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飛行機は欠航

悪い予感は、あたった。

師匠の家をでたころから、チラついてた雪が6時過ぎになって、本降りになった。

幸いな事に、僕は、電車がとまる一本前で帰ってこれたけど。

山崎は、地道に電車のストップで、歩いたそうだ。

脇坂と、父、都築さんはまだ帰ってきてない。


「まったく、このくらいの雪で、ニュースは”雪害情報”なんか、ずっと流してる。

3cmにほどだし、溶けてる所もあるけど、凍ってるわけじゃなし。

まあ、慣れてないから転ぶってのは、可哀想だけど、ちょっと笑えた」


いやいや山崎と、僕は元都民として弁解した。

北海道人は意識してないのだろうけど、冬になると当然のように、車のタイヤを

冬用にかえ、靴も冬靴にする。この靴が 雪にすべらないよう底が加工されてるんだ。

そういう冬靴は一般的でなく、靴の裏側は、ツルっとしてて、雪に対応できないんだ。

交通網も、”東京は雪は降らない”って設定。

でも、毎年雪が降って大騒ぎになるのだから、もういい加減、公共交通機関は

対策を考えてもいいのに。


交通機関といえば、飛行機。明日は飛ぶかな。

羽田空港は除雪体制が、ととのってないから、心配だ。


山崎と僕で簡単な夕食(寒いので鍋にした)を用意してると、脇坂が帰って来た。

彼も帰りは徒歩だったようだ。体、冷えてないだろうか。


「ナビをスマホに入れてあるので、帰り道はわかりましたし、天気予報で

寒くなるのはわかってましたので、防寒はバッチリして出かけましたから。

受験の最大の敵は、風邪とインフルエンザですしね」


余裕の脇坂だ。ただ、室内の温度だけは、ちょっと高めにしておこう。

そのうち、父と都築さんも震えて帰ってくる・・これるかな。

都築さんから電話があって、今日はホール近くのホテルに泊まるとのこと。

タクシーもなかなかつかまらなかったそうだ。

(もちろん、演奏会の主催者からも、何もフォローがなかった)

ー・-・-・--・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-


あけて30日。嘘のような青空で雪はすっかり溶けてる。

もちろん、プラスの気温なんで、路面凍結なんて無縁だ。

僕と山崎は 摩周町に帰るべく簡単に支度をして、念のため、空港に予約便の

運行状況を問い合わせた。

受付のおねーさんは、申し訳なさそうに、

「現在、釧路、旭川の空港は吹雪のため 午前中のすべての便の欠航が

決定してます。函館なら大丈夫なんですが、変えますか?」


もちろん、お断りした。家から、おそらく車で二日かかるであろう街の空港に

いって、どうしようもないし・・。


「ごめん、俺、東京に残っていいかな。明日、飛行機が飛んだとしても、

5日には帰るんじゃ、考えてみれば、交通費の無駄だった。

無論、事務所で出してくれるだろうけど、働き手の裕一の父さんの頑張りを

見てると、無駄遣い出来ない」

うん、僕も東京に残ろう。じいちゃんばあちゃんと、正月を一緒にと思ったけど、

音大にはれて合格してからでもいいんだ。

チケットをキャンセルして、家に戻ると、ちょうど、父と都築さんが出る所だった。


「むこうは、吹雪ですか。まあ、正月は、3人でなんとかやって下さい。

僕と上野先生は、明日、NYに帰ります。年明けに仕事が入ってるので」

向こうは、ニューイヤーコンサートが盛んで、忙しいのだそうだ。


「これ、チケット、3枚あるから。」

父が僕によこした。まさか、天候を予想してたわけじゃないから、最初から

用意してたんだ。

ちょっと照れくさそうに、頭をボリボリかく姿は、いつもの天然父だ。

あの、スタジオで意識もうろうとした雰囲気はない。


一枚1万の高価なチケット。親族席でもあるのだろうか。

まだ講習会のある脇坂を誘ったら、こういう機会は、もう二度とないでしょうから と

3人で揃っていく事になった



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