nuts!冒険 共通①
私は‘テリエ’ちょっと気紛れな女の子。
私が住んでいたのは様々な文化が入り乱れたマーブルナッツ大王国。
そこで王家でも貴族でもない普通の家に生まれた。
私はついこの間まで家業の手伝いをして慎ましく暮らしていた。
『いたたた』
ひい婆が肩を押さえながら、痛いと言う。
『大丈夫!?』
『わじゃ、もうだめかもしれんなあ…』
『え!?』
『ひ孫の顔が見たかった』
『私がひ孫だよ』
『そうじゃったわ…ともかく死ぬまえにお前の婿の顔がみたいのう』
という経緯から。
生まれつき恋愛感情がない私は、世俗を捨てて一人で生きていこうとしていたのだが、ヒイ婆さんが死ぬ前に私の恋人を見たいと言い出して、仕方なく偽の恋人を探す旅をしていた。
「年をとると体が思うように動かなくなるって婆ちゃんが言ってたんだ」
最近唯一の肉親の祖母を亡くして放浪していた‘モンド’がテーブルに身を乗り出して言う。
「老いは敵だ」
彼は母親と二人暮らしをしていたが、死別した‘カシウス’が頷く。
「あっはは!お前ら会話が噛み合ってねえ~!」
起床したばかりなのに元気な彼は家族を亡くして一人歩いていたところを偶然私達で引き込んだ‘ヘーゼル’
「死にたい…」
そんなことをクマだらけの目で呟く彼は、家出中の少年‘マクシデミアン’
「お前達の会話をまともに聞いていると頭が痛くなる」
旅に出ていた理由は教えてくれない生真面目な‘チェスター’
私たちは、出会う前までそれぞれ別の人生で生きてきた。
目的も終わりも見えない私たちは、同じ日にであう。
互いにこれは何かの縁だろうと思い、共に旅をすることになった。
共通の目標があるわけではないが、私達は自分の目標を達成したら各自抜ける。
旅をしてまだそんなに経っていないが、彼等といるのは結構楽しい。
けれどいつかは終わりがくる。
そう遠くない、いつかを考えて少し感傷的になった。
【冒険の旅は退屈で】
生まれつき恋愛感情のない主人公テリエは偽装の恋人を探しに旅をして仲間を得た