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キラキラ星変奏曲と若菜ちゃん

学校から帰ってくると、祖母と祖父が僕を待っていた。

祖父が、今朝の新聞をとると、ある記事を指差して言った。

「あのね裕一君、ここのこの記事、若菜ちゃんの事かじゃないかと思うだ」

祖父が指した記事は、ある母娘が、家の中で死んでいたのが見つかったという記事だった。

しかも、異臭がして近所の人が通報。死んでかなり時間が立って見つかったようで・・

記事では娘の名前が、和香奈 となっていたが、これは、わかな で同じ。年齢も5歳と 若菜ちゃんっぽい。


祖母は決め付けないほうがいいと言った。僕も母親が死んでるなら、魂だけになっても探しに来そうだが、死後の事はよくわからないという事だし。

新聞記事には写真まではのっていなかった。最近、孤独死が増えてるというし、珍しい事だはないからだろうか。

僕達3人は、ピアノ室に行った。

祖父は小さな花瓶に白い花を入れたのを、祖母はお茶とお菓子を持っていった。

祖母は若菜ちゃんを呼んだようだ。僕も椅子に座わり、不思議な沈黙のおやつ時間となった。

おやつは、金平糖 というやつ。祖父が「これ、昔は薬にも使ったんだよ。小さくてかわいいだろ。」残念だけど、おいしい金平糖。若菜ちゃんは、もう食べる事ができないが。

僕は、せめてピアノだけでもと、「キラキラ星」を弾いた。

金平糖がが、空に輝く星に思えたから。

子供の好きそうなお菓子。若菜ちゃんも食べたことがあるかな。

その時不思議な事が起きた。

テーブルに置いた金平糖が跳ね上がって若菜ちゃんの所に落ちてきたのだ。

金平糖は、若菜ちゃんの頭に、彼女の伸ばした手に落ちてきた。

僕は、「キラキラ星」の変奏曲を弾くと、スケールの音の数にあわせるように、たくさんの金平糖が彼女に落ちてきた。

彼女は金平糖をスカートを広げで集めた。

「おいしい、このお薬。これでお母さん、具合がよくなるかも」と言うと、クルっを背をむけて、上るようにそして、天井がなくなったように空が見えて、道みたなものが、空高くのびていた。、彼女はそれを駆登り、そして消えていった。

ピアノ室は、天井のある元の形だ。

どうして、金平糖だったのだろう。祖母は若菜ちゃんは飢えているかもと言った。祖父の”金平糖は薬・・”の言葉がよかったのかも。

彼女は、母親のために薬を探していたんだ。

僕と祖母は呆然と立ってると、祖父の「何、二人ともどうしたの?」と間の抜けた声。

「幸男さん、最高だよ。若菜ちゃん、無事にあがって行くことが出来た」

祖父は、へ?っていう顔、祖父には見えないんだった。「うん、とても嬉しそうだった」と、祖母が言う。

「そうか。僕は見えないけど、満足してあがっていったんだね。よかったよかった。」

祖父は、とても嬉しそうだった。新聞記事に載ってた母娘が若菜ちゃんかどうかは、結局、わからなかったが、一人のかわいそうな魂は、救われたのだから。

僕は「キラキラ星変奏曲」を最後まで弾いた。モーツァルトが作曲したこの曲は、主題は当時フランスではやっていた曲からとったもので、その曲によって難易度が違う。それでも、この曲は、華麗というよりは、かわいらしく、音の粒がきこえるようにペダルもなしで、弾くのがいいのだろうと、思う。いつも見るわけじゃないけど、若菜ちゃんがいないのは、少し寂しい。


その日の夕食は、ホタテのフライにキャベツサラダ、いただきもののタラの芽の天ぷら。僕は、お腹も満足して寝た。


あっというまにテスト前勉強期間はすぎ、科目の多い期末テストを、僕は少し楽にこなせた。今回も、いろいろあって、満足に勉強できなかったけど。

テスト結果は、良かった。順位でいうと、前回のテストでは、学年で(といっても2クラス)20番だったけど、今回は5番と大躍進、

ちなみに1位は脇坂だ。

こんなに良くなったのは、あの青野の暗号プリントを解いて知能がレベルアップしたのかも

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