譜読み段階
結局、夏目先輩のピアノを聴く事になった。。。
(今度は、本当に聴くだけで余計な事は言わないようにしよう)
僕は、入学式でボヤっとしてた自分を猛省した。
メロディが(なんとか)流れてくる。
夜想曲・・・うん、譜読みの段階の夜想曲ね。
この間のように、音が抜けていたり、間違っていたりしない。
キッチリ弾いてる。但し、チョウゆっくり。
夏目先輩は真剣な目をして音を追ってるけど、力みすぎかもしれない。
「どう?少しか進歩したかな?」
椅子に座った先輩が体を捻じって、僕に聞いてきた。
「うん、、いえあの、この間よりずっと上手だと思います」
指摘できる箇所は何箇所もあるが・・
「で?他には? まだあるでしょ?」先輩は、ため息をつきながら言った。
僕は、アセった。どうも顔にでてたのか?
それから互いに沈黙。
「あのね。言われたとおりにゆっくり練習すると、音の間違いとかいろいろ
気がついたの。このまま練習すれば、いいよね」
先輩は、僕を上目遣いで見ながら言った。
(そうと思います。)そう言えばいい。そういうつもりで僕の口からは
「それでもいいですけど、それだけじゃ足りないかもしれません。」
ああ、僕の馬鹿。さっき反省したばかりなのに。