テストが終わって
テストも終わり、6月の高体連にむけて、部活動が忙しくなってきた。
この間の合同練習での記録は青野がつけていたので、見せてもらって絶句した。
「これは、極秘扱いで、暗号化してるのか?青野」
「ヤマ、これは清書したものだ。曽我に提出したら、”清書してくれ”と返された」
青野は、シュンとしている。この記録書は字も汚いが整理されてなから見づらいんだ。僕は、青野とPCのエクセルで整理する事にした。(もちろん青野に解読してもらいながら)個人別、最新の大会での公式記録、種目別の記録、部員は20人もいないので、時間はかからなかった。それを曽我先生に提出。先生は、ほ~~と言いながら、「ヤマ。上手くまとめてあるな。よし、これを元に個人別練習メニューを作る。それも清書して部長に渡してくれ。」多分、先生はそれで部長と打ち合わせするのだろう。
仕事がふえたけど、次のテストはまだ先だから、いいかな・・。
ところで、部では、僕は本名の"上野”ではなく、祖父母の”山本”だから、”ヤマ”の愛称でよばれている。上野雅之は有名な指揮者で、この町出身で、僕の父親。というのは、あまり知られてないようだ。
家に帰ると、祖母は庭で花の苗を植えていた。
「宿根草が多いけど、1年草も少しは植えてるんだよ。毎年大変だけど、雅之が帰って来たときに、見て心が和む庭にしておきたいからね。」
知らなかった。父は毎年、休暇で1週間ほど実家で過ごすのだそうだ。確か東京の家で休暇を過ごすことはなかった。祖母は、僕を見て、慌てて「しょうがないんだよ。雅之は、見える体質だし、憑いる事もあるのさ。それをこの庭と周りの自然に、おろしていくんだよ」祖母の話しに僕はびっくりした。父の体質は知っているけど、憑かれるとは・・「僕にもその憑いてる?」とおそるおそる聞くと、「ないない、全然ない。裕一は綺麗なもんだ。」祖母はカラカラと笑った。
今更だけど気がついた。ピアノ室で若菜ちゃんは、いつのまにか、普通の少女っぽくなった。そして、庭ばかり見ている。僕が見える時は、ピアノを弾いてる時だけだから、よくわからなかったけど。
今日は、花を見てる若菜ちゃんに、花の名前がでてくる歌を、(伴奏+メロディ)弾いた。曲の中で若菜ちゃんが知ってそうな花は、チューリップ だけだろう。もう何を弾いても彼女は反応がない。どうしたら彼女は喜んでくれるだろうか。
高体連の大会に行く前日、学校で、脇坂から、たくさんプリントをもらった。4月からこれまでの復習だそうだ。青野からは、(問題文が読めない)生物のプリントを。これは倍返ししなければ失礼だと、僕は二人に英語のプリントをヤマのように出した。お返しのお返しで、脇坂から、地理のプリントがかえってきた。墓穴をほったかも。。




