我が国は水底に沈む 共通①
世界を見渡す1万年の大木がありました。 木は土に支えられ、土は木に与え続け、 土の栄養はやがてなくなり大木も枯れました。
土の栄養がなくなるまでに木は自立出来なかったのだ。 それはまるで人のようで人とは違うのです。なぜなら人は自立できるからでした。
「おしまい」
「ねえママ」
「なあに」
「この国にって7つが一緒になって虹になったんだよね」
「そうよ」
「大昔は国が別れてて仲わるかったんだよねーなんでー?」
「それはね……」
―― 風と土の国が歴史に残らなかったのは、あまりに醜い争いだったからでした。
「我が国は良い土のお陰で良い作物が取れます貴殿の国はただ風がふくだけで他国となんら変わらぬようですな」
「何をおっしゃるか農工などなんの自慢にもなりますまい我が国は風から雷を作れますぞ」
「火の国では火から雷を作るといいますぞ他国を真似て自分の手柄にするおつもりか」
「火から雷を作れば煙たくて仕方がないではないか風はいくら吹いても体に害はないのですぞ」
「おやおや貴殿は関係のない火の国を貶めるおつもりか」
「まさか」
「そなたの入れ込む水の国など若い小娘の建国した小国でありますな」
「貴殿は私に火の国を侮辱するなと言っておきながら水の国を嘲るのですな」
「他国の戒めですが目には目を、歯には歯をと言いますからな」
「水の国は火の国に干上がらせられるか、溢れた水に沈むかの二択ですがね」
「火の国は炎で燃え尽きるか水で消滅するかですね」
「はは…」
「ふふ…」
「まあまあ…争いはやめましょう」
「水国のひ……いえアクアルネ女王陛下」
「いいのよ、まだ女王になってはいないのだから」
「戴冠式がまだとはいえ貴女は唯一の方です」