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左手の弾き方
指摘する事は、間違っていない。
ただ、それを自分が指摘どおりに弾けているかどうか・・・
「左手の音が大きすぎて、バランスが崩れてるです。左手の2,3拍目、5,6拍目の
和音の動きが、重いから、音が大きくなるのだと思います。」
夜想曲9-2は、右手の流れるようなメロディではなく、左手に注意を
払うべきなのだ。例えば、さやさやふく夜風のように。その左手の音に、右手をのせる。
夏目先輩が、ちょっと不思議そうな顔をした。自分の音が聞こえてないかのようだ。
僕は先輩に”なんちゃって連弾”を提案した。
僕が左手を弾き、先輩が右手。1ページ分だけでいいかな。
それまで気がつかなかったけど、前にみた”心配幽霊”が、ふわふわ先輩の後ろにいて、
連弾が始まると、僕の真後ろにきた。
(あ!、そうか、そうだったんだ)