがそうだと頷いている。


 マジに?

 そのうちにお兄様も目をパチパチして、目を開けた。

「おうっ、オルテンシアやっと起きたか?」

「お兄様・・」まだ寝惚け顔のお兄様。


「・・もうあまり心配かけさせないでくれよ。」そういって立ち上がって私のもとまで来たお兄様は私の頭をくしゃくしゃと撫で回した。


「半月も寝ていたのですね。すいません、ご迷惑をお掛けしてしまいました。」私はふたりに謝りました。(オーブ)の伝達式は私にとって、昨日のことのように感じられた。そんなに日がたっていたなんて。


「迷惑など!」カミーユさんは慌てて否定してくれた。

「心配したぞ~。皆、懸命に看病したんだぞ。カミーユなんかな、人族の薬やハーブの本から研究して、解熱やら、滋養がつくものなどを見つけてきてくれてさ。」

「・・でも結局は、治癒魔法のお陰で良くなったようなものです。」と、カミーユさん。


「治癒魔法?」あれ?ほとんど魔界には治癒魔法が使える人がいないと、聞いていましたが?

 人族の言葉だって、カミーユさんだって読めていないはず。


「親父が世界に仲介を頼んで、天界から治癒魔法にたけた熾天使(セラフィム) 派遣を要請したんだ。で、数日前診てもらって、魔法酔だっていうことらしい。

 オルテンシアの体の中と、魔王の魔力が上手く混じり会えず、高熱が続いて、暫く昏睡状態だった。我らは治癒魔法が使えないから、カミーユが人族の本から調べて、薬を作って与えていた。熱は下がったが、オルテンシアがなかなか目を覚まさないって、もう頼むしか手段がないのかと、言っていたらいつのまにか親父が頼んでいて、そのころやっとこさ天使様たちが来たってわけ。」


 皆さんに大変ご迷惑をかけたようです。とても疲れて、・・やつれて本当にすいません。


「カミーユさん、有難うございます。・・ごめんなさい、あの、私、全然覚えていなくて。」


「いえ、元気になっていただければ、私のことなどいいのです。」カミーユさんはとても柔らかく笑ってくれました。


 今までで一番の笑顔です。

 笑顔頂きました~!!



 傍らには、ルチアもいて、なぜか目隠しをしている。なぜ・・・?「さぁ、朝の用意をいたしましょう。」と言ってベッドから降りるのを手伝ってくれます。


 カミーユさんは無表情になっていました。


 寝たきりだったわりに、筋肉の衰えがない。驚いていると、「人族の本を読んで、寝たきりは筋肉が衰えると書いてありまして、筋肉が衰えたり、関節が固くならないように、、マッサージと運動をしていました。」


 カミーユさん凄い‼・・まさか拘縮予防(こうしゅくよぼう)までも?


「"寝だこ"の予防に体の向きや位置を定期的に変えるように書いてありましたから、そのようにしましたけど・・・間違えでしたか?」


 ・・・寝だこって。いえいえ、さらに褥創(じょくそう)予防までしていただいて!

 脱帽ですよね~そのスキル。って、日本語ではなかったの?

「翻訳版を見つけました。」

「はぁ、カミーユはオルテンシアが倒れてからというもの寝食をも惜しんで、研究に没頭していた・・・。本当、スゲーよ。」


 どこか遠い目をして言うお兄様。しかし、感謝しないとバチが当たるからな、とも言う。


 トントンとドアがノックされる。カミーユさんの表情が何やら険しい。

 寝室のドアの先、魔王の居室の先で何やら押し問答中ののようです。ここはお任せくださいとルチアが言う。まだ、目隠し中。・・なぜ?


「魔王が起きたと聞いたのだか。」

「まだ、お仕度ができておりませんのでここはお引き取りください。」私の侍女のルーナが頑張ってます。


「はぁ、アイツまたか。」

「・・・?」

「いや、熾天使(セラフィム)だよ。毎日、オルテンシアは起きているかと訪ねてくる。もう、帰ってもいいのにな。」チッとお兄様の舌打ちが・・。


 熾天使(セラフィム)様には、御礼はしなくてはいけません。しかし、いくらなんでもまだ仕度が出来ていない。朝食にお誘いすることにして、今は引き取って貰うよう頼みました。


 やはりまだ起きたばかりですし、初めてお会いする天使様達の前に、お風呂に暫く入っていないまま会いたくないで体は拭いていてくれても、やっぱりね。浄化の魔法もなぜかさっぱりした気分がしないのですよ。やはり前世は日本人なので、お風呂に浸かりたいです。



「ふぅー。生き返るぅ。」


 ・・これにビールがあれは最高!ってなりますが、私はまだまだ子供だった。


「ぐぅぅっ~~!」あっ、盛大にお腹が鳴ってしまいました。



 クスクスとルチアに笑われました。


熾天使(セラフィム)様と会う前に、何かお腹に入れられるようにしましょうね。」



 はい、そのようにお願いします。

 お腹が空いたよぅ。



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