表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/210

陸上競技合同記録会

釧根地区の合同記録会が行われた。あの因縁のある藤田も出てるようだ

釧路での記録会で、僕達の陸上部は公式の大会は終わりになる。

釧路の陸上競技場は大変施設も整っていて、環境がいい。やはり、ここで練習する機会も

多いのか、釧路市内の陸上部は強い。


7時半には1番乗りで競技場についた僕達は、まず、ストレッチ。全員、一緒にだ。

それと主に腹筋。背筋を鍛える体幹トレーニング。

他の高校も、ちらほら来たので、僕と青野は曽我先生にことわって、他の高校のストレッチなどを

見学にいった。ウチラと同じくらい時間をかけてる高校もあれば、それぞれ各自がストレッチしてる高校もある。桜花高校陸上部は、各自ストレッチをやっていたが、ウチらと殆ど同じメニューだった。


僕は、部員全員の名前と種目の一覧を表にまとめ、そこにタイムを書きこめるような表を用意した。

部員同士で計時するので、多くの枚数がを用意したけど、間に合うかな。

これで、とりあえず後の整理が楽になる。


競技は次々の進んでいく、競技の集合のアナウンスを気行き逃さないように、入り組んだ

日程表をみた。

長距離の10000mは、うちは脇坂がエントリーしている。

このくらいの距離ならジョギングでは馴れていても競技では、脇坂も

初めてじゃないかな。僕は、10000mのスタート地点にいった。

エントリーは、10人ちょっと。脇坂と因縁のある桜花高校の藤田もいた。

こちらのほうを見て、フフンって顔した。

スタートしてからしばらくして、アクシデントが起こった。

先頭集団にいた藤田が、転んだのだ。あっと思ったが、すぐ立ち上がった。

ただ、ペースが遅くなってきて、結局、後から走ってきた脇坂に追い抜かれた。


レースが終わり、桜花高校のマネージャーらしき部員が救急箱を手にかけよったが、

大丈夫だという彼のゼスチャー。

一人になった藤田を見て、脇坂がそばに行った。慌てて僕もついていく。

脇坂は、いたって冷静に藤田に言った。


「藤田君、僕が後ろからみるに、何か膝に故障のあるように見えました。そのせいで転んだのなら、悪いことはいいません。もう競技はエントリーせず、終わったら専門医に見てもらった

ほうがいいです」


脇坂の忠告に、驚いたのは藤田だけでなく僕もだ。

後姿だけで膝の故障がわかるんだ?

藤田は、余計なお世話とかいうと思ったら、唇をかみしめ悔しそうな顔をして、自分の

チームテントに戻っていった。脇坂の指摘どおりだったんだ。


「単純な事です。ちょうど転ぶところを見てたのですが、膝が力がはいらないように、ぶれたのです。それで、何か故障があるのを無理してるのではないかと、思っただけで」

「でも、あの藤田だよ。いいのかい?脇坂にとってはイヤなヤツなんだろう?」

「相手も僕の事をイヤなヤツと思っているでしょうが、僕は、もうなんとも思っていません。純粋にアドバイスしただけですよ」


ところで、脇坂のタイムは、うmmなんというか、"遅い。初めてならこんなものか。

「ええ、今回は初めてなので、無理せず、レースの流れを勉強しました。

だいたい、、長距離という競技は最初にスパートし先頭集団にはいり駆け引きしながら、

最後に勝負をかけてゴールする。そんな競技だそうです。

さっきのレースの先頭集団のペースは、当然ながら速かったです。ついていけない事はないですが、スパートがかかった時に、脱落するのは目にみえてましたので。」

脇坂は、戦術的な事には長けているかもしれない。


青野が、男子100mリレーの計時から戻ってきた。

「どうだった?リレーのほうは」

青野は、渋い顔で、「バトンパスの時に、どうも遅れたみたいなんだ」

そういえば、、林先輩方は、自主練習でそこを重点的にやってたっけ。

残念、努力はみのらずか・・・

林先輩はチームテントに帰ってきた。ちょっと考え込むような顔。

「ヤマ、今度、バトンパスの特訓するから、そこの場所を撮ってくれるか?どうも、

受けてからの走りがもたついた気もするが、渡すほうにも問題があるのかもしれない」

先輩は ブツブツいいながら座った。他のリレー選手も帰って来た。

僕や青野のような素人には、リレーは見てて楽しい競技だけれど、なかなかこれも技術の

いるレースのなんだな。


二日目は、計時は割合とヒマだったけど、つまり次のレースに進んで部員が少ないってことだ。

練習熱心だった朝岡さんは、中長距離中心だったけど、決勝までは残れなかった。

彼女はかなり悔しかったらしく。曽我顧問のやり方に不平を言っている。

「正しい形だかなんだかしらないけど、私はもっとガンガン走りこんで

タイムを上げたいのよ。来年は3年で最後になるんだし、1度くらい道大会に出てみたい」

朝岡さんの言うこともわからなくはない。

確かに、もっと走りこめば、タイムは上がるけど、曽我先生の話しでは、そういう走りでは

そこで、伸び悩むのだそうだ。それに怪我も多くなるのだそうだけど。


帰りのマイクロバスでは、皆、疲れたのか爆睡してる人も多かった。


家に帰ってくると、驚きのニュースが僕を待っていた。

「裕一、春香さんが具合が悪くて、こっちに来て少し静養するそうだよ」

え?実家じゃなくてこっち?病院も東京のほうがずっと便利なのに。

不思議に思いつつ、翌日、アリサさんに伴われ母が、家に来た。

あの、"年中春です”の母の雰囲気が微塵もなく、目だけがギラギラしてる。

僕は絶句した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ