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モテること、付き合うこと

「お、噂のモテ男君。そのモテの秘訣を教えて欲しいもんだ」


朝、クラスに入るなり男子に訳のわからん事を言われた。

なんの皮肉だ?・・

前も、白井先輩と噂になったり、マザコン説が流れたり

僕は、知らない所で言われ放題のようだ。今度はモテ男か・・


ため息をつきながら、その言葉を無視して席につく。

すぐHR・授業、休み時間に青野に聞いてみた。

「僕ってモテ男なのかい?今は」


青野は、スマホの画像を見せてくれた。

そこには、僕と篠崎さん、湯川さんが一緒に歩いてるのが写ってた。

これは、前回、八重子先生の所に行った後の”釧路音大受験5人会”の後だ。

写真では、きれてるけど、前には男子の河野君と横田君がいた。

意図的にカットされたんだ。あたかも、僕が二人の女子を連れてるように。


「裕一は、釧路にはレッスンで行ってるんだろ?

ピアノ仲間の会もあるって聞いたから、その子達だろ?

お前、太鼓判おしてもいい。モテない男子だからな。

そう周りに説明しても、信じてもらえないんだ」


ありがとう。青野。ちょっと複雑だけど、真実だし。

脇坂が余裕のある様子で、続けた。


「モテるのと、付き合うのは、まったく別ですよ」

脇坂が、僕を皮肉った男子に声をかけた。

他、男子数人から

「別ってどういう事だ?モテれば付き合えるだろうに」


「違います。裕一の場合は、モテもしてませんね。まあいいところ、パシリか

弟扱いでしょうか。」

ううう、あたってる。5人の中で一番もてるのは、横田だ。

理由は、ピアノが一番うまいから。スポーツ選手でも強い選手ほど、もてるのと

同じだ。次は河野。大学受ける学力と、教師になるであろう安定性がうけてる。


「そこそこのセンスと清潔感や明るさがあれば、なんとななると思いますよ。

問題は、付き合い始めてからです。

いかに彼女の心をはなさないかがポイントで、そこをクリアすると、

また男として、魅力倍増です」


・・脇坂、お前、彼女、いないんじゃなかったか?わかってるように聞こえるけど


「付き合い始めたらですね。まず・・・」

そういい始めた所で、クラスの男子が脇坂を囲んだ。ヒソヒソ声になってる。

女子からは冷たい視線をあびてるんだけど。


「ばっかじゃない?その”付き合う”までが難しいんじゃん」

脇坂君は、別格だよね。。なんて女子の声も聞こえる



「お前のモテない理由はわかってるよ。マザコンじゃないけど、ばばコンだろ?」

青野、鋭い指摘ありがとう・・最近、自分でもババコンを意識してる。

こんなんで、来年から一人暮らし出来るかな。

受験おわったら、最低限の家事でもいいから、教わっておかないとな。


昼休み、たまたま食事中の後藤さんと目があった。

彼女と気まずくなってからは、目をそらされたが、今日は違った。

食事後、後藤さんが合図してきたので、僕はいそいそと 一緒に廊下に。


「ごめんなさい。前、裕一君を、傷つけるようなこと、言ってしまいました。

私がバカでした。今になって、裕一君の立場、わかるようになりました。

又、前のように お友達になってくれますか?」


言ってることは、よくわからないけど、後藤さんの言葉は、うれしかった。

「前も今も、後藤さんは 僕の大事な友達だよ」


「じゃあ、私、図書室で勉強するから」

スタスタと僕の前を通りすぎてった。

唖然とする僕に、後藤さんの友達の田坂さんが、ため息をついた。

見られてたんだ

「あ~あ。せっかくの機会だったんだけどね。はい、残念、永久友達ポジション決定」

「友達の何がいけないんだい?」


田坂さんだけでなく、クラスの男子も見てた。

そして、肩を抱き、「そうだよな。友達は大事だよな。ドンマイ裕一」

「裕一、俺はお前よりは、まだ恵まれてるってわかった。ありがとう」

その日からクラス男子の僕を見る目が、一気に変わった。

扱いも、弟のような年下に対するように、変に優しくなった。


家で、山崎に後藤さんの一連のことを話すと、爆笑された。


「うんうん。やっぱ親子だ。天然のところは、そっくりだ。

裕一、お前、後藤さんに”あなたをBFにする事は、ないから”っていわれたんだぞ。

彼女か。俺も欲しいって思うときもあったけど、余裕がなくてな。

学校ではバイト疲れで寝てたし・・」


山崎まで・・

だから、僕は女子に興味がないわけじゃないけど、例えば、二人きりで映画を見る

とか、おしゃべりをするとか、それぐらいなら、友達じゃないか。

「彼女とか彼氏とか、友達同士とあまり変わらないだろう?」

「お前、後藤さんが、他の男子と仲良くしてて、腹立たなかったとか?

後藤さんと、寝るときも一緒、とか思わなかった?」


山崎の ”寝る”って言葉で、やっと僕にもわかった。そういう関係の事か。

「でも、僕たちはまだ高校生だし、まだまだ先の話じゃないか」


「ああもう、裕一は、そのままでいいよ。俺が言ったような気持ちになった時、

いろいろ、アドバイスするから心配するな」

山崎、なにその兄貴ぶり。僕はいまいちだったけど、”そのままでいい”って

いうなら、そうなのだろうし もういいや。



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