修学旅行@大阪
楽しかった修学旅行も今日で終わり。
いよいよ一日USJで遊べると、皆のテンションも上がりまくりだ。
USJにつき、先生からチケットを渡される。
入場券+アトラクション利用券だ。
先生が言うには、週末のチケットはなかなかとれないとの事。アトラクションには定員
もあるので、無制限にとると、営業時間内にお客さんが乗れないって事なのだろう。
って事は、今日は混んでる って事だ。
人ごみも並ぶのも、ちょっとイヤだなと僕は思ってしまった。2年たたないうち、
僕は、すっかり田舎のノンビリ生活に馴染んでしまったのか・・
今日もあいにくの曇り空。僕は東京へ行くけど、飛行機で他の皆は帰るので、
”天候のための欠航”は、ないだけヨシとしよう。
いざパークに入ると、僕ら二クラスの集団がばらけないうちに、後ろで山崎の
事をあれこれいう連中がいた。
隣のクラスの、箱崎って奴だ。きっと。1年の時も別のクラスだったので話した事
ないけれど、祖父が町議会議長をやっているとか。高飛車な奴との悪評は聞いた事
があるけど、あからさまに人の悪口をいうやつだったんだ。
「へ~~。山崎君は、里親にお金を出してもらって、遊べるんですね。
いいご身分だ。それって税金だよね。」
山崎兄妹が、ウチで暮らしてる事は、クラスメートには言ってある。
本当は修学旅行は山崎は参加はしないつもりだった。
そこを祖父が説得したんだ。
「それが、君となんの関係があるんですか?」僕は怒りのあまり、言葉があまり
上手く出てこない。
「おや、上野君、君の所も本当は迷惑なんじゃないですか?母親は
生活保護を受けてるっていうじゃないですか?」
こいつ、何を言ってるんだ。山崎はウチでも気をつかいながら生活してるってのに
その気持ちを逆なでするような事を言いやがって。
僕は、言葉じゃなく手が出そうになった所を、寸前、脇坂が止めた。
「失礼、箱崎君。生活保護云々は、どなたから聞きましたか?」
「どなたって、近所でも評判だぞ」
「おかしいですね。君は清月町ですが、山崎君は公園町です。
遠くはなれた町ですから、噂話にしては不自然ですね」
「どうだっていいだろう?」
「いいえ、よくありません、本当はどなたから聞いたのですか」
「役場勤めの親父からだよ。生活保護を受けて修学旅行にいくって」
そういえば、箱崎の父親は役場勤めだった。でもそれじゃ・・
「そうですか。それではあなたの父親は、公務員としての守秘義務違反を
したことになりますね。後、個人情報漏えいと。
それは、許されないことです。しかるべき筋に訴えますが、よろしいですか?
これが公になれば、あなたのお父様は仕事を失うでしょう。」
箱崎は、貧血を起こしそうなくらい、真っ青になった。
そしてブルブル震えてる。
「脇坂だっけ。父子家庭だよな。かわいそうに母親がいなくて・・」
ボソっといった捨て台詞に箱崎の取り巻きの一人は、急に冷たい目で箱崎を睨んだ。
箱崎、それは、禁句だ。脇坂だけじゃない。最近は離婚率が高いので
片親の家庭も珍しいものではない。片親という言葉すら差別的だ。
脇坂は箱崎の言葉になんの反応もせず、さあ、はやく行きましょう と
歩き出してた。慌てて、俺や青野、山崎や、隣のクラスの皆もあわてて
動き出した。そう、早く移動して、並んでアトラクションに乗らなければ。
箱崎は、取り巻きにも見放されたのか、ポッチになってた。
僕と山崎、青野、脇坂4人で、まず、スペーズファンタジィというのに、
並んだ。宇宙空間にいるように、体がぐるぐる回ってるのか
周りの映像がまわってるのか、乗り物酔いしそうだ。
そんな中で、脇坂の”クイズタイム”が始まった。体が横倒しになってるのに
脇坂は、平然としてクイズを出した。
”太陽系の惑星を全部答えてください” ・・う、わかるけど、言える状態じゃないよ・・
後、スパイダーマンライドや、もちろん最近できたハリーポッターのエリアにも
行った。だけど、残念ながら、ハリーのほうは、アトラクションの長い列に
さすがに断念。他のショーや3Dムービーとか探したり、忙しく動き回った。
海に近いとはいえ、蒸し暑いくらいなのに、動き回ったので、僕らはヘバった。
とにかく集合時間に遅れまいと、小走りで出口に向かった。
僕は、ここで別れるので、別にゆっくりいてもいいのだけど、一人でUSJも
さすがに、味気ない。僕は、新大阪から新幹線で東京に戻りたい。
パーク入口でのゴタゴタもあったけど、それを吹き飛ばす勢いで遊び通した
一日だった。ひょっとして、僕の人生で初めてかも。
ピアノのレッスンがあるからとクラスメートには説明したが、キョトンとして
たので、”出来がわるいので、ピアノの特別補習を受けるんだ”と説明した。
皆に同情された。”補習はみじめだよな”とか”後がないんだな”とか
確かに、僕は、受験に落ちた後 はないと思ったほうがいい。
父が事務所でこき使いたいようだけど、それって浪人は認めないってことかもしれない。
新幹線で爆睡し、東京の家に帰っても即、熟睡。
ピアノのレッスン。二重になっても、これは、無理なスケジュールだった。




