(1)生まれ変わったら、魔王でした
異世界転生と魔族のお話が書いてみたくなってしまいました。色恋あり、前世の知識を生かして奮闘する予定です。
すいません、きっと気ままに話が進みます。
私には、前世の記憶がある。
それは生まれた時にはなかったけど、大きくなるにつれ朧気で不確かな記憶が混乱し、言葉を話し始める頃になると、全く違う言語であったため混乱してしまい、現世の言語が話せないまま、高熱でうなされる日々が続いたのだそう。
口から出る言葉は理解できない言語(日本語)だったので、もうすぐ神に召される、と思われてるいたらしい。
そう言えば、英語は中1の二学期で早々に躓いたっけ……な…
私の名は、オルテンシア・ナバレというペルラ王国の侯爵令嬢として生まれ変わっていた。
熱にうなされていた私は、突如前世の記憶を思いだし、日本語で「ココハドコ?ワタシハダレ?」と言って目覚めたらしい。
────なんかチープな記憶喪失者定番のセリフだったようなのだ。
思い出しても恥ずかしいその言葉は、私の素晴らしいお兄様が、理解できないままに、セリフごと覚えており教えてくださった。兄は一度聞けばすべての言葉を記憶する素晴らしい能力の持ち主でいらっしゃる。
そして高熱から目覚めた私は、前世の記憶を思い出していた。
前世は日本人であった私の名は、紫陽花が咲き綻ぶ6月生まれだったので、冠城 紫陽花という、・・・かなりのキラキラネーぶりでムだった。
何故か前世の名残なのか、現世での名前はオルテンシア、前世でいうフランス語、こちらの言語でも紫陽花という意味でした。
私の瞳の色がとても珍しい色で、紫陽花のように移り色で、感情によって色が紫色から青色まで変わるから、そう名付けられたそうです。
紫陽花の英語名は確かハイドランジアだったので、英語名でなくて良かった。
さて、何度も言いますが、私には前世の記憶がある。
前世はなんと白衣の天使(もはや死語)バリバリ現役の看護師さんでしたが、30歳前に、病気で死んでしまいました。
その頃と現世の身体が弱いのは変わりないようで、そう言えば、前世の私の幼馴染みが医学部に入り直して、医学部2年の時だったっけな、私が死んだのは。
どうしたかなぁ
無事、医者になったのかしら。
医者になって、私の病気(難病でした。)を解明してやるって言ってましたね。
散々、研究されてもわからないから、難病なのにな。でも死の床で泣いて、間に合わなくてすまないって言ってくれただけでも、嬉しかった。
私は看護師だったからもう自分は永くは生きられないとわかっていた。
その時は、こうして生まれ変わるとは全く思っていなかったし、ベッドの中でよく読んだ転生者の小説みたいに、生まれ変われるなんて思ってもみなかったから、思い出した時はとても驚いた。
また生まれ変われて嬉しかったけど、でも結局現世でも身体が弱くって、私の現世の記憶はベッドの横の窓から見える限りある風景のみで、なんだか空ばかり見ていたの。
「オルテンシア、起きたのかい?」と、毎日顔を見に来てくれる家族。父も母も、そして兄もとても優しい。
前世の家族は、皆仕事で忙しくしていたから、長患いだった私の病室に、日が経つにつれ徐々に遠のいたけど、今の家族は毎日会いに来てくれる。
「今日もオルテンシアの瞳は美しいね。ん?今日は少しくすんだ青か、疲れているかい?」
瞳の色が身体の調子や感情の変化で変わるので、その微妙な色合いで、家族が調子を見ていく。
「いいえ、お父様。今日は比較的大丈夫ですわ。・・なので、外を少し散歩したいですがよろしいですか。」
「今日の外は暖かくなってきたからね、もちろんいいさ。・・おいで?」と、父が優しく微笑んで私を抱き上げた。
外はもう夏になろうかという時期、丁度、紫陽花が咲き始める頃だ。
「オルテンシア、寒くない?ん?どうした?」
いつも曇がちで薄暗い空だけど、昼間から西の空が異様に赤い。
「お父様、空が赤い。」ギュッと父の上着を掴む。
「ああ、昨日王が崩御されたからね。」
ええっ!?いいのお父様、城に行かなくって?
「いいのいいの。次の魔王はもう決まっているから。」
ま、魔王……?え?えーっ?いま魔王って言った?
「君だよ?次代の魔王は。」
─── はい?
「そう、オルテンシア。君が次の王だよ。・・・その瞳がその証し。暁の瞳は魔王にしか現れない、貴重な王の瞳。─── 我らが魔族の王。」
そう、私はオルテンシア。
この珍しい瞳は、魔族の王の証し。
暁の瞳と呼ばれる、私は魔族しかも魔王に生まれ変わっていました。