マネージャーとして ベートーヴェン バイオリンソナタ 春
母の練習スケジュールは、スケール練習、和音、ハモニクスと基礎練習満載だった。
で、過去にやった曲を数曲練習とあったけど、これでは前回のように練習づけになってしまう。
そこで、母には”曲は1曲に決めるように、全体の練習を午前と午後にわけ、2時間づつにするように、母に提案。母は、普段から自分で練習のメニューを立ててないらしい。アリサマネージャーが見てるのだろうか。僕の案をしぶしぶ受け入れた。
母は休暇でも、何もしないのもつらいものかも。アリサさんに後で相談してみようか。。
部活のほうでは、練習メニューについてもう一度、チェックし直してみることにした。
前回は、メニュー出来てますか?と聞くだけだったけど、母さんじゃないけど、練習しすぎてる部員もいるかもしれない。
青野と相談して、練習中、注意して見る事にした。すると、2年の女子部員で浅岡先輩、1年女子で武田さん、この二人が、よく見ると練習後の整理体操の時に、かなり疲労しているのがわかった。メニュー自体がキツいのか、それ以上に練習してるのか。
武田さんには僕が、浅岡さんには女子の部長がそれとなく確かめてみることに。
武田さんは、メニューがキツいそうだ。高校に入ってから軽い気持ちで陸上を始めたけど、とてもツライと訴えてきた。確認してみてよかった。
彼女が訴えるには、朝は4時起きで、家族の朝食、お弁当をつくり、こまごまと家事をこなし、6時半に家を出て学校につくのはギリギリだそうだ。彼女のとこは酪農家で 朝は、他の家族は仕事しているので、朝の家事を担当してるそうだ。今は夏休みなので、練習量も多いけど、それがキツいのか。そこのとこ、女子部長と顧問と相談かな。
武田さんには、”練習メニューはもう一度見直すよう言っておきます、それまで無理のないように、自分で加減しながら練習してください。”と、言うと、ちょっと彼女の顔がちょっと明るくなった。
2年の浅岡先輩はどうなったろう。僕は、女子の部長に聞いてみた。
聞いても、浅岡先輩は、ムッツリしてるだけで、たまたま練習でヘバっただけという事らしいが、実は今日だけでなく、ここ2,3日特に、ひどいらしい。
女子の部長の坂本さんにここはおまかせすることにした。あと、武田さんの事情を説明した。
僕は、陸上は、実は初心者であるので、こういうマネジメントについて勉強しようと思った
顧問の曽我先生の指導を受けて、関連する本を貸してもらった。
家に帰ると母が楽譜を持って、待っていた。
僕と一緒に演奏したいとの事、曲は、ベートーヴェンのバイオリンソナタ”春”。
ちょっとまって・・いくらなんでも初見では無理、練習時間がいる。
ベートーヴェンのバイオリンソナタは、それまでの作曲家の曲と違い、伴奏であるピアノの比重が高くなってるのだ。例えば、最初、バイオリンが主題を演奏すると、それを受け、ピアノが同じ主題を演奏、バイオリンは伴奏形になっている。
夕食もそこそこに、僕は練習したが、母が”さあ、あわせましょう”というので、やってみた。結果、僕はボロクソに母に言われた。
”ここは、音形が少しづつ上がっていくところだか、その前のピアノのここの音、重要”
”弓が間に合わないから、ここの部分は少し待って”
”ここで、ピアノは和音だけど、あまり大きな音だと困る”などなど
母さん、僕、この曲、聴いた事あるけど弾くのは初めて。テクニック的に難しい曲ではないけど、バイオリンを合わせることを前提に練習しないといけない。そこまで出来てないのにあわせるなんて無理だったんです。って抗議しようとしたけど、母は聞く耳もたずで、”じゃあ、はじめから”なんて言ってくる。
楽譜に注意事項を書く時間くらい下さい。母さん。
それに、今日の練習メニューの中には、このソナタは入っていなかったはず。
気晴らしに弾くのならいいけど、練習メニューにこの調子でこの曲を追加したのなら問題だ。
僕は陸上部マネージャーモードで、母に問いただした。




