表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/210

先輩とジョギング

豆乳バナナドリンクは、脇坂のために作ったのだけど、陸上部内でも好評で、レシピ(というほどでもないが)出回っている。

僕のドリンク、名誉挽回かな。

部のマネージャーの仕事は、思ったより忙しかった。部活が中止になった日、僕は、ジョギングに出かけた。

いつものコース、ちょっと速めのピッチで走っていると、前を走る女子高生が見えた。一本にまとめた髪がゆれている。

相手がピッチを上げたので僕もつられてあげる。で、いたちごっこのようになり、彼女がギブアップした。


「どうもこんにちは、やっぱ上野君、速い。」息を切らしながら話しかけてきた彼女は、確か夏目先輩と知り合いだったかな。

「上野君、私、夏目の同級生の白井っていいます。フルートやってます。体力つけるためにジョギング、この間から始めました」白井先輩は、丁寧な言葉で話す人なのだなと思いながらの、美人な先輩を前に僕はドギマギした。そんな先輩が頭を下げて僕に言った

「上野君、お願い。私にフルートを教えてください」

「・・・・・はぁ??」どこでどうなって、そんな事になるのだろう。

「あのう、白井先輩、僕はピアノは弾くけど、他の楽器はさっぱりわからないのですが」

僕の言葉に白井先輩は、ガックリしながら言った。

「あの噂はデマだったのね、この学校に小学校からフルート習って、しかもピアノも弾ける天才少年がいるって噂だったの。この間、君と夏目のやり取りを見て、上野君がその少年かと思ったのよ」

白井先輩は、本当に残念そうだった。僕はフルートを吹けない事が申し訳なくかんじた。


で噂の始まりは父の事かもしれない。

<この町出身でフルートを音高で専攻し、その息子が町の高校にいる。父親だから、息子にフルートを教えただろう。実家にはピアノがあるそうだからピアノも弾けるんだろう。うん、天才少年だ。>


本当の事と想像した事がまじって、こんな噂になったのだろう。


「すみません。白井先輩。、釧路まで行けばいい先生がいると思いますが」

僕は、白井先輩が、レベルアップして音大進学を考えてるのかと思った。

「それがね、無理なの。交通費もかかるし月謝もかかる。親にねだって楽器買ってもらったけど、もうそれ以上の”おねだり”は、さすがにね。うちの経済状況からすると限界。音大はね、もう諦めたのよ。でもやっぱり、楽器、上手くなりたいじゃない。で、噂の上野君にお願いしたわけ。調度、その事を頼みにクラスに行こうと思ってたとこなんだ」

白井先輩は、本当に噂を信じてたんだ。

ピアノも挫折しかけてる僕なんだけどな。

そうして、僕らはジョギングを再開し、それぞれのコースにもどったんだ。


数日たったある日、僕は、昼休み、音楽室へ夏目先輩に会いに行った。

ドアを開ける前から、ピアノの音ではなく、フルートの音が聴こえる。

音色は今一だった。フルート独特の艶がないし、調子がはずれ気味、なにより、意気消沈してるような感じがする。と、ガタンと音がしてフルートが唐突に止んだ。

いやな予感がしてドアを開けると、白井先輩が貧血を起こしたらしく、真っ青な顔でかがんでいた。楽器だけは死守したらしくsっかり守ってた。

僕は彼女から楽器をとり、椅子に座らせた。

「大丈夫ですか?先輩、」心配する僕。ロングヘアに白い肌、パッチリした目にスレンダーなスタイル。

ミス摩周東が丘高校の候補だろう彼女は一言

「お腹すいた、死にそう」と・・・先輩、候補、失格かも。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ