学校、練習、部活の忙しい日々
秋は運動の秋というけど、文化の秋でもあります。裕一はかなり忙しい日々をすごすことに
僕の一日の始まりは、朝のピアノ練習から。
6時からなので、それほどの時間は出来ないけれど、夜は、3時間は練習で、ちょっと
練習量が足りないかもしれない。ブランクが半年以上あるので、
このくらいから始めたほうがいいかもしれない。
最近は、庭も秋の気配がする。相変わらず俊一叔父は庭を眺めている。
来年は、叔父の好きそうな植物でも植えてみようか。
でも、それまで現世に残っては、多分いけない気がする。
学校では、文化祭の準備でおおあらわ。脇坂の脚本が出来た。題名は「太郎’s」
はあ?複数の”s”がついてるけど。
「これは、桃太郎が鬼が島に鬼を退治にしに行く話しを、ロールプレイングっぽく
書き直してみました。浦島太郎と金太郎も登場します」
脇坂が言うと、まじめな劇のように聞こえるけど、脚本を読んでみて、{???}の連続だった。同じ事しか言わない通りがかりの人とか、案内のウサギとか、原作にもちろんない。
役は、3人の太郎もきまり、桃太郎はイケメンという設定なので倍率高かったようだ。
でも、鬼が島で、鬼を演じるのは女子だ。ここの役割がポイントかな。
後は、練習と道具・衣装作り。
練習は脚本読みから始まったけど、だめだなみんな。
おもしろい話しにしたいなら、それを演じる人は、ひたすら真面目でないと。
クスクス笑いながらの演技じゃ、お客さんがシラケル。
なんて指示したら、鬼マネージャーが鬼監督になったと、からかわれた。
僕ってそんなに厳しい?鬼ってひどいや
そういえば、僕の中学時代の文化祭は、あまり覚えていない。
ピアノや声楽などの発表会がメインで、全員出られるわけじゃなく、
それに選ばれるために必至に練習したのは覚えてる。
僕が選ばれることはなかったけどね。
放課後の部の練習も休みになった。部員が文化祭の準備で出てこられない人数が多い
のだから。それでも、ヒマをみては、数人はストレッチをしたり、軽くランニングしたり、
してるようだ。帰宅時間がかなり遅くなってるから、また、問題にならないかな。
僕は、クラスの劇の監督という立場だけど、道具作りにも手をかしている。
そんな忙しい毎日だけど、最後はランニングをしてから帰宅する。
レッスンで練習中の曲の事を考えると、ひらめいたりするんだ。
”あ、ここは、ここと対応してるんだ”とか”これは、元気よくだけどかわいく弾くといいかも”とか、後、音のダイナミクスとかいろいろ。
走ると、頭の血の巡りがよくなるのかな。
帰宅してすぐに、母のマネージャーのアリサさんから電話があった。
母が体調悪いようなので、僕に元気付けて欲しいとの事。
やっぱり、休暇中で体重が戻らず、そのまま仕事に復帰したのがよくなかったのか。
ばあちゃんも心配して、アリサさんに特製ドリンクのレシピを教えてる。
母さんの声は、力がなかった。詳しく聞くと、体調だけでなくスランプなんだそうだ。
父に電話をしたらと母に言うと、なかなか忙しくてつかまらないらしい。
父、夫として失格だな。
母は今、東京だけど、すぐオーストラリアへ出発との事。
予定が決まってるとはいえ、なんとかもっと楽なスケジュールを組めないものかな。
アリサさんに、そこのとこ、充分にお願いした。
だけど、本人が演奏に納得しないで練習を続けてるそうだ。
アリサさんのいう事は、一旦は聞くけど、また練習始めるとか。すさまじい根性だな。母さん。
ところで、僕はどうだろう。学校があるから時間の制約があるとはいえ、
曲が仕上がった時は、納得してる。で、八重子先生に改善点を指摘され、ハっと気付くのだけど。主に曲想についてなんだけどね。今は技術的な事はなんとかクリアしてる。
僕の想像力がないのか、それとも単に練習不足なのか。
生徒のうちはまだいいかもしれない。
プロの演奏家ならば、自分で自分の先生をしなければいけない。
それが出来るからこそのプロなんだろう。
文化祭は、二日間。両日とも一般に開放されている。でも、生徒は忙しかった。
二クラスといっても、人数は少ないからだ。
ウチのクラスも(他もだけど)、準備にぎりぎりまでかかり、当日も走り回っていた。
PYA有志の出店もたいした賑わいで、ヒマそうな生徒は手伝いにつかまっていた。
そんな中、ステージを見る時間があった。ちょうどそのクラスは全員で「ケチャ」をやっていた。
ジャワ島の伝統的な踊りを、昔、芸能化したものだそうだ。
”ケチャ”と聞こえるが、演じる人は”チャ”としか言わない。
4拍子に、7回、6回、5回、6回の人の16分の1後ではいる人、これは難しい。
6回と、後で入るのは出来そうだけど、4つ数える間に7回正確に チャっていうなんて。
しかも、違うリズムの人につられそうだ。
僕達のクラスの劇は、まあまあの出来だった。あれだけ言ったのに、ニヤニヤしながら演技してるし。
それにしても脇坂はすごい。いとも簡単に脚本が出来上がるとは
脇坂にいわせると、これくらなら だとか。彼の簡単のレベル自体が高い。
二日目の午後は、なんと全校生徒・職員・PTAで大バーベキュー大会。
さすがに、酪農地帯の町、牛肉食べ放題だった。
そんな忙しいけど、おいしくて楽しい二日間。
次の日は休みで、その週末には釧路で陸上部の合同記録会
がある。(ピアノのレッスンは、なんとか時間を確保した)
今回も泊りがけになった。一日目の土曜日の昼食に、おばあちゃんが、お握りを作ってくれた。
”朝の出発がはやいから、朝食を食べてこれない人もいるだろうからあs。多めに握っておくよ”
って、ばあちゃんが、20個作ってくれた。
行きのマイクロバスの中で部員に話すと、大盛り上がりだった。
食べようとした時、”あ、これ祖母が作ってくれた”というと、一瞬にして車内がフリーズ。
大丈夫、お握りの中身は梅とおかかだからというと、やっと安心して食べだした。
トラウマになってるのかな?"特製ばあちゃんドリンク”




